【JRとりそなを変えた男】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274241
本日の一冊は、JR東日本の「駅ナカ」ビジネスの基礎を築き、りそな銀行の改革に成功した故・細谷英二氏による経営論。
定番となった「日経ビジネス」経営教室シリーズの第4弾で、細谷氏は、鬼籍に入る2カ月前、2012年の9月にこの「経営教室」に登場したそうです。
もちろん、故人の言葉を集め、何とか一冊にした内容であり、関係者へのインタビューや当時の記事などをかき集めてもなお、物足りない部分はあります。
ただ、氏の改革に賭けた志、ユニークな取り組みの数々。知らない人は学んでおいて損はないと思います。
個人的に最も参考になったのは、やる気のない保守的な主流派より、傍流でもやる気があってアイデア力のある勢力が役に立つ、ということ。
154ページに、リストラ後の人員補充のため、社員募集をした話が載っているので、一部紹介しましょう。
<男性の応募もあったが、彼らは大企業のホールセール取引や国際業務を希望した。ところが、りそなが推進しようとしているのは、中小企業やオーナー経営者との取引であり、個人に住宅ローンや投資信託などを販売するリテール業務だ。こういったリテール業務には女性が積極的に応募してきた。結果的にそれがよかった>
<女性の能力をさらにアップさせるため、オリエンタルランドやリッツ・カールトンなどサービス品質に定評がある異業種企業に研修に出した。女性は自分たちが期待されていることを感じ、生き生きと張り切って働くようになった(中略)やがて女性のマネージャーは約2割の水準に達し、りそなはダイバーシティーという面で日本の最先端を走る企業となった。さらに、りそなには現場で働く女性のアイデアをもとに、銀行界で初めて特許を取ったシステムがある>
本書にはまた、故・細谷英二氏による人生訓も登場し、自己啓発書としても読めます。
「他流試合で通用する人材になれ」
「男はいつまで生きるかということではなく、何をするかだ」
企業再生に興味のある方もない方も、一読をおすすめします。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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そのままJR東日本に残れば、最大手の子会社、東日本キヨスクの社長というポストが用意されていた。にもかかわらず、細谷はリスクの大きい改革に挑む道を選んだ。「常日頃から、若い人に、他流試合で通用する人材になれ、と言ってきた。自分が率先垂範しなければ、私の哲学に反する」。誠実を旨とする、細谷らしい選択だった
やはり食後の雑談をしていた時、私がたまたまテレビでやっていた健康番組で仕入れた情報をお話ししました。こういう物を食べると長生きできるといった類の他愛もない話です。すると、細谷さんは厳しい口調でこう言われました。「男はいつまで生きるかということではなく、何をするかだ」
◆りそなが役員に求める7つの資質
1.変革志向の強さ
2.勝ちにこだわる
3.顧客の喜びを追求
4.問題を見極める
5.新しいりそなを創る
6.情報を嗅ぎ取る
7.組織を動かす力
男性の応募もあったが、彼らは大企業のホールセール取引や国際業務を希望した。ところが、りそなが推進しようとしているのは、中小企業やオーナー経営者との取引であり、個人に住宅ローンや投資信託などを販売するリテール業務だ。こういったリテール業務には女性が積極的に応募してきた。結果的にそれがよかった
女性の能力をさらにアップさせるため、オリエンタルランドやリッツ・カールトンなどサービス品質に定評がある異業種企業に研修に出した。女性は自分たちが期待されていることを感じ、生き生きと張り切って働くようになった(中略)やがて女性のマネージャーは約2割の水準に達し、りそなはダイバーシティーという面で日本の最先端を走る企業となった
りそなでは端末を設置したブースを作り、窓口の女性担当者が顧客に操作を伝えつつ金融商品を勧めるシステムも取り入れた。その結果、事務効率と販売生産性の両方が同時に向上した。この仕組みは支店の女性社員たちのアイデアに基づくもので、細谷さんはこの仕組みで、銀行界で初めての“特許”を申請させた
変革はV字回復の後ほど難しい
「独自の存在価値を示せない企業に未来はない」
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『どんな会社も生まれ変わる』細谷英二・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274241
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◆目次◆
1時間目 企業再生の極意 改革は最初の100日が勝負
2時間目 企業風土の改革 銀行の常識は世間の非常識
3時間目 大企業病の予防策 社外取締役と女性は正しく使え
4時間目 カリスマと後継者 社内に4%の「鬼」を育てよ
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