【これぞリアル半沢直樹】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478024464
本日の一冊は、現在絶好調の「半沢直樹」も真っ青の、企業陰謀・逆襲モノ。
マッキンゼーを経て、ワールド、アオキインターナショナル、日本コカ・コーラ、卑弥呼など、名立たる企業で社長や改革担当を務めた稲田将人氏が、初めて書いた経済小説です。
ストーリーの概略が、本書のカバー裏にあったので、まずはその紹介から。
<大手紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、ある日、経営幹部の目の前で会社の給与制度を批判したことから、新設の経営企画室に飛ばされてしまう。しかし、高山は、持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の支援を得ながら、改革の推進役として一歩ずつ成長する。社内の地雷を踏みまくりながら、愚直に改革に取り組む主人公の姿を通して、トップの参謀役である経営企画の仕事とは何か、そして企業改革のあり方をリアルに描く>
「半沢直樹」の原作を書いた池井戸潤さんは、銀行の融資担当だったそうですが、こちらは経営企画の視点から書かれた「腐った企業」改革モノ。
古くから番頭役を務める阿久津専務の陰謀に、何度もハメられそうになる高山と伊奈木。そこを絶妙なアドバイスで救うコンサルタントの安部野。
主人公、高山君の活躍をハラハラしながら見ているうちに、経営人材に必要な基礎知識がすべて学べてしまうという、じつに美味しい本です。
同じく正義感とエネルギーにあふれながら、会社を去らなければならなかった白家と、高山。
この二人を比較すれば、ただ「幼い」だけの人材と、将来幹部にのし上がっていく人材の違いがよくわかります。
組織を取り巻く人間の「業」や「念」の深さ。そしてそれに対処する経営の仕事。
その奥深さと実践が学べる、じつに刺激的な経済小説です。
400ページを超える大著ですが、厚みは気にならず、一気に読むことができました。
半沢直樹で興奮した後に、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「せっかく、あるお客様が特定の販売員を気に入っていて、その販売員に接客してほしくて来店した時に、他の販売員たちがインセンティブ欲しさにお客様の取り合いをしたら、ますます、お客様の求めている店の姿とはかけ離れてくる。こういう郊外の店なんて、お客様の期待に沿えずに来てくれなくなったらアウトだ。そういう意味では、今回のインセンティブ制度は、欠陥があるんだ」
「小売って、お客様に喜んでもらうことが全てに優先すると思います」
◆企画を行う人間は、二つの要素が求められる
1.目的達成のための効果的な企画というアウトプットを行う能力
2.PDCAを回すということ
◆長期低迷状態を脱出するためになすべきこと
1.レッドオーシャン化した市場で勝ち抜く強みを習得する努力を始める
2.今の会社の強みを活かして、まだ実現していない未開拓の市場、ブルーオーシャン市場を実現できる力をつける
3.ビジネスを始めた初期のころのような、謙虚で真摯な事業への取り組み姿勢を持つこと
『企業の中の様々な問題には、成長が解決をもたらす』という当たり前のことを忘れている会社が多い
「リーダーシップの発揮だけは、最後の最後まで社長が自身で担わなければいけない役目だが、それ以外のことは、基本的に組織による分業は可能だ。今ある営業や商品、管理部門などの組織ではカバーできていない、会社の運営を安定化させ、発展させるために必要な機能、これを全て担わなければいけないのが経営管理も含めた経営企画、つまり戦略参謀機能ということになる」
「柳田さん、私は、企業というものは人間の体と本質的にはよく似ていると思っています。人間の体にも、元気がよすぎる細胞が、体全体のバランスを考えずに暴走してしまい、結局、その人間を死に至らせてしまう病気がありますよね?」
柳田は言葉を選ぶように考えてから言った。
「ガン……ですか」
「人事機能の役目として、経営の観点では人件費の管理という大切な役目があるのは事実だが、使命ということで言えば、全社員が前向きにやる気になる状態づくり、これに尽きる」
企業の不振状態は、「市場との乖離」から起きます
上のリーダーシップが弱まった時、その下では人のエゴイズムが頭をもたげます。歴史を見ても、国のリーダーシップが失われた時に国が荒れるのも、このためです
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『戦略参謀──経営プロフェッショナルの教科書』稲田将人・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478024464
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◆目次◆
第1章 高山、最初の地雷を踏む
第2章 「バケツの中身」が重要だ
第3章 経費削減と経費低減は違う
第4章 社員がやる気になる人事制度とは
第5章 起死回生の販促プラン
第6章 混沌のなか、海図を求める
第7章 新業態を立ち上げる
第8章 社内の「憑き物落とし」
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