2024年8月9日

『聞く技術 聞いてもらう技術』東畑開人・著 vol.6538

【カウンセラーが教える対話術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480075097

ちょっと昔の話になりますが、2000年、アマゾン立ち上げに関わってまもなく、2冊のコミュニケーション本を紹介することになりました。

たまたま立ち寄った高田馬場の本屋さんで見つけた本で、アマゾンで取り上げたところ、どちらもベストセラーとなりました。

『プロカウンセラーの聞く技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4422112570

『聞く技術が人を動かす』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334782175

本日ご紹介する一冊は、このうちの一冊、『プロカウンセラーの聞く技術』の著者、東山紘久さんの教え子が書いたベストセラー。

2023年の新書大賞5位に選ばれた他、さまざまな新聞で紹介されています。

カウンセラーやコーチが書いた本では、よく「傾聴しなさい」「聞くのではなく聴きなさい」といった話が出てくるのですが、本書の主張は、ちょっと違います。

本書によると、<「聞く」は語られていることを言葉通りに受け止めること、「聴く」は語られていることの裏にある気持ちに触れること>

一見、「聴く」の方が深そうですが、こればかりをやると、相手の「ちゃんと聞いて」という要望に応えられなくなると、著者は説く。

例としてこんな話が挙げられています。

<たとえば、「愛している」と言われて「この人、遺産狙いなんだろうな」と思うとき、僕らは真意を読み取ろうとして、目の前にある言葉を無視しています>

デキるビジネスパーソンほど、やってしまいがちな話ですね(笑)。

著者曰く、<心の奥底に触れるよりも、懸命に訴えられていることをそのまま受けとるほうがずっと難しい>。

そして、苦しい時に相手がして欲しいのは、まさにこの「聞く」方なのです。

ロジカルシンキングや洞察力を発揮する会話は得意だけれど、相手に寄り添う会話が苦手、という人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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あなたが話を聞けないのは、あなたの話を聞いてもらっていないからです。心が追い詰められ、脅かされているときには、僕らは人の話を聞けません

ようは「反応している」のが大事です。反応があると人はうれしいものです。眉毛がクイっとあがるだけで、ちゃんと聞いてもらっている感じがして、もっと話をしたくなる

情報交換のための話は、ペースが速いほうが効率がいいかもしれないけれど、心の苦しいところを聞こうとするのであればペースは遅いほうがいい

学生の頃に教わった先生が『プロカウンセラーの聞く技術』(東山紘久)というベストセラーを書いているのですが、そこには「7色の相槌を打て」と書いてありました。7つくらい相槌があると、話が聞かれているかんじがするらしい。「うーん」「ふーん」「なるほど」「そっか」「まじか」「だね」「たしかに」とかね

相手が気持ちを話しているとき、「具体的に何が起きたの?」と事実を聞く。「彼氏とのあいだでひどいことがあって、すごい疲れた」とか「上司との関係がつらい」と言われても、よくわからないじゃないですか? だから、「何があったの?」と尋ねて、具体的なエピソードを話してもらうと良い。逆に、相手が事実だけを話しているときは気持ちを聞きましょう

「私だったらこう思いそうな気がするけど、なんであなたはそう思うの?」と尋ねると、相手は自分について語りやすくなる

心は人々の間を回遊してるのが自然で、個人に閉じ込められると病気になる

聞いてもらう技術 日常編
1 隣の席に座ろう
2 トイレは一緒に
3 一緒に帰ろう
4 ZOOMで最後まで残ろう
5 たき火を囲もう
6 単純作業を一緒にしよう
7 悪口を言ってみよう

「わかる」には2種類ある。ひとつは、知識に当てはめて、相手をパターンに分類していく「わかる」です。これが世間一般で「わかる」と言われているやつですね。(中略)だけど、「わかる」はそれだけじゃない。もうひとつある。外側からではなく、内側から、相手がどのような世界を生きているかを「わかる」こと

ボールのようにして絶望や孤独を他者に預けることができること、すると心の中の空いたスペースに小さな希望とつながりの感覚が生じること。人間と人間の間には、そういう神秘が存在すると思うのです

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一流のカウンセラー、コーチを目指す人はもちろん、部下の相談に乗る必要のある管理職や教師・親にもおすすめの内容です。

小手先の聞く技術ではなく、相手の心とつながり、絆を作り上げる技術。

学んでおいて損はないと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『聞く技術 聞いてもらう技術』東畑開人・著 筑摩書房

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◆目次◆

まえがき
第1章 なぜ聞けなくなるのか
第2章 孤立から孤独へ
第3章 聞くことのちから、心配のちから
第4章 誰が聞くのか
あとがき

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