【混乱の時代に問われる学力・仕事力とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021789
本日の一冊は、日本開発銀行、大蔵省財政金融研究室主任研究官、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員准教授、慶應大学総合政策学部教授などを経て、2001年に小泉内閣で経済財政政策担当大臣を務めた著者が、その仕事術を公開した一冊。
前作『竹中式マトリクス勉強法』に次ぐ、著者としては珍しい自己啓発書ですが、これがなかなかの意欲作です。
※参考:『竹中式マトリクス勉強法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344015681
これは私見ですが、氏の啓発書が面白いのは、その根底にハングリー精神が垣間見えるから。
今回の著書でも、冒頭からシュンペーターのイノベーション理論を紹介し、「リスクを取って未来に立ち向かう企業家精神」を主張。勉強やキャリアに関するハングリー精神をむき出しにしています。
内容的に興味深かったのは、「非常事態であればあるほど、ベーシックスつまり基本が問われる」という部分。
著者はこの「ベーシックス」が欠けている例として、東日本大震災後に法人税引き下げの延期を認めた経団連の失敗を指摘し、さらに消費税引き上げ論議の問題点についても指摘しています。
また、世の中の動きあるいは交渉相手の心理を見抜くために、「目的関数」を意識しろという話も、興味深く読むことができました。
イノベーション(=非連続的なジャンプ)が求められている時期だからというのもあるでしょうが、ラストの方では、「サンクコストが挑戦の妨げになる」として、読者の方向転換の後押しをする言葉を並べています。
保守的になり、悶々としている向きには、「あなたのサンクコストは自分で考えているほど大きくない」という著者の言葉が深く刺さるでしょう。
これから何を学んだらいいか、これからのキャリアをどう考えるべきか、迷ったら本書を手に取ることをおすすめします。
ひさしぶりにいい刺激をいただきました。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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社会を発展させる最大の力はイノベーション(革新)であることを、20世紀を代表する経済学者ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターは指摘しました。そしてイノベーションは、リスクを取って未来に立ち向かう企業家精神から生まれる……
逆算方式は、膨大な仕事量でもやるべきことを細かく分解して考えることで、今自分が何合目に来ているのかがわかり、気力を長続きさせる効果があります
システムというのは、いつまでたっても100%にはなりません。どこまでで満足するか、という目標と実現可能性の判断の問題なのです
困難になればなるほど、基本に立ち返って考え、行動することが重要です。基本力の源は「繰り返し」「日々の蓄積」……これは英語教育などでも実証されています
非常事態であればあるほど、ベーシックスつまり基本が問われる
何かを選択するということは、間違いなく別の何かを捨てることなのです
重要な点は、それぞれの人がそれぞれの「目的関数」を持っているということです。聞きなれない言葉かもしれませんが、「目的関数」ということをあえて強調しておきたいと思います。たとえば、経済学でいうと、この企業の生産量と価格は何で決まるか。それは目的によって決まるのです
世の中がどういうメカニズムで動いているのかということを考えるのは、非常に重要なことだと思います。それは自立的なメカニズムと分散のシステム、さらに制御するシステムがのように働いているかを見極めることです
多くの人々が、今の景気はどうか、失業はどうなるかという短期的な関心をもつ中で、シュンペーターはもっと長期の、ダイナミックな問題に関心があったのです。彼の問題意識を象徴する言葉があります。「馬車を何十台つないでも、蒸気機関車にはならない」つまり、そこには非連続的なジャンプ、まさに革新が必要なのです
サンクコストが挑戦の妨げになる
あなたのサンクコストは自分で考えているほど大きくない
年齢を、何かをしない場合の言い訳にしないことが必要です。高齢から始めて大成した例は、数多くあります。そして周りには、自分は忙しいことを堂々と公言して、「切り捨て力」高めようではありませんか
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『イノベーション仕事術』竹中平蔵・著 幻冬舎
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◆目次◆
1.プロデュース力 自分で自分をプロデュースする
2.熱心力 熱い心で「思い込め」、熱い心がなければ人生無意味
3.基本力 BtoBを繰り返せ、「飽きない力」に目覚めよ
4.判断力 常に目的関数を見抜け
5.情報力 馬鹿は相手にしなくていい
6.洞察力 心に宇宙を描け
7.結合力 組み合わせが力を生む
8.徹底力 妥協しない力、敵ができても恐れるな。敵ができれば味方もできる
9.切り捨て力 1日は24時間で人生は短い
10.健康力とリリース力 人生でスイッチングを怠るな
11.サポーター力 志のSFCを貫け
12.達観力 人生「塞翁が馬」と知れ
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