【6000万人が餓死?】
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ウクライナ危機や円安を受けて、毎日のように物価が上昇しているわけですが、それに伴い、食料危機への意識も随分と高まっている感じがします。
本日ご紹介する一冊は、そんな食料危機の真実を知るためにおすすめの本。
著者は、元農林水産省で、経済産業研究所上席研究員も務める農政アナリスト/経済学者の山下一仁さんです。
数字だけが独り歩きする「食料自給率37%」の真実と、なぜ日本の農業が弱体化したのか、どこにリスクが潜んでいるのか、関係者しか知り得ない切り口から、分析、批評を加えています。
本書の第一章で書かれているように、われわれ人間が生きていく上では、炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素が欠かせないわけですが、そのうちの炭水化物である米は、1億2550万人に2合3勺(15歳未満を半分と仮定)を配給すると仮定して、1500万トン~1600万トン必要。
にもかかわらず、農林水産省とJA農協は、減反で毎年米生産を減少させ、2022年産の主食用米をピーク時の半分以下の675万トン以下に抑えようとしているのです。
これは、危機が起こった場合、最悪日本人6000万人が餓死するということですが、なぜこんなことになっているのか、一般にはあまり知られていない「構造」が見えてきます。
危機に備え、どうやって自衛すればいいのか、消費者として何を支持すればいいのか、またビジネスパーソンとして、好機をどう掴むのか、いろいろと見えてきます。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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食料危機への対応は、短期的には平時の国内生産と備蓄、中長期的には食料増産である。最も効果的な食料安全保障政策は、減反廃止による米の増産とこれによる輸出である。平時には米を輸出し、危機時には輸出に回していた米を食べるのである
農家は農地の転用利益をJA農協(JAバンク)の口座に貯金し、その全国団体である農林中金はこれをウォールストリートで運用し、高い収益をJA農協と組合員にもたらした。JAバンクの貯金残高は2020年3月末で107兆円、うち農家等の個人は95兆円に上る
日本農業の高コスト化の一因に、JA農協が独占的な力を使って実現した、農業資材の高コストがある。機械や資材のメーカーも利益を得た。世界の農業機械メーカーの売上高ベストテンに農業国でもない日本の企業が3社もランクインしている
食料危機を煽る人は、地球温暖化によって供給が減少すると主張する。しかし、東南アジアなど低緯度地域では温暖化の影響を受けて生産は減少するが、中高緯度地域では1度から3度までは生産は増加する
日本では民間エコノミストが、テレビに出演して、小麦の用途は裾野が広く、パン、ラーメン、うどん、スパゲッティなど様々な食品の原料なので、家計が影響を受けると指摘していた。しかし、これは誤りである。2008年に小麦だけでなくトウモロコシ、大豆、米の国際価格が2~3倍に上昇し、パンなどの価格も上がったとき、我が国の食料品全体の消費者物価指数は、2.6%上がっただけだった
輸入禁止的な高関税で国内市場を守っているうえ、減反政策による米の供給制限で、米価を国内の市場価格よりもさらに高くしている。この結果、日本の消費者は国際価格よりも高い米を、50年以上もずっと買わされ続けているのだ。小麦価格高騰対策をする前に、減反政策を廃止して米価を下げるべきだ
日本は食料供給の多くを海外に依存している。日本周辺で軍事的な紛争が生じてシーレーン(海上交通路)が破壊され、海外から食料を積んだ船が日本に寄港しようとしても近づけないという事態になれば、国民への食料供給に重大な支障が生じる。具体的には、台湾有事だ
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拝金主義がはびこると、本来大切だったものが失われ、カネに走った当の本人も想定外のことが起きた時に破滅する。
だからといって元に戻すには莫大な時間と知恵、人材が要る、というのがよくある話なわけですが、これは何も農政に限った話ではないと思います。
経営においても、安易な稼ぎ方をするのではなく、本当に大切なものを「持続可能」にすることで、盤石な未来が見えてくるものだと思っています。
農業ビジネスに興味のある方、現在の日本の食料安全危機の現状を知りたい方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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『日本が飢える!世界食料危機の真実』山下一仁・著 幻冬舎
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◆目次◆
第一章 食料とは何か?
第二章 貿易から見える世界の食料事情
第三章 真実をゆがめられた日本の農業
第四章 “食料自給率”というまやかし
第五章 持続可能な日本の水田農業
第六章 食料危機を作る農政トライアングル
第七章 食料危機説の不都合な真実
第八章 日本が飢えるーー餓死者6000万人
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