2024年10月17日

『リユースビジネスの教科書』佐藤秀平・著 vol.6583

【約66兆円?のお宝マーケット】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4295409936

本日ご紹介する一冊は、大学在学中に、法人の不良在庫を買い取りECで販売するというBtoBtoCのリユース事業を立ち上げた著者が、リユースビジネスの全容を紹介した一冊。

「うちはそんなビジネスやらないよ」という起業家・経営者は多いと思いますが、判断するのは、本書を読んでからでも遅くはないと思います。

「メルカリ」の成功例があるので、リユースビジネス自体の可能性を疑う人はいないと思いますが、ほとんどの人は、「あんなシステム作れない」もしくは「もう参入余地ないでしょう」と思ってしまうのではないでしょうか。

本書によると、リユース市場は今でも右肩上がりで伸びており、調査開始の2009年には1兆1274億円だったのが、2022年には2倍以上の2兆9000億円に達する勢い。

おまけにメルカリの「2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”」調査によると、日本に眠る「かくれ資産」は1人当たり53.2万円、総額66兆6772億円に上るようです。

物価高と日本人の賃金上がらない問題、環境意識の高まりを見ると、今後もリユース市場が伸びるのは必至であり、本書で提示されたメリットを見る限り、どの企業も、取り組んでみる価値があると思います。

著者が提示する、「リユースビジネスを始める11のメリット」を読む限り、肝になるのは、「顧客とのタッチポイントが増える」「ロイヤルカスタマーとの関係性が深まる」「新品の開発・販売にフィードバックできる」だと思います。

なかでも、メーカーが取り組むことで、顧客が持つ商品の価値を半永久的にできる(メンテナンスができるため)、というのは大きいと思います。(RIMOWAの値段が下がらないのは、この辺が大きいと思います)

そう考えると、これまでの日本の企業活動は、顧客との関係性が途中で切れており(「修理する」「売る」「捨てる」が含まれていない)、本来の理想のビジネスとは言い難いと思います。

本書では、メーカーを経営する読者が新たにリユースビジネスをやりたい場合、起業家が新規にリユースビジネスを立ち上げたい場合など、あらゆるケースに対応して、リユースビジネス立ち上げのアドバイスをしています。

株式会社土屋鞄製造所のリユースビジネスを立ち上げた笹田知裕氏、株式会社スノーピークサーキュレーションコア代表取締役の中上久範氏、国内最大級のスポーツ用自転車買取・販売を手掛ける「バイチャリ」を経営するクララ株式会社の代表取締役社長、家本賢太郎氏など、実際にリユースビジネスを手掛ける3氏へのインタビューもあり、このビジネスのリアルなメリット、課題が見えてくる良書でした。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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「リユース経済新聞(旧:リサイクル通信)」によると、リユース市場は2009年の調査以来、右肩上がりで成長を続けています。市場規模は2009年が1兆1274億円でしたが、2022年には2倍以上の2兆9000億円に達する勢いです

メルカリの「2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”」調査によると、日本に眠る「かくれ資産」は1人当たり53.2万円、総額66兆6772億円に上ります

無印良品も「ReMUJI」としてリユース・リサイクルに取り組み、ROLEX(ロレックス)は認定中古プログラムを導入して中古時計ビジネスに参入しました。ヤマダ電機も株式会社ヤマダ環境資源開発ホールディングスという子会社でリユースに専門で取り組み、アウトレット品・リユース品を販売しています

中古品を扱うことによって業績が下がった新品企業の例は見当たりません

メルカリの「世代別の消費行動と資産認識」に関する調査(2023年)によると、「新品を購入する時にリセールバリューを考えることはありますか?」という質問に対して、フリマアプリ利用者の52.4%が「ある」と回答しました。Z世代に限ると、59.1%に上ります

アップルとしては、正規認定がキャッシュポイントの1つになっています。正規認定によって、偽物が出回りにくく、価値が劣化しにくくなるため、ものの本来の価値が純粋なまま保たれやすい

最近はエントルピーやコメ兵に代表されるように、AI真贋を活用し、真贋を標準化する動きが出てきています

ブランドのリユースサービスは濃いファンであればあるほど使っている

リユースビジネスのKPIの基本は、買取(仕入れ)においては、「客数」と「客単価」で、販売においては「粗利率」と「在庫回転率」です

趣味性が高く、単価が高い商品はリユースビジネスが成り立ちやすい

リユースショップは基本的に有償で廃棄物を引き取ることができません

店頭で売りたくなければ、ECで売る

相場の決定と真贋判定については、「リユースシステム」というクラウド型の買取業務サポートシステムがあります。これを使えば、査定から現金化までを商材別にプロフェッショナル企業に依頼できるので、ハードルは一気に下がります

メーカーが二次流通に参入すれば、売った後のフォローを変えられる

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欲を言えば、リユースビジネス立ち上げ、構築の実際にまで踏み込んで欲しかったですが、おそらくそれは著者の本業なのでしょう。

ただ、とっかかりに読む本としては、十分興味をそそる内容で、読むべき一冊と言えます。

特にメーカーにお勤めの方は、ぜひ読んで社内でリユースビジネスを提案してみてください。

じつにワクワクする一冊です。

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『リユースビジネスの教科書』佐藤秀平・著 クロスメディア・パブリッシング

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◆目次◆

はじめに
第1章 リユース市場の最前線
第2章 リユースビジネスを始める11のメリット
第3章 リユースビジネスを実装する・基本編
第4章 リユースビジネスを実装する・実践編
第5章 リユースビジネスを実装する・事例編
第6章 企業も消費者も社会も、リユースで豊かになる世界へ
おわりに
巻末付録 用語集

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