【成功するために、人間の「思考の癖」を知る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763132644
本日の一冊は、意思決定に役立つ心理原則をまとめた、ドイツ発のベストセラー。
著者のロルフ・ドベリ氏は、スイス航空子会社数社にてCFO、CEOを務めた人物で、経営学博士を取得しています。
本書には、名著『影響力の武器』で紹介されていた社会心理学の原則に加え、われわれの意思決定を歪ませる、さまざまな心理原則について、そのエッセンスが紹介されています。
※参考:『影響力の武器』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4414304164
※参考:『影響力の武器 コミック版』←こんなの出たんですね
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4414306302
成功事例が目立つため、成功への見通しを甘く評価してしまう「生き残りのワナ」(=生存者バイアス)、大規模プロジェクトを遅延させてしまう「自信過剰のワナ」と「コストの過小評価のワナ」、同じものでも、自分のものになると、そうでなかったときよりも価値があると感じてしまう所有のワナ(=保有効果)など、さまざまな心理バイアスが紹介されており、重宝する内容です。
欲を言えば、もっと専門用語を踏まえた上で訳出して欲しかったのですが、自己啓発に強いサンマーク出版さんだけあって、生き方本になっているところが魅力です。
株・不動産の売買から、結婚、未来予測、組織のマネジメントまで、知っておけばさまざまなシーンで役に立つ知識が詰まっています。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日常においては成功が失敗よりもはるかに目立つために、成功への見通しを甘く見て過大評価してしまう。このことを、「生き残りのワナ」と呼ぶ
なぜ、大規模プロジェクトは予定通りに進行しないのか? そこには同時に、2つの落とし穴が待ちかまえているからだ。1つは、典型的な「自信過剰のワナ」。もう1つは、外部からの刺激による「コストの過小評価のワナ」である
「確証のワナ」とは、新しい情報を、自分の意見や信念に無理やり合わせて解釈する傾向のこと
あるものを見たときに、その横にそれより醜いもの、安いもの、小さいものといったように、比較するものがあると、比較するものがないときよりも、さらに美しく、高く、大きく感じてしまう
「ストーリーのワナ」とは、物語が、わかりやすくするために真実を単純化してしまう傾向を指す。それにより、物語にうまく収まらないことはすべて排除されてしまう
個人が利益を追い求めた結果、社会的な秩序が壊れてしまうことを「共有地の悲劇」と言う
選択肢が多いことは、わたしたちを幸せにしてくれる。だが、限界がある。限界に達すると、余分なものがあることで生活の質が逆に落ちてくる。この落とし穴を専門用語で「選択のパラドックス」と呼ぶ
同じものでも、自分のものになると、そうでなかったときよりも価値があると感じてしまう
心理学ではこの現象を「リアクタンス」と呼ぶ。選ぶ自由がなくなると、手に入れることができなくなってしまったその選択肢が以前よりも魅力的に思えてしまう現象のことである
どんな分野でも、確信できることはすべて一時的なものでしか
ないということを忘れてはならない
わたしたちは、一定の数量で増加する関数を感覚的に理解している。けれども、2倍ずつ増加する指数関数と呼ばれるタイプの増加や、100分率(%)で表された増加に対しては感覚的にわからなくなる
別の実験では2種類の肉が用意された。「脂肪分99%カットの肉」と「脂肪分1%の肉」だ。2つの肉はまったく同じなのに、被験者は、脂肪が99%カットされた肉のほうが健康にいいと評価した
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『なぜ、間違えたのか?』ロルフ・ドベリ・著 サンマーク出版
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◆目次◆
生き残りのワナ
スイマーズボディ幻想のワナ
自信過剰のワナ
社会的証明のワナ
サンクコストのワナ
お返しの法則のワナ
確証のワナ(その1)
確証のワナ(その2)
権威のワナ
コントラストのワナ
イメージのワナ
「いったん悪化してからよくなる」のワナ
ストーリーのワナ
回想のワナ
お抱え運転手の知識のワナ
コントロール幻想のワナ
報酬という刺激のワナ
平均への回帰のワナ
共有地の悲劇のワナ
ほか
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