【テクノロジーで変わる値づけの新しい世界】
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以前、サンフランシスコの有名ホテルに泊まったところ、１泊２万円程度で泊まれたのですが、それを現地の知り合いに話すと、「え？　そんなに安く泊まれたの？　あそこ、高い時には１泊10万円はするホテルだよ」と言われ、驚きました。

どうやらそのホテルは、サンフランシスコでＩＴ系のカンファレンスが行われると１泊10万円。土井が訪れた時は、ハロウィンか何かで、基本アメリカ人は泊まらない期間だったため、奇跡的に安く泊まれたようです。（確かに、良いホテルでした）

最近は、このように需要に応じて価格を変動させる「ダイナミック・プライシング」という手法が注目を浴びていますが、どうやったら正解なのかは、よくわからない。

そこで手に取ったのが、本日ご紹介する一冊『新しい「価格」の教科書』です。

ダイナミック・プライシングのサービスを提供する、ハルモニアの代表取締役、松村大貴さんが書いたもので、いま話題のダイナミックプライシングやプライステックの最前線について書かれた、まさに新しいプライシングの本です。

価格の基本、価格の歴史に始まり、プライステックの最前線とメインプレイヤー、さらにこれからプライシングがどうなっていくかの展望までを示しています。

「値決めは経営」と言ったのは、京セラの創業者、稲盛和夫氏ですが、まさに経営の要となるプライシング（値決め）について書かれた、注目の一冊です。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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価格自体を調整するよりも、その前提となる方式、フレームが変わるほうが買い手に対するインパクトが大きく、戦略上の重要な意思決定となる。月額定額料金制の動画ストリーミングサービス「ネットフリックス」は、従来のビデオやＤＶＤのレンタルから、インターネットを通じたストリーミング配信へと提供方法を変えた。2021年現在、月額990円から1980円まで３種類のプランでサービスが提供されている

米国スポーツ業界ではQcueという企業によってチケットのダイナミック・プライシングがサービスを開始。2010年には、メジャーリーグベースボールのサンフランシスコ・ジャイアンツがQcueの技術を用いて会場全体にダイナミック・プライシングを導入している

◆プライシングの発展
（１）一律価格：商品価値に合わせる
（２）ダイナミック・プライシング：時間軸に合わせる
（３）パーソナライズド・オファー：個人軸に合わせる

需要と供給によって価格が変わるということは、他のみんなが好きなモノやマスメディアが強くおすすめしたようなモノは需要が高まり、割高になっていく傾向にあるということだ

これまでの時代は共感性や流行に乗ることがよしとされ、多くの人が欲するものをいち早く手にすることや体験することに価値があるとされてきたかもしれない。しかし、価値3.0の時代はこれが逆転する。ニッチであることや少数派であることはお得で、自分自身の満足度が高い幸せな生き方となっていくはずだ

ダイナミック・プライシングに用いられるデータは大別すると３種類である。
（１）季節性や商品ごとの販売傾向を捉えるための過去蓄積してきた販売データ、（２）売れ方に応じた価格変動を行うための最新の在庫数や予約数データ、（３）天候や気温、競合店舗の価格などの需要に影響を与える外部データだ

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現在、ダイナミック・プライシングが進んでいる航空、ホテル、エンターテインメントなどの業界には、「在庫を翌日に持ち越せない」「需要が時間軸で変わり、ムラが大きい」「供給に上限があり、簡単に増やしたり減らしたりできない」という特徴があるそうですが、ここから考えると、今後、物流、サービス、外食はダイナミック・プライシングが進む可能性があるそうです。（鉄道、テーマパーク、タクシーは検討段階）

これらに該当するビジネスの関係者は、ぜひこの新しいプライシング、勉強しておくといいでしょう。

著者が実践家ということで、もうちょっと踏み込んだ話が知りたかった部分はありますが、これまでにない新しいトピックを扱った本として注目です。

ぜひ、チェックしてみてください。

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『新しい「価格」の教科書』松村大貴・著　ダイヤモンド社

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◆目次◆

はじめに
第１章　価格の基本
第２章　価格の歴史
第３章　価格3.0を象徴するプライステック
第４章　ビジネスを大きく変えるこれからのプライシング
第５章　価格の未来
おわりに