本日の一冊は、『マッキンゼー流 図解の技術』に続いて翻訳された、ジーン・ゼラズニーのプレゼン技術の解説書です。
参考:『マッキンゼー流 図解の技術』
http://tinyurl.com/4tra8
マッキンゼーの内部では、プレゼンやライティングなど、ビジネススキルに関するさまざまなトレーニングが行われているそうですが、この本の内容は、まさにそのトレーニングのエッセンスをまとめたものです。
著者のジーン・ゼラズニーは、米国マッキンゼーのビジュアル・コミュニケーション・ディレクターで、本書の内容は、マッキンゼーに伝わる、経営コンサルタントのためのベース・ナレッジということになります。
最近、プレゼン関係の良書が続いただけに、ちょっと目が肥えてきましたが、この本はどうでしょうか。
さっそく、要点を見て行きましょう。
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本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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聞き手に対する出席の理由づけこそがあなたが行なうプレゼンテーションの目的の定義そのものとなる。よい定義をえるには、何を、現実的に、このプレゼンテーションの結果として聞き手の面々に行なってもらいたいか、考えてもらいたいかを、1行で、書くことだ
■目的明示のコツ
1.目的は1行で表現できる
2.目的は必ず現実的なもの
3.必ず行動につながるようにする
聞き手を念頭に置かずにプレゼンテーションの設計をすることは、「関係各位」に宛ててラブレターを書くに等しい(ケン・ハーマーAT&T)
■聞き手の分析
1.意思決定者は誰か?
2.どのくらい内容に精通しているのか?
3.どの程度の興味を持っているのか?
4.あなたの提案はどんな影響を及ぼすのか?
5.今まで実行されなかったのはなぜか?
6.どのように内容を理解していくのか?
あらかじめ言っておいた時間どおりにプレゼンテーションを終了することに全力をつくす。たとえプレゼンテーションの内容を削ることになっても、である
プレゼンテーションは提言、つまりあなたが書き留めたメッセージから始める方式が最善なのである。残りの持ち時間は、あなたが行き着いた解決策がなぜベストなのか、その理由を聞き手に説明することに費やすのがよいだろう
これこそがオープニングの役割なのである。参加者の心に火をつけ次に何が起きるだろうという期待感を盛り上げて、参加していることへの興奮を呼び起こす
■PIPの法則
・目的――P(Purpose)
・重要性――I(Importance)
・予告――P(Preview)
プレゼンテーションの流れと論調を確実に考え抜くためには、オープニングを事前に書き出しておくこと
「…そして以上のことを要約すると」という言葉ほど迅速に聞き手に安心させる方法はない
■効果的なエンディングの組み立て方
1.重要事項の要約
2.提言をもう一度繰り返すこと
3.アクションプログラム(実行予定表)を示す
エンディングでは、参加者全員が将来にわたって一緒に仕事をしていくことに対して期待しているという姿勢を示すべき
自信と確信と熱意、これらはあなたが立ち上がってプレゼンテーションする際に聞き手があなたに求めている特性だ
■自信を持つために必要なポイント
1.目的を明確に認識している
2.聞き手をよく理解している
3.自分の資料に精通している
4.自分自身を知っている
■リハーサルは2回行なうのが理想的
・最初のリハーサルは、あなたがプレゼンテーションする部屋で立っているつもりで、1人で行なう
・2回目のリハーサルは3人ないし4人の同僚の前で行なう
※1人には内容の一貫性や分析、構成に関して見てもらい、2人目には見やすさとタイプミスの有無、3人目は実際に演じる技術、4人目は意思決定者になりそうな人物の視点でそのプレゼンテーションを見てもらう
■プレゼンテーションを成功させるためのアドバイス
1.深呼吸、深呼吸、深 呼 吸……
2.アイコンタクトを確立する
3.自然に話す
4.声の強弱をフルに活用する
5.両足に体重をかけ、両手は腰の位置に当て、しっかりと立つ
6.スクリーンの脇に立って話す
7.不必要にポインターを使わない
■プレゼンテーションにおける沈黙の効用
1.考えをまとめることができる
2.伝えたいことに集中できる
3.聞き手に考える余地を与える
4.参加しているという意識を持たせる
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きわめて実用的な内容で、チャートの描き方のアドバイスや、プレゼン用の各種ツールの使い方など、じつに細かい点が書かれています。ただ、一方で著者のプレゼンテーション哲学という部分で、不満を感じる一冊でもありました。
というわけで、本日の一冊は、
『マッキンゼー流プレゼンテーションの技術』
http://tinyurl.com/47v4w
です。やはり実用書といえど、著者の考え方をきちんと示して、魂を揺さぶって欲しいものです。
目次
訳者まえがき
原著まえがき
聞き手のための権利宣言
第1章 状況を明確にする
第2章 プレゼンテーションを設計する
第3章 プレゼンテーションを実施する
まとめ プレゼンテーション・チェックリスト
付録 配布資料を効果的に利用する
訳者あとがき
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