【No.1企業はいかにして凋落するか】
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名著『イノベーションのジレンマ』で一躍有名となった「破壊的イノベーション」という言葉をご存じでしょうか?
※参考:『イノベーションのジレンマ』
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これは、ハーバード・ビジネス・スクールの看板教授、クレイトン・M・クリステンセンが提唱した概念で、著書によると、イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の2つがあります。
恐ろしいのは、No.1企業は「持続的イノベーション」に最適化した結果、「破壊的イノベーション」を見落とし、失敗することがあるということ。
だから経営者は、この破壊的イノベーションの到来を感知し、対処する必要があるのです。
本日ご紹介する一冊は、この『破壊的イノベーション』について、理論と事例をまとめて紹介した、じつにマニアックな一冊。
著者は、経済産業省にて、産業技術政策やイノベーションの促進政策などに携わってきた藤本雄一郎氏です。
本書で紹介されている事例は、かつて日本メーカーが長年シェアを独占してきたカーナビや太陽電池、せっかくマーケットを広げたのに衰退したネットブックなど。
◆国内カーナビメーカーがPNDに乗り遅れた理由
1.低価格化への恐怖
2.自社コスト構造と、PND開発コストの乖離
3.自社が得意なビジネスモデルと、PNDのビジネスモデルの違い
4.自社が確立した開発基準・品質保証プロセスと、PNDの同プロセスとの違い
5.開発コストを回収するための過度な多品種化の弊害
6.カーナビ周辺分野や部品市場の環境変化などの情報分析不足
これを読めば、なぜうまく行っていた企業が「破壊的イノベーション」で突然死するのか、そのロジックがよくわかると思います。
ぜひチェックしていただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆国内カーナビメーカーがPNDに乗り遅れた理由 ※一部紹介
1.低価格化への恐怖
2.自社コスト構造と、PND開発コストの乖離
3.自社が得意なビジネスモデルと、PNDのビジネスモデルの違い
4.自社が確立した開発基準・品質保証プロセスと、PNDの同プロセスとの違い
5.開発コストを回収するための過度な多品種化の弊害
6.カーナビ周辺分野や部品市場の環境変化などの情報分析不足
せっかくネットブックは、「Web閲覧などの機能を、ノートパソコンより小さいサイズで、携帯電話とほぼ同じ価格で販売する」新市場を切り拓いたのに、成功後は、従来パソコンの機能に近付けてしまった。そのため、最終的には、「需要の先食いでパソコンの価格低下ペースを早めただけ」の結果を招く
クリステンセン教授は、「それまで持続的イノベーションを続けていた企業は、ユーザニーズを超えても機能改善を続け、その過程で出てくる破壊的な低価格製品を軽視する」と論破している
コモディティ化こそ破壊的イノベーション等が起きる可能性を秘めている
品種増加については、市場ライフサイクルの成長期まではユーザが自分の嗜好に合った製品を買えるため、ユーザ拡大の必須手段になる。しかし、この多品種化をやり過ぎると、消費者から見て、「どれを選ぶのが最適かわからない」「たくさん製品があるが、自分に合うのはない」「結局、前と同じメーカーを選んだ」といった購入パターンを引き起こしがちである
「高度な技術イノベーションを有する製品は、投入直後に浸透する」認識もあるが、製品の利用価値や利便性が一般の消費者にも浸透し、製品価格が一般層の許容範囲にまで下がらないと、本格的な市場形成は難しい
委託側にとっては、特定のODM、OEM先を戦略パートナーと位置付けても、ODM・OEM側にとっては、「取引相手の1社に過ぎない」(中略)自社の重要な技術情報等がODM、OEM側に流れ、委託側の内実が彼らにわかるようになり、委託金額などの主導権を奪われていく
コニカやミノルタはアナログ光学で強みを持っていたが故に、カメラのデジタル化や半導体技術の開発で遅れを取り、収益力が低下していった。その過程で合併したのがコニカミノルタであるが、合併後は液晶用偏光板フィルム、光ピックアップ、印刷機、医療用光学機器などに事業の集中と選択を行い、収益率を向上させた
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『破壊的イノベーション』
玉田俊平太・監修 藤本雄一郎・著 中央経済社
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◆目次◆
第I部 日本勢がやられた破壊的イノベーションの事例
第1章 典型的な「高機能化のジレンマ」に陥った国内カーナビメーカー
第2章 製品の個別最適化が、破壊的イノベーションへの対応遅れにつながった国内パソコンメーカー
第3章 市場を先導してきた自負が、構造変化への対応を遅らせた国内太陽電池メーカー
第II部 破壊的イノベーションの見極め方と対処法
第4章 市場のライフサイクル変化の見極め方
第5章 ライフサイクル変化に合わせたビジネスモデルの構築(補完財統合戦略)
第6章 ライフサイクル変化に合わせた開発組織や開発マネジメントの変革
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