本日の一冊は、「好みがうるさく、ちょっとリッチで、欲しいものがあればよろこんでお金を出す」という、新富裕層のマーケティングについて書かれた一冊です。
もしこれが、「貧富の差が拡大しているから金持ちを狙え」というコンセプトなら決しておすすめはしませんが、本書の最大のポイントは、従来のこうした考え方を統計的に否定した上、新たなマス・マーケットを提唱した点にあります。
ワン・トゥ・ワン・マーケティングを否定し、可処分所得の高い新しいマス・マーケットを狙うという発想…。
なぜスターバックスが受けたのか、なぜセブン-イレブンで高級アイスが売れるのか、なぜヘルシア緑茶が売れているのか、そしてなぜ、プロ志向の物を家庭に持ち込むと成功するのか…。
これからのヒット商品のヒントが体系的にまとめられた、注目の一冊です。
ちなみにこの辺の話は、土井も日本経営合理化協会さんのセミナーでお話しました。この本で述べられている内容からさらに一歩突っ込んだ実践的内容を知りたい方は、ぜひCDを聴いてみてください。
「最強の仕掛け人が明かす5つの最新拡販ノウハウ」
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■ 本日の赤ペンチェック
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マス・マーケットという言葉自体、もはや時代遅れな富の配分の理論に基づいている
個々の顧客についてよく「把握できていない」商品やサービスがいくつもヒットしていた
大半の世帯にとって、今や課題は必需品を手に入れることではなく、ほしいものを手に入れること
優れたマス商品より高く超高級品より安い、新たなミドルグラウンドを探せ
◆ミドルグラウンドを制覇するための3つの戦略
1.新たなミドルグラウンドを企業のコア・ポジションとする
2.マス・マーケット向け商品をバージョンアップする
3.極上品の味わいを覚えさせる
◆優れものを味わってみたい消費者の欲求に訴えつつ、リスクを避ける方法
1.コストを削りながらも、高級ブランドのもっとも重要な特徴は手放さない
2.売上を伸ばしコストを削減する努力は必要だが、品質では妥協しない
3.ブランド崩壊を防ぐために希少価値に訴える
新富裕層は忙しく、時間の浪費を嫌うから、信頼できる迅速なサービスは非常に重宝する
消費者は、商品やサービスを必要以上に買わずに、ステータスに伴う恩恵を受けたいと思っている
「日常的なもの」の特別バージョンをつくれ
◆マーケターが見逃している所有モデルの後半4ステップ
保管、メンテナンス、レストレーション、処分
使用ごとの支払いやリース方式、すべてが込みの一括価格など、新しい支払い方法の可能性を探るべき
見返りの期待できる新しい消耗品を提供せよ
消費者は、その商品の歴史や、製造技術、伝統的な職人芸、類似品との違いなどについてうんちくを傾ける願望をもっている
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『新富裕層マーケティング』
http://tinyurl.com/ay8cd
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■目次■
序文
第一章 新しいマス・マーケット
第二章 新たなミドルグラウンドを探せ
第三章 顧客を平等に扱わない
第四章 必需品ではないが、あれば便利なものを探せ
第五章 新たな所有形態を模索せよ
第六章 消費に対する見返りを大きく
第七章 グローバルに考え、地元密着で売る
第八章 不特定多数に向けたプロモーション
第九章 明日のマス・マーケット
エピローグ 新しいビジョンを求めて
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