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本日の一冊は、日本のバブル崩壊を予測した『日はまた沈む』の著者、ビル・エモットと、日本経済新聞社調査によるマーケット・アナリスト・ランキングで5年連続1位(1992~1996年)のピーター・タスカが、日本経済の今後を予測した一冊。
資本へのリターンが大きく、労働者へのリターンが小さいため、企業収益は好調なのに、個人消費が弱くなってしまっている現状、国家レベルでのカネの無駄遣い、グローバル化への遅れなど、現在の日本が抱える問題を、歯に衣着せずに説いています。
さらに、今後、日本が進むべき道についても議論しており、出生率の低下に対する政府の役割や、対アメリカ/アジアの外交政策、東京が国際的な金融センターになるための条件など、さまざまな点について議論が展開されています。
議論自体は興味深い内容で、現状把握、今後の経済社会の見通しという点ではじつに役に立ちます。
ただ、著者の一人が言っているように、「基準をどこに置くかということは、ひじょうに重要」。
その点、本書の基準は経済やグローバル化という点に偏っており、「人間」や「幸福」、「地球」といった視点は少なかったように思います。
家族が崩壊し、モラルの低下が起こり、地球環境が経済成長を抑制し始めた現在の日本には、より広い視野での議論が求められている、そんな気がします。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本の景気回復のメカニズムを見てみれば、主要な原動力となった
のはあきらかに企業部門です。まず輸出が需要を引っ張り、続いて
設備投資が伸び、ついには日銀が設備投資バブルを憂うレベルにま
で達しました。もちろん、現状が設備投資バブルになっているとは
思いません。企業収益も高いからです
資本へのリターンは大きく、労働者へのリターンは小さいという構
造と、女性や高齢者が労働力として果たす新しい役割が賃金の伸び
を抑制するという構造は、今後も変わらないと予想される
日本のカネの無駄な投資には三つのパターンがあります。ひとつは
収益も少なく、意味もない公共事業への投資。もうひとつは見返り
の小さい、あるいはまったくないようなプロジェクトへの企業の投
資。そして最後に、アメリカの資産を法外な値段で購入するような投資
懸念されるのは、設備投資額が上昇している現状のままで経済の次
なる世界的減速が起きることです。不況まではいかなくとも、世界
経済が減速すれば種々の価格指標がさがりはじめます。円高になれ
ば、特にそうなる可能性は高い
金属や食料部門では、これから供給が増加しはじめるでしょう
日本の企業がグローバル化するためには、ブルーカラー以外の外国
人を管理する能力を身につける必要があります
女性が職場での地位や高収入を得られるようになると、子供を持つ
ことによって、失うものも多くなる。つまり、子供を持つことで犠
牲になる経済的価値が大きくなるということです。それが出生率の
低下の原因のひとつになっているのです。ですから、政府にはこう
いった状況を変える義務があります
日本の個人消費はなぜこれほど冷えこんでいるのか。その原因は、
消費率や貯蓄率よりはむしろ収入そのものにあると思います
アメリカ人はカネがほしいだけです。単純明快です。でも、中国は
ちがいます。中国はつねに政治的影響力の拡大をもくろんでいます
国際的な金融センターをめざすには、そこに世界中の人々が集まっ
てくるようになる必要があります。ロンドンが成功したのは、イギ
リスが外国人にとってタックス・ヘイブンであるからです
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『日本の選択』
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■目次■
まえがき
第一部 日本は正しい選択ができるか
第二部 日本の未来を決める決断
あとがき
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