2005年7月22日

『好き嫌いで人事』

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本日の一冊は、証券業界の風雲児、松井証券の松井道夫さんによる注目の新刊です。

巷では、成果主義の失敗に伴う批判本が花盛りですが、本書は、能力主義でも成果主義でもない、松井証券独自の評価システムを紹介した、異色の人事論です。

採用から教育、評価・報酬制度まで、松井証券が実際に行っていることが、トップの立場で語られています。

縁故採用を肯定し、教育はなし、好き嫌いによる評価を取り入れ、年俸で大きく差がつく…。いかにも破天荒な松井社長らしいやり方だと思います。

松井社長のお話は、セミナーで一回、日本経営合理化協会さんのテープで一回聞いていますが、相変わらず合理的で面白いです。

松井社長が風通しの良い、実力主義の社風をどうやって保っているのか、興味のある方はぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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組織は、自らを大きくすることを手段ではなく目的にした時点で滅びへの道を辿ることになる

生き残ることができるのは、企業の都合を押し売りするのではなく、個の都合で考え、個と個をつなげる働きができる企業だけである(必要なのは、企業の立場を離れ、自由に、顧客のビューポイントで物事を考えられる社員の存在)

給料をもらって働く人間は要らない。働いて給料をもらう人間しか要らない

「人を組織に縛り付ける人事制度」の下で、従業員は健全なビジネス・ジャッジができるのだろうか。顧客本位の営業姿勢を保てるのだろうか。無理である

プロジェクトリーダーの選定も簡単だ。顧客が希求するサービスのコンセプトを着想したスタッフがいたら、その人間にプロジェクトチームを組ませて業務を進めてもらうだけなのだ

人間の仕事には、必ず相手の人間がいる。商品・サービスをつくり上げるシステムの専門家、法制度問題をクリアするために交渉する相手、そして利益をもたらしてくれる顧客もすべて「人間」である。したがって、「人間の心理」「人情の機微」を理解することなくしては、極論すれば「何もできない」のである

これまでの常識がまったく通用しない時代、明日一体何が起こるのかまったくわからない時代に最も必要なのは、知識・経験ではなく、固定観念を捨て去って洞察し、仮説をたてるといった想像力・構想力である。そして何よりも、失敗を恐れない前向きの楽観主義である

評価者には「評価対象者の年俸額」をまず認識させ、そのうえで、人の価値と年俸額とを天秤にかける

時代とのギャップを縮められるのは社長だけであり、だからこそ、「企業の最大のコストは社長の頭の中にある」

捨てる決断はみなから反対され、実行はきわめてむずかしいが、それが結果的に正しい場合に、得られるものは凄まじく巨大である
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『好き嫌いで人事』
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■目次■
はじめに
第1章 組織論 「個の時代」に対応できるしくみ
第2章 人材論 「個の時代」に対応できる資質
第3章 採用・教育論 「商人」として働くことの意味
第4章 評価論 人間評価の主観と客観
第5章 分配論 「給料をもらって働く」から「働いて給料をもらう」
第6章 リーダー論 社長と副社長の距離>副社長と新入社員の距離
あとがき
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