【仕事が中心じゃない生き方を考える】
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本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『限りある時間の使い方』の著者、オリバー・バークマンが「最高!」と絶賛する働き方・生き方の本。
※参考:『限りある時間の使い方』
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著者は、ペンシルベニア大学を卒業後、スタンフォード大学大学院でジャーナリズムを学び、IDEOのデザインリードとして活躍した、シモーヌ・ストルゾフ氏。
ジャーナリスト、デザイナー兼働き方研究者として、これまでに「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」「ウォール・ストリート・ジャーナル」など複数の媒体で記事を執筆しているようです。
「愛することを仕事にすれば、1日たりとも働かずに済む」というのは、産業界で長いこと信仰されてきた考え方ですが、著者は、これに真っ向から異議を唱え、こう述べています。
「愛することを仕事にすれば、仕事とプライベートの分別や境もなく絶えずハードに働きまくり、仕事でのすべての出来事を極めて深刻に受け取ることになる」
また、「好きな仕事をすべきという考え方は、仕事の理想をどんどん高くする」という問題点にも言及しています。
本書では、仕事を人生の中心に据え、問題を抱えた9人の話を紹介しています。
マンハッタンの企業弁護士からアラスカのカヤックのガイド、コペンハーゲンの専業主婦や主夫、カリフォルニアのファストフード店の授業員まで、100人以上の働く人々から話を聞いたという著者が厳選した、9人のエピソードです。
登場するのは、ミシュラン星付きレストランのシェフ、キックスターターの受付係、グーグルの駐車場に停めたトラックで寝起きするソフトウエアエンジニア、ブラックロック史上最年少のマネージングディレクターに昇進したエリートなど。
彼らが経験した理不尽は、多くの人が経験する可能性のあるものであり、そこから方向転換、あるいは這い上がったエピソードは、きっと読者の生き方のヒントになるに違いありません。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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どのようにしてお金を稼いでいるかは、僕たちが何者であるかを簡潔に説明する手段になっている
ワーキズムは、お金と精神の充足という2つの異なるものを仕事に求める思想だ。この2つの方向性は必ずしも一致するものではない。それでも人々はどちらも満たしてくれることを仕事に求めるようになっている
過去を振り返ると、富と労働時間は反比例するものだった。裕福であればあるほど働く時間は短くなった。当然、お金があれば働かなくて済むからだ。ところが、過去50年における労働時間の増加の大部分を担っているのは高所得層である。つまり、さほど働く必要がない人たちがそれまで以上に働いているのだ
低所得者や非大卒の人たちよりも裕福で教育を受けた人の方が約2倍の割合で、やりがいのある活動に「仕事」を挙げる。理由はいろいろ考えられるが、高所得層は信仰など、生活にいきがいを見出せる他の活動が少ないことがひとつの要因だ
投資家が投資先を多様に分散させることで利益を得るのと同じように、人もまたアイデンティティややりがいを感じる活動を多様に広げることから恩恵を得る
さまざまなアイデンティティを育むと誰しも人生の困難を乗り越えやすくなる
自分の考えが周りの社会的規範と合わない時、人は声を上げるのではなく口を閉じる傾向にある
人々の「好きな仕事」を提供する職場では、劣悪な環境が見直されず放置されがち
「私のように、『私は○○である』というアイデンティティを一瞬のうちに失うと、前に進むのが怖くなる」とリズは語る。しかし彼女は諦めなかった。インターネットで、自分の存在を疾患に定義されることを否定する障害者のコミュニティを見つけた。そこでリズは生産性とは違うものに紐づく新しい「私は○○である」というアイデンティティを確立する方法を知る
週4日労働制で人は生き生きする
個人としても社会としても足りないのは、仕事を人生の主役にしない生き方がどのようなものかを想像する力だ
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著者が提案する、「仕事を人生の主役にしない生き方」。
長寿化が進み、誰もが方向転換の度にアイデンティティの危機に直面する社会で、われわれは今後、この答えを見つけ出すことができるのでしょうか。
働き方から入り、生き方全般を考えさせる内容でした。
生き方のヒントとして、ぜひ、読んでみてください。
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『静かな働き方』シモーヌ・ストルゾフ・著 大熊希美・訳 日本経済新聞出版
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◆目次◆
プロローグ いつから、仕事は働くこと以上になったんだろう
第1章 さらば、仕事中心の生活ーー仕事で何かを成し遂げる必要はあるのか?
第2章 さらば、ワーキズム教ーー仕事は宗教のように崇めるべき存在か?
第3章 さらば、やりがいの搾取ーー理想の仕事って、本当にあるのだろうか?
第4章 さらば、燃え尽き症候群ーー人間の価値は仕事で決まる?!
第5章 さらば、愛社精神ーー会社は、ひとつの家族になれるのか?
第6章 さらば、時間あたりの生産性ーー長く働けば成果に近づけるのか?
第7章 さらば、おいしい残業特典ーーどうして遅く帰るほうが得をするの?
第8章 さらば、出世競争ーー肩書きは本当に成功の証だろうか?
第9章 ようこそ、あんまり働かない世界へーーワークライフバランスが取れないのは自分のせい?
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
参考文献
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