【アメーラトマト、スペインで成功の秘密】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532324475
本日ご紹介する一冊は、スペインで最も高く売れるという、ブランドトマト「アメーラ」成功の秘訣を、静岡県立大学経営情報学部教授であり、同ブランドの支援をしている著者、岩崎邦彦さんがまとめた一冊。
著者は、これまでにも地方創生、観光振興、ブランディング、マーケティングなどに関する書籍を出していますが、今回は日本発ブランドを世界ブランドにした事例ということで、俄然興味が湧きます。
静岡県から始まった日本発のトマトが、なぜヨーロッパを目指したのか、海外進出するにあたって、どんな調査を行い、どこに勝ち筋を見出したのか。
事例はあくまでトマトですが、成功に至るまでの戦略、戦術の考え方は、海外ブランディング、マーケティングのお手本として、注目に値します。
なぜスペインだったのか、なぜリスクの高いジョイントベンチャー設立、現地生産を選んだのか、どうやってネーミング、パッケージデザインを決めていったのか、勉強になることだらけで、思わず一気に読んでしまいました。
著者が言うように、今は「小さな企業が直接海外とつながる時代」ですが、実際にそれを実現するには、リサーチ方法はじめ、ちょっとしたマーケティングのノウハウが必要です。
本書はそういう意味で、マーケティングの基礎と実践を押さえた、世界ブランド構築のための良質なテキストと言えるでしょう。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
—————————-
かつて「緑茶をほとんど飲まない海外では、日本の急須は売れない」が茶業界の常識だった。海外で急須は、本当に売れないのか。そんなことはない。南部鉄瓶の急須は、ヨーロッパを中心に海外で人気を集めている
アジアで売れるのは、日本で価値がないと捨てられていた小サイズのサツマイモだ。シンガポールや香港、台湾では、小さなサツマイモが好まれる
「トマトの本場のヨーロッパで評価されることで、アメーラは日本から世界のブランドになる」(稲吉正博サンファーマーズ社長)
・欧州に、「高糖度トマト」や「グルメトマト」というカテゴリーはない
・欧州では、収穫量と生産性の追求によって、トマトの同質化が進んでいる
・欧州では、野菜をブランド化しようという発想がほとんどない
海外進出のタイプは、世界で共通の戦略を採用する「標準化」と、進出国に合わせた戦略を採用する「現地化」があるが、アメーラのヨーロッパ進出は、標準化と現地化を“掛け算”する「融合化」戦略である。ブランド戦略と生産技術は「標準化」で、日本主導で進めている。換言すると、日本からの“輸出”だ。一方、流通や営業は、現地化をしている
ヨーロッパ主要国のトマト摂取量は、いずれも日本を上回っている。スペインは日本の7倍、イタリアは5倍、ポルトガルは4倍、フランスは3倍だ
外国人が認識する日本の強みをみてみると、自由に記述してもらったにもかかわらず、驚くほど共通している。調査対象国の上位3項目は同じだ。それは、「文化(Culture)」「人(people)」そして「食(food)」である
海外マーケットでブランドをつくるためには、現地のリーダーを見つけ、その逆を行くことが有効だ
—————————-
トマト生産の盛んなスペインで、なぜ日本産のトマトを売ろうと思ったのか、それによって何を狙ったのか、マーケターの戦略思考が光る一冊です。
日本の生産者に広く知れわたって欲しい事例であり、そういう意味では地方自治体の担当者にとっても必読の一冊と言えるでしょう。
もちろん、自社製品のブランド化、海外進出を目論む方にもオススメです。
ぜひ読んでみてください。
———————————————–
『世界で勝つブランドをつくる』岩崎邦彦・著 日本経済新聞出版
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532324475
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B09N6PCM91
———————————————–
◆目次◆
第1章 世界ブランドへの挑戦
第2章 世界ブランドになる条件
第3章 世界ブランドを創造する
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。