【破綻・ワイキューブの真相】
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オフィスの一階に、高級フレンチを思わせる豪華なワインセラー、地下の会員専用バーには、専属の一流バーテンダー…。
かつて若手ベンチャーの旗手としてメディアを騒がせ、社長自らベストセラー作家になることで脚光を浴びたワイキューブ。
人材業界に新風を巻き起こし、業績も順調に見えていた同社が、2011年3月30日に、突然の民事再生法適用を申請。その話題はたちまちネットを駆け巡り、安田佳生社長のツイッターフォロワーは一日で千人増。ニュースは、ヤフートピックスでも取り上げられました。
ピーク時には売上高46億円を記録した同社が、リーマンショック後は売上高十数億円に転落。
なぜ順調だったはずの同社が、ここまで落ちてしまったのか。
本日の一冊は、その真相を、社長の安田佳生氏本人が語った、注目の一冊です。
成功にいたる道は驚くほど多様ですが、失敗へいたる道はいつも同じ。
著者の場合、自らのコンプレックスや虚栄心、さらには経営知識の不足が招いた失敗だったようです。
この手の失敗モノは、かつてベストセラーとなった『社長失格─ぼくの会社がつぶれた理由』はじめ、良書がいくつかありますが、本書もまた、生々しい当事者の声が書かれていて、読み応えのある一冊です。
※参考:『社長失格─ぼくの会社がつぶれた理由』
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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私はワイキューブを「その他大勢の中小企業」で終わらせたくなかった
波風立てずに秩序を保って生きていれば、誰もあなたの呼吸を止めはしない。そうすれば息はできる。呼吸をしているという意味では、生きているといえるのかもしれない。けれども、私にとってそれは「生きている」ことにはならない。ただ「死んでいない」ということにすぎないのだ
明日の仕事が決まっていないことよりも、明日からの満員電車が決まっていることのほうが、私には怖かった
「やりたくないことを避ける」ことは、決して悪いことではない。イヤなことを無理してやっても、不満が募るし、仕事の効率も悪くなるだけだ。ただし、やりたくないことの線引きにはセンスが必要である
私がワイキューブで試したことのなかには、成功したものもあれば、失敗に終わったものもある。いま振り返ればそれらのほとんどは、業界の巨人であるリクルートへのあこがれ、対抗心、虚栄心から生まれたものだった
ラスベガスに行ったり、シーザーズ・パレスやべラジオに泊まったりしたところで、実際には何も変わらなかったのだ。「俺たちは選ばれた人間だ」いちばんそう思いたかったのは、私自身だった
反感を買うようなセミナーのタイトルをつけたこともあった。「サルならわかる経営の真実」というタイトルだ。四時間半のセミナーとDVDでひとり六万円のセミナーだった。(中略)ほかにも、「素材が悪いヤツは育たない」「犯人は社長です」のような挑発的なメッセージを次々と投げていった
オフィスへの投資は一億五千万円くらいだったので、得られた広告効果に比べれば安いものだった
年収アップを実施したとはいえ、その分の原資が自分たちにあったわけではなかった。給料はすべて、借り入れ資金だった
積極的に新卒を採用しようという会社は、二万社以上には増えなかった。マーケットはすでに飽和状態だったのだ
会社というのは仕事をする場である。利益を上げていくことが、会社が存続するための前提条件なのだ。その優先順位を見誤っていた
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『私、社長ではなくなりました。』安田佳生・著 プレジデント社
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◆目次◆
1章 満員電車からの脱出
2章 営業カバンからの脱出
3章 劣等感からの脱出
4章 アポ取りからの脱出
5章 資金繰りからの脱出
6章 引け目からの脱出
7章 社長からの脱落
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