【集中力を保つコツ】
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本日ご紹介する一冊は、デジタル機器の集中力への影響と、生産性の真実、どうやって現在のデジタル環境下で集中力を維持するのか、心理学・情報科学のエキスパートが述べた一冊。
著者のグロリア・マーク氏は、カリフォルニア大学アーバイン校総長特任教授で、コロンビア大学で心理学の博士号取得後、約20年にわたりデジタルメディアが人間の生活に与える影響を研究してきた人物です。
主な研究テーマは、マルチタスク、集中の中断、デジタル機器の使用にともなう感情など。
テクノロジーに関する優れた学術研究に与えられる「グーグル・リサーチ・アワード」を2度受賞しており、本書が初の著書だそうです。
・外交性、誠実性、神経症傾向のスコアが高い人ほど、インターネットに費やす時間が長い
・集中力を高めるのは「フロー」より「リズム」
・メインのタスクにかかる時間は、中断があった方がむしろ短くなる
・頭を使わない単純な活動が仕事の効率を上げる
何がわれわれの知的労働の妨げになるか、何が働く人間の幸福度アップにつながるか、どうすれば集中力や生産性を上げられるかについて、科学的知見が述べられており、これは注目の内容です。
既出の理論もたくさんありますが、知らないことも多く、興味深い内容でした。
さすが、脳研究者の池谷裕二さんがおすすめするだけのことはありますね。
大事な仕事があるのに、ついスマホをいじってしまう、子どもが勉強しなくて困っているという方は、ぜひ読んでみることをおすすめします。
さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
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認知リソースの増減と集中力のリズムは人によって違い、個人にはそれぞれ集中力がピークに達する時間や、集中しにくくなる時間がある
いったんタスクを中断すると、ほかのタスクに集中を切り替え、もとのタスクに戻るまでに、少なくとも25分以上かかってしまう
私たちがコンピュータやスマートフォンを使うときの集中時間はいまや異常なほど短くなり、平均47秒だ
私たちは毎日、世界中から莫大な情報を得ることができる。人間の能力をソフトウェアやAI(人工知能)で補強して、それらの情報を処理しているが、実は最終的なボトルネックは人間の精神なのだ
コンピュータで作曲したり、複雑なプログラミングをしているときには容易にフロー体験ができても、仕事で会合の予定を入れたり、報告書を作ったりしているときには難しいのだ
一度使ってしまった集中リソースを回復するには、補充するしかないのだ。休憩をとってリフレッシュしなければいけない
私たちの目の瞳孔も、認知負荷が増すと大きくなることがわかっている
2つの異なるタスクを同時にこなしても成果が落ちないのは、少なくとも一方のタスクがほとんど、あるいはまったく努力を要しない場合のみ
集中に関する神経作用の研究で、行動を抑える認知的制御を長時間続けると、徐々に衝動的な選択をしやすくなることがわかった
フロー状態の人は時間の経過を忘れるが、退屈ではまったく逆のことが起きる。認知リソースが余りすぎて、そ活動が終わるまでにどのくらい時間がかかるか、そして時間の流れがいかに遅いかを、考えずにいられなくなるのだ
頭を使わない単純な活動はすべきではないという一般常識は科学的に正しくない。単純な活動にも大切な役割があるからだ。たとえばガーデニングや編み物など、さほど難しくない活動に熱中しているとき、人は幸せを感じ、くつろぎ、認知リソースも回復している
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読んでいるうちに、ひょっとして読書してからお茶したりお酒を飲むのって、頭に負荷をかけ、その後幸福を感じられる、素晴らしい活動なんじゃないかと思うようになりました。
土井は原宿にビルを構えた時から、知的労働の合間に「雑草取り」を楽しむようになりましたが(今は家の周りでできる)、あれは認知リソースを回復する作業だったんですね。
ちょっとした認知リソース回復のコツ、世間の常識とは逆の「集中力のツボ」が書かれています。
ぜひ、読んでみてください。
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『デジタル時代の「集中力」の科学』グロリア・マーク・著 依田卓巳・訳 日本経済新聞出版
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◆目次◆
日本語版への序文
はじめに 「集中」に神話を打ち破る
I 集中の構造
第1章 限りある認知リソース
第2章 集中をめぐる争い
第3章 集中のタイプを理解する
第4章 マルチタスクの真実
第5章 絶え間ない中断がもたらすもの
II 集中を中断させるさまざまな力
第6章 インターネットの普及と集中力の低下
第7章 AIとアルゴリズムの影響
第8章 デジタルな交流の世界
第9章 パーソナリティは自制にどう影響するか
第10章 デバイスは幸福感を下げるのか
第11章 メディアによる集中の条件づけ
III 集中、リズム、バランスを整える
第12章 自由意志、主体性、集中
第13章 「主体性」の力で生活リズムを整える
第14章 デジタル時代の集中力を育む
謝辞
訳者あとがき
注
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