http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352193
本日の一冊は、東京大学大学院経済学研究科の教授で、テレビ東京
「ワールド・ビジネスサテライト」のコメンテーターとしても知ら
れる伊藤元重さんが、最近の日本経済のトレンドを説いた一冊。
日経MJの好評連載をまとめた、というだけあって、話はマクロ経
済だけにとどまらず、流通現場の具体的事例にまで及んでいます。
著者は若い頃、「経済の動きを実感するには小売りや流通を見ると
よい」とのアドバイスをもらったらしく、本書はまさにその教えが
活かされた、「生きた経済学」のテキストとなっています。
マーケティングや経済の原理原則、そしてそれに当てはまる企業の
活動、最近のビジネストレンドまで、じつにバランスよく述べられ
ています。
メーカーや小売が利益率を上げていくためにはどうすればいいのか、
現代の消費者の購買行動にはどんな特徴があるのかなど、ビジネス
ヒントとしても読むことができるでしょう。
普段実践的な内容ばかり読んでいる人には体系的な視点を、理論ば
かり読んでいる人には現場の英知を伝えてくれる、興味深い一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「経済の動きを実感するには小売りや流通を見るとよい」。若い頃、
もらったアドバイスである
すべてのビジネスにおいて、何らかの形でサービスに関わる部分を
持たない限り安定的な利益を確保しにくい時代になっている
先進工業国ではどこでも、国民の所得が高くなるほど、製造業のシ
ェアが縮小して、サービス産業のシェアが拡大する傾向がある
資本回転率を上げることができれば、それほど高い売上高利益率で
なくても高い資本利益率を確保することが可能
高い利益を続ける企業の多くが非常に足腰の強い中間流通システム
に支えられている
多くの企業が陥りやすい過ちは、自分の市場を狭くとらえすぎること
忙しくなっている現代人にとって、時間の価値はますます重要にな
っている。所得は少しずつ高くなっていっても、一日二十四時間と
いう時間制約には変化がない
ある大手百貨店の社長から聞いた話だが、靴や時計などの商品の購
入パターンに変化が見られるという。高額な商品がよく売れ、しか
もその修理やメンテナンスサービスの需要が多いという
かつての住宅といえば応接室のようなところにお金をかけたが、今
やユニットバスのような一人になってゆったりするところにお金を
かける人が多い
顧客に新しい価値を提供するためには、何を加えるのかという前に、
まず何を削るのかという視点が重要
サービスの場合には、売れ残りにも「価値」が生じることが多い
百貨店とはもともと部門別大型店であり、商品ごとの分類で店舗設
計されている(中略)しかし、百貨店のこうした特色は近年、急速
に変化している。モノ中心の品揃えではなく、ヒト中心の品揃えを
志向する方向に変化しているのだ
百貨店も単独で生き残れる時代ではない。周辺の街の集積性を高め
て、街そのものに集客の魅力を持たせることが必要になる
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『伊藤元重のマーケティング・エコノミクス』
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■目次■
第1部 マーケットをとらえる新しいメガネ
第2部 転換する人とモノの流れを読む
第3部 進化するマーケティングの主役たち
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