2005年12月22日

『プロフェッショナル広報戦略』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4777102998

本日の一冊は、2005年の衆議院選挙で、小泉自民党を歴史的勝利へ導いた、参議員議員の世耕弘成さんが、その広報戦略を初めて明かした一冊です。

著者は、早稲田大学卒業後、NTTに入社し、その後、ボストン大学コミュニケーション学部大学院に留学。アメリカ仕込みのPRやコミュニケーションのノウハウを活かしてNTTで活躍。

今回の選挙戦でも、そのノウハウや経験が十二分に発揮されました。

本書は、その世耕さん率いる、自民党の「コミュニケーション戦略チーム」の実態と、選挙戦で行なわれた具体的広報活動、そして世耕さんの考える広報戦略の要諦を、必要最低限にまとめたものです。

もちろん選挙キャンペーンが中心の話題となっていますが、本書で説かれていることは、企業広報にも十分当てはまる内容です。

PRの具体的手法として、またマーケティング・PRに携わる者の心構えとして、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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トップのメッセージをマスコミなどを通じてどのように世の中に出していくかが、広報全体に課せられた使命

大新聞ばかり相手にしないで業界紙や農家の人が読む雑誌、そういうところにも自民党は「こんなことをやりました。やりたいと思っています」ということを伝えるべきだと考えた。PR会社と協力して、1日1個のプレスリリースを出したりと、地道な改革をこまめに実践した

戦略的広報には、それを実施する組織の設計が非常に重要である。組織内に分散するコミュニケーション機能を一元的に集約しなければならない

戦略的広報を実践する上での最大のデータは新聞やテレビの報道状況である。戦略的広報がうまく機能しているか、自分たちの伝えたい内容がきちんと記者に伝わっているか、そういった事項を如実にかつ短期的に把握することができるのが報道状況の分析である

人は危機感というムチだけではモチベーションを維持できない

広報戦略の責任者にとって、トップとの距離が近いことは非常に重要である。この距離とは、部屋の位置という物理的な距離と、自由に進言ができるかという心理的な距離との二つの意味がある

広報の重要な機能のひとつは、組織の難しいメッセージを世の中にいかにわかりやすく伝達するかということである

テレビ番組出演者の人選も戦略的に行った。これも新しい広報戦略である(中略)我々は出演依頼がある度、その番組の性格、バラエティー的なのか本格的な討論番組なのか、出てくる相手を過去のデータから分析して一番良いと思われる人を出演させるようにした

企業であれば、実際に消費者と接しているのは社長や広報ではなく、現場の販売員である。こういう人たちがどういう発言をするのかというのは広報戦略の成果を左右する

広報は、新聞・雑誌の切り抜きを業者任せにしてはいけない

広報は、身体半分が会社の外に出ていなければならない
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『プロフェッショナル広報戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4777102998
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■目次■
はじめに
第1章 戦略的広報とはなにか
第2章 自民党の広報改革プロジェクト
第3章 プロジェクトマネジメントとしての広報
第4章 組織を勝利に導くための広報戦略
第5章 プロの広報マンになるために
第6章 コミュニケーションのプロが広報だ
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