【話題です。】
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本日ご紹介する一冊は、若者を中心に行われている、倍速視聴の実態と、なぜそれが生まれたのかについて考察した、注目の新書。
2021年3月29日にビジネスサイト「現代ビジネス」に著者が執筆した「『映画を早送りで観る人たち』の出現が示す、恐ろしい未来」、および同年6月、12月に続編として執筆した計9本の記事をもとにした内容で、現代の視聴習慣、さらにはその背景にある社会問題、価値観の変遷がわかる内容です。
コンテンツビジネスに携わる人はもちろんですが、Z世代の消費について知りたい方も、読んでおくといいと思います。
本書を読んで、なぜ『鬼滅の刃』で炭治郎があんなにも説明ゼリフを連発するのか、なぜ人々が倍速でコンテンツを消費するのか、わかった気がします。
サブスクだと人はコンテンツを大事にしないという話や、SNSがもたらした人間関係のプレッシャー、「コスパ」「タイパ」が意味するところなど、じつに勉強になりました。
商品開発、サービス開発に関わる人は、この消費者の意識の変化、ニーズの変化はぜひ読んでおくといいと思います。
今の時代にヒット商品を仕掛けるにはどうすればいいか、何を考慮すべきか、そのポイントがよくわかりました。
いやあ、時代の変化って本当に恐ろしいですね。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングによる2021年3月の調査によれば、20~69歳の男女で倍速視聴の経験がある人は34.4%、内訳は20代男性が最も多く54.5%、20代女性は43.6%。次いで30代男性が35.5%、30代女性が32.7%だ。男女を合算すれば、20代全体の49.1%が倍速視聴経験者だという
倍速の背景
1.作品が多すぎること
2.コスパを求める人が増えたこと
3.セリフですべてを説明する映像作品が増えたこと
昨今の(特に日本の大衆向け)映像作品には、いま自分が嬉しいのか、悲しいのか、自分がどのような状況に置かれているのかを、一言一句丁寧に、セリフで説明してしまうものが多い
長い会話を早送る人は多い。Eさん(男性・大学2年生)もそのひとりだ。「会話の中の情報さえ取りこぼさなければ、それでいいと思っています。心情ものとかじゃない限り、別に飛ばしてもいいかなって」
「早く結末を知りたい欲」を最も効率的に叶えるのが、結末までのストーリーが全部書かれているネタバレサイトや考察サイトを読む行為だ
「映画館では怖くて観られないホラー作品を、ファスト映画で観ます。怖いのが苦手なくせに、怖いもの見たさはあるので、ダイジェストだと怖くないんですよ」
ラノベの売り場を眺めると、やたら長いタイトルのものが目立つ。タイトルが内容を直接的に説明することで、あらすじの役割を果たしているのだ
“推し”という言葉は実にうまくできている。「私、韓国アイドルが大好きなんですけど、“韓国アイドルオタク”とまでは言えないんですよ。もっと詳しい人がたくさんいるので。だけど『△△というグループを推してる』なら、胸を張って言えます」(ゆめめ氏)
「評価が確立しているもの」に乗りたい
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先日ご紹介した原田曜平さんの『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』と併せて読めば、Z世代についてさらに理解が深まると思います。
※参考:『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569846696
ぜひ、読んでみてください。
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『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史・著 光文社
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
序 章 大いなる違和感
第1章 早送りする人たち
第2章 セリフで全部説明してほしい人たち
第3章 失敗したくない人たち
第4章 好きなものを貶されたくない人たち
第5章 無関心なお客様たち
おわりに
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