【じつはすごい本。】
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以前、ある知人が、自身の家庭環境について、愚痴を言っていました。
彼女によると、彼女の父親は彼女が物心ついた頃に両親が不仲になり、彼女自身も男性不信になったとか。
ただし、その影響で自分が生涯独身を貫いたのに、当の両親は年老いてからすっかり仲良くなったとのこと。
それを受けた彼女は、「私の人生を返せ!」と憤慨していました。
もし彼女が、結婚生活の満足度に関する「法則」を知っていたら、こんなことにはならなかったかもしれません。
「結婚生活の満足度は、一般にU字型の曲線を描いて変化すると言われる。はじめのうちは、だいたいどの夫婦もとても幸せに過ごす。しかし、満足度はその後、低下をはじめ、子供たちが思春期を迎える頃に最低まで落ち込むことが多い。その後は、低いままの状態が続き、仕事を引退するくらいの時期に再び上昇を始める」
本日ご紹介する一冊は、われわれが生まれてから死ぬまでに直面するありとあらゆる問題の解決に役立つ科学的研究を、まとめて紹介したもの。
幸福な人生を送った主人公、ハロルドとエリカのストーリーを通じて、誕生から幼児教育、恋愛、結婚、仕事、起業、倒産、失業、夫婦仲の改善、死に至るまで、ありとあらゆる問題に対処する、科学的知見を紹介。
心理学、人類学、脳科学、行動経済学などの知識をもとに、われわれの人生を改善するヒントを提供しています。
著者は、ニューヨーク・タイムズのコラムニストであり、テレビのコメンテーターとしても活躍するデイヴィッド・ブルックス氏。
本書の原著『The Social Animal』は、発売からわずか1年で全米45万部のベストセラーになっています。
570ページを超える大作で、読み応えがありますが、最後まで飽きさせない内容です。
タイトルがわかりにくいのが玉に瑕ですが、ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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意識の世界においては、「個」の力が重要だが、無意識の世界においては、目に見えない人のつながりが重要になる。意識は地位や富、名誉をほしがるが、無意識は人との調和や絆を求めるのだ。必死に目標に向かっていく時、あるいは心が他人への愛、神への愛に満ちている時、人はあまり自分というものを顧みなくなる
無意識は心の内側にありながら、いつも外を向いていて、いつも他人とのつながりを求めているのだ(中略)無意識にとって最大の幸福とは、人の輪の中に自らの居場所を確保することである
会話の六〇パーセントは、最頻出の一〇〇語くらいを使えばできてしまう。そして、最頻出の四〇〇〇語を使えば、会話の九八パーセントは成り立つのだ。にもかかわらず、なぜ人間は、めったに使うことのない余分な言葉を五万六〇〇〇も覚えるのだろうか。それは異性を惹きつけるため、また異性を選別するためではないか、とミラーは考えている
感情がなくなってしまうと、人間は自滅的な行動をしやすく、とても危険なのである
教育ではなく、母親が愛情を注ぎ、注意を向けたことがIQの改善につながった
「安全の愛着」を持つ子供は、学校でもその他の場所でも、友達が多くできやすい
女の子は、人間関係のストレスにより強く反応する。一方、テストステロンが女の子の一〇倍、分泌される男の子の場合は、自分の立場を脅かすようなストレスに強く反応する
四歳になるまでに親子の間で交わされる言葉の数には、親が知的職業に就いている中流家庭とそうでない貧しい家庭とで三二〇〇万語もの差があるという
野心の強い人たちはまず、自分の存在に関して根の深い危機感を持っている。偉大な作家、音楽家、画家、政治家などの多くが、九歳から一五歳までの間に親と死別するか、あるいは親に捨てられるかしている
失業の期間が長く続いた人は鬱になりやすいという。就職できて何年か経った後でもその傾向は残る。そして、いったん就職すると、その職にずっとしがみつこうとし、リスクを極端に怖れるようになる。アルコール依存症になる人や、配偶者に暴力を振るうようになる人も多い
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『人生の科学』デイヴィッド・ブルックス・著 早川書房
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◆目次◆
はじめに
1章 意思決定―男女の感じ方
2章 生活観の違い―結婚とセックス
3章 乳児期の成長―親子の絆
4章 「世界地図」作り―脳と学習
5章 愛 着―親子関係と成長
6章 学 習―友人と学校
7章 創発システム―貧困と教育
8章 セルフコントロール―集中力が人生を決める
9章 文 化―成功を決めるもの
10章 知 性―IQの限界
11章 無意識の偏見―選択の仕組み
12章 自由と絆―二つの幸せ
13章 他者との調和―二人の間の境界
14章 合理主義の限界―世の中は感情で動く
15章 科学と知恵―「メティス」という境地
16章 反 乱―組織の改革
17章 すれ違い―恋愛から友愛へ
18章 道徳心―無意識の教育
19章 リーダー―選挙の心理学
20章 真の「社会」主義―階層の流動化
21章 新たな学び―過去との対話
22章 人生の意味―最期の時
謝 辞
訳者あとがき
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