2013年9月10日

『燃える闘魂』稲盛和夫・著 vol.3339

【稲盛和夫が語る『燃える闘魂』とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4620321664

本日の一冊は、京セラの創業者であり、日本航空を再生した立役者、稲盛和夫さんによる4年ぶりの書き下ろし。

お約束の「稲盛経営12ヶ条」に続き、不況を成長のチャンスに変える4つの方策、さらには経営者が持つべき心構えまで、稲盛節がたっぷり味わえる一冊です。

◆稲盛経営12ヶ条
1.事業の目的、意義を明確にする
2.具体的な目標を立てる
3.強烈な願望を心に抱く
4.誰にも負けない努力をする
5.売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
6.値決めは経営
7.経営は強い意志で決まる
8.燃える闘魂
9.勇気をもって事に当たる
10.常に創造的な仕事をする
11.思いやりの心で誠実に
12.常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で

経営のノウハウを学びたいなら、『稲盛和夫の実学─経営と会計』あるいは『アメーバ経営』を強くおすすめしますが、新刊は、タイトル通り、精神論的な内容。

※参考:『稲盛和夫の実学─経営と会計』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532190061

※参考:『アメーバ経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532195578

しかしながら、これがなかなかイケるのです。

なかでも興味深かったのは、「不況時には、全従業員がセールスマンでなければならない」「不況のときにこそ、新製品、新商品の開発に努めること」という文脈のなかで出て来た、釣り具メーカーへの営業のエピソード。

京セラの繊維機械担当の営業マンが、静岡の釣り具メーカーに、セラミック製のガイドリングを「摩耗しないように」と売り込んだところ、「セラミックにすれば高くなるし、そこまでの必要はない」と断られた。

ところがこの営業マンがあきらめず、「釣り糸が切れにくくなる」メリットをアピールしたところ、試してもらえることになった。実際に使ってみると、従来の金属製のガイドリングでは、負荷がかかった時に熱で糸が切れてしまう。同じことをセラミックのガイドリングで試してみたところ、案の定切れなかったということで、採用してもらえることになったという。

驚くのは、これがきっかけで多くの高級釣り竿にセラミック製ガイドリングが搭載されたこと。ちなみに同社は、40年経った今でもこのガイドリングの注文を、「ひと月に数百万個ほど頂戴している」のだそうです。

根性論だけならピンと来ないこともあるでしょうが、そこをエピソードで補強しているため、読むと気合いが湧いてきます。

経営者、起業家にはぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ものごとをなそうとするには、みずから燃える人間でなければならない

「不言実行」と昔からよく言われる。しかし、不言実行というのはインチキができる

不可能だと思えるようなことがやれなかったら、大事を成し遂げることはできない

自分の会社、従業員を何としても守る、という強い責任感を経営者が持てば、腹はすわってくる

◆不況を成長のチャンスとする具体的な方策
1.従業員との絆を強くする
2.あらゆる経費を削減する
3.全員で営業する
4.新製品、新商品の開発に努める

不況時には、全従業員がセールスマンでなければならない

不況のときにこそ、新製品、新商品の開発に努めること

ビジネスは「燃える闘魂」をもって挑まなくてはならないが、その前提として「世のため人のため」といった高邁な精神を備えていなくてはならない

「足るを知る」とは、中国・春秋時代の思想家である老子の「足ることを知る者は富めり。強(つと)めて行う者は志有り」という思想にもとづくものである。つまり、「持てるもので満足することを知る者こそが本当に豊かなのであり、そのように自分に強いて行動できる者こそが、その目指すところを得る」ということを意味する

なぜ日本人は、高度なものづくりの技術を蓄積することができたのであろうか。そこには、日本人の敬虔で高い精神性が色濃く反映されている。たとえば、伝統工芸の世界では、匠たちは仕事の前に身を浄め、ときに刀匠のように白装束に身を固める。これは、ものをつくるということは神聖な行為であり、したがって、ものをつくるに際しては、みずからの身を浄め、魂を浄化する必要があり、さらにはそうしたことを通じて、つくるものに魂を入れなければならないと考えてきたからにほかならない。その根底には、物質と精神を分けて考える西洋的な二元論的発想ではなく、ものと心はひとつであるという「物心一如」の日本固有の世界観がある

「機械の泣いている声」、あるいは「製品の泣いている声」が聞こえるほど、心を込め、魂を注ぎ、機械や製品に対して心情移入をしていかなければならない。そして、機械や製品と一体化し、考えうる限りの努力と創意工夫を重ねていく。そうして初めて、ものづくりの神に「うまくいってくれ」と祈ることができ、すばらしい製品を生み出すことができる

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『燃える闘魂』稲盛和夫・著 毎日新聞社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4620321664

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◆目次◆

第1章 日本の盛衰
第2章 「燃える闘魂」の経営
第3章 世のため人のため
第4章 徳をもってあたる
第5章 心を変える 日本航空の再建
第6章 日本再生

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