【有名ブランド再生人の大胆発想術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017018
本日の一冊は、イヴ・サンローラン・パルファン、シスレー、ウブロなど、計5社の外資系ブランドのトップを務めた、「有名ブランド再生人」、高倉豊さんによる一冊。
年商200億円を超えるロクシタン・ジャポンの鷹野社長をして、「マーケティングの考え方は、すべて高倉さんから教わりました」と言わしめる辣腕経営者…。一体どんな方なんだろうと思って本書を紐解いたら、何とこの方、あの大ヒットとなった、「名入れ口紅」の仕掛け人でした。
本来女性向けの口紅を、あえて男性に売って5万本の売上達成。
コスメ界の伝説になったマーケティングキャンペーンの仕掛け人が、どんな発想でマーケティングを行っているのか。
本書は、それを知るのに最適の一冊です。
1.ライバルは見ない、2.現場は見ない、3.ロジカルに考えない、という3つの思考法に始まり、「売れているように見せる」マーケティング・マジック、不況でも売上が落ちない顧客ターゲティング、衝動買いを促す仕掛け…。
いずれもご自身の経験、あるいは身近な方の事例で語られているので、説得力があります。
画期的マーケティング手法が書かれているというよりは、それを生み出すための思考法・発想法に重きを置いた本で、なかでも、「ブリコラージュ」「アブダクション」の考え方は参考になりました。
「ブリコラージュ」とは、1960年代にフランスの人類学者、クロード・レヴィ=ストロースが唱えたもので、手持ちの材料で作る発想法のこと、「アブダクション」は、ひらめきから導き出されたユニークな仮説が正しいかどうか、後からじっくり検証していく方法論のことです。
いずれも大胆な解決策が出やすい思考法であり、われわれもこの2つを学ぶことで、突破口を切り拓けるかもしれません。
マーケター、経営幹部は必読。
ビジネスパーソンの教養としても、興味深い一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆3つの思考法
1.ライバルは見ない
2.現場は見ない
3.ロジカルに考えない
POS(販売時点情報管理)システム、つまりバーコードを用いた効率的な在庫管理は、現在ではもはや常識。ところが、何十万もの多種多彩なアイテムを扱っているジョイフル本田では、このシステムを採用していません。なぜなら、「POSを導入すると、現場の目が売れ筋商品に向いてしまう。売れ筋ばかりが並ぶ売り場には夢がない」というのが、本田会長の持論だからです
手持ちの材料で何かをつくる。この考え方を「ブリコラージュ」と言います(中略)1960年代にフランスの人類学者、クロード・レヴィ=ストロースが唱えたものです
私がとった荒業は、マーケティング・マジックです。取扱店舗が半分に減っているのですから、一部の店でたくさん売れたといっても、会社全体の総売上がそんなに伸びているわけではありません。ですが、私の狙いは「売れているように見せること」でした
ティッピングポイントを超えると、嫌いが好きに反転する現象が起こりうる
知名度の低いブランドを再生させる場合。1つの雑誌に、広告や記事を一定期間フォーカスします。その雑誌の読者の中だけでブランドの認知度をアップさせるほうが、多くの雑誌にバラバラと出稿するより、記憶に残る率はずっと高いはずです
「金持ちの遊び人」の時計から「ビジネスマンや地方の経営者」にマーケットを広げていったからこそ、不況下でも売上が落ちることがなかった
何かと何かを組み合わせて魅力を倍増させたり、新しい価値を与えたりすることは、衝動買いを促す効果的な方法の1つ
新宿の百貨店の年齢別化粧品購入者の売上データを眺めてみると、圧倒的に20~30代が多いことに気づきました。シスレーのターゲットである50代以上が占める割合は10%弱しかなく、その小さなパイを狙って、いくつもの高級スキンケア・ブランドがひしめき合っている状態だったのです。
「それなら思い切って、ターゲットを20~30代に変えてみよう」
垂直に立っている通常のホワイトボードのイメージだと、「重要な情報は上、あまり重要と思わない情報は下」というふうに、無意識のうちに情報に優劣をつけてしまいがち
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『口紅は男に売り込め!』高倉豊・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017018
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◆目次◆
はじめに
1章 ライバルは見ない
2章 現場は見ない
3章 ロジカルに考えない
おわりに プチサクセスの積み重ねが自信になる
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