【勉強嫌いに誰がした】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4420310952
「日本人って学ぶの嫌いよね」
大学時代、フランス語の担任だったドラ・トーザン先生にこんなことを言われ、衝撃を受けたことがあります。
日本人は、受験勉強であれだけ猛烈に学ぶのに、実際には「学ぶのが嫌い」。
自由に学べる立場になった瞬間、学ばなくなる人が多いのは、そもそも学ぶことに対して、ネガティブな感情があるのかもしれません。
本日ご紹介する一冊は、そもそもわれわれがなぜ学ぶのが嫌いになったのか、なぜ学ぶことに挫折してしまうのか、その原因を教えてくれる一冊。
著者は、ベストセラー『嫌われる勇気』の著者であり、60歳にして韓国語を学び始めたという、哲学者の岸見一郎先生です。
※参考:『嫌われる勇気』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478025819
<学ぶことに目的は必要ない>
<競争のために学んではいけない>
<「今」幸福でないなら学び方に問題がある>
気になる見出しがズラリと並んでいますが、丁寧に読んでいくと、学ぶことの本質と人生における意味が見えてきます。
学ぶこと自体を楽しめる人間、困難に直面してもくじけない人間、答えのない問いに直面しても考え抜ける人間…。そんな人間になりたいと切望するなら、本書は「買い」の一冊だと思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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「万物の始原は水である」といった古代ギリシアの哲学者であるタレスは、貧しいことを非難され、ある時、次のオリーブの収穫が豊作になることを天文学の知識によって知り、冬の間にオリーブの搾油機を買い占めました。夏がやってきて収穫時期になると、人々は搾油機がないことに気づきました。そこで、タレスに機械を貸し出すことを求めるしかなかったので、タレスはたちまち莫大な利益を手に入れたといわれています。
「こうして、多くのお金を集め、タレスは哲学者にとってはもしも望むならば金持ちになることは容易であること、ただし、そのことは哲学者の関心事ではないことを示した」(アリストテレス『政治学』)
どんな学問もその価値を役に立つかという観点で見るのは間違っています
自分が疑問に思ったことへの答えを見つけたいと思うことが「知を愛する」こと
競争のために学んではいけない
競争に囚われると自分に執着する
自分のことしか考えないエリートは有害以外の何ものでもありません。勉強ができても他者のことを少しも考えられないようでは駄目なのです
勝てると思った子どもは勉強するが、勝てないと思った子どもは勉強しなくなる
競争は学ぶ喜びを奪ってしまいます
人を説得しようとする人は感情を使います。その際、レトリックを駆使して話します。真実を明らかにするためには感情は必要ではありません
すぐに答えが与えられると、それ以上探求する必要がなくなります。結果的に、学べることが少なくなります
間違いを恐れ、自分ができないことを受け入れられない限り、力はつきません。一般的な話でいえば、人は成功した時にはあまり学ぶことはできないのです
貢献感を持てれば幸福になれる
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著者が哲学を学ぶことで手に入れた生きる知恵、広く語学を学ぶことで手に入れた学習の秘訣、さらに良質な読書リストまでが手に入ってしまう、美味しい一冊。
10年ほど前にご紹介した、元東大総長、佐々木毅さんの『学ぶとはどういうことか』と併せて読むことをおすすめします。
※参考:『学ぶとはどういうことか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062821206
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『ゆっくり学ぶ』岸見一郎・著 集英社クリエイティブ
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
はじめに
第一章 なぜ学ぶのか
第二章 そもそも学びとは
第三章 読書は学びの源泉
第四章 書くことは学ぶこと
第五章 外国語学習は世界を広げる
第六章 生きることは学び続けること
おわりに
参考文献
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