【これはハイレベル。】
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NHKの人気ラジオ講座「やさしいビジネス英語」「実践ビジネス英語」の講師として知られた杉田敏さんが、以前、セミナーで、こんなことをおっしゃっていました。

「教養とは、ボキャブラリーのことだと思っていますから」

今では納得できますが、当時はそういう視点で考えたことがなかったので、衝撃でした。

ボキャブラリーを身につけること、そしてそれらの微妙な違いを理解すること。やり始めると、確かにどんどん違いがわかり出すものです。

ビジネスに教養やボキャブラリーが必要かと問われると、イエスともノーとも言える。

ただ、間違いなく教養・ボキャブラリーのある人の方が、新しいコンセプトや新機軸を打ち出せると思います。（コンセプトは言葉で作るからです）

ということで、本日ご紹介する一冊は、三省堂編修所が編んだ、『文豪のことば探し辞典』。

明治から始まる近代において、新しい言葉を紡ごうとした漱石や鴎外、紅葉、四迷、露伴、鏡花などのいわゆる文豪たちの表現を集め、まとめたもので、正直、めちゃくちゃ難しいです。

難読語とその読み方、引用元が書かれた辞書的な文庫で、その言葉が使われた作品名も書かれています。

難読漢字に挑んだ後は、作品を味わう、というのも良いと思います。

何より感じて欲しいのは、新しい時代の新しい言葉を創るために、文豪たちが試行錯誤したということ。

どんな苦労をして言葉を見つけ出したかまでは書いていませんが、そこを想像するだけで、起業家として大事な「挑む姿勢」を学べると思います。

赤ペンチェックでは、ビジネスで使えそう（？）なものをピックアップしました。

さっそく見て行きましょう。

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あいたい【靉靆】雲のたなびくさま。また、雲の厚いさま。
紫の雲－－と棚引き＜坪内逍遥「細君」＞

かいめい【晦冥】くらいこと。くらやみになること。まっくらやみ。
深黒－－にして、その奇景の一端を窺見ること能はず＜田山花袋「日光山の奥」＞

ぎぜん【巍然】高くそびえ立つさま。抜きんでて偉大なさま。
五重－－と聳えしさま＜幸田露伴「五重塔」＞

こうさいりくり【光彩陸離】光が美しく入り乱れ、まばゆいばかりに輝くさま。まぶしいほど輝かしいさま。
－－たる矢鱈に奇麗なものだ＜夏目漱石「趣味の遺伝」＞

じょくしょ【溽暑】湿気が多く、むし暑いこと。
西南の風烈しく－－夏日の如し＜永井荷風「断腸亭日乗」＞

ちょうていきょくほ【長汀曲浦】まがりくねって長く続いている海浜。
海岸に沿うて－－の続く限り続いてゐる＜谷崎潤一郎「母を恋ふる記」

べきべき【冪冪】雲などが一面におおうさま。
－－たる雲を貫いて＜夏目漱石「趣味の遺伝」＞

やまそわ【山岨】山の険しい所。切り立ったがけ。
あの－－のみぞれのみちを　あなたがひとり走つてきて＜宮沢賢治「早春独白」＞

あとばら【後腹】事がすんだあとに生じる、出費などの苦痛

いり【遺利】先人がのこしてくれた利益。
明治の作家の旧著を再刻して、－－を獲んと欲するものに外ならず＜永井荷風「断腸亭日乗」＞

どうしゅう【銅臭】銅貨の悪臭の意で、金銭欲、またそれにとらわれた行為を侮辱的にいう語。
其勧化の仕方の－－に富んだのを見て＜与謝野晶子「一隅より」＞

ばつびょう【抜錨】錨をあげて出帆すること。
何日欧洲を－－したるや＜井上勤「月世界旅行」＞

じんぜん【荏苒】
（１）歳月が移り行くままに、何もしないでいるさま。
（２）物事がはかどらず、のびのびになるさま。

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引用元の作品をリスト化すると、相当な作品数になると思いますが、すべて制覇したい欲にかられますね。

しかし、ここまで読めない字が並ぶと、ある意味清々しいですね。

商品のネーミングのヒントや、音楽関係者であれば、歌詞としても使えそうなものがありました。

ご自分のボキャブラリーを試す意味で、ぜひ、読んでみてください。

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『文豪のことば探し辞典』三省堂編修所・編　三省堂

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◆目次◆

情景
人事・事物
動植物
情感
活動
様態・様子
論理・抽象