2021年7月12日

『地獄の田舎暮らし』柴田剛・著 vol.5795

【地方移住で後悔しないために】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591169790

長崎県大村市に住んでから1年7カ月が過ぎましたが、おかげさまでとても快適に暮らしています。

地元の方も良い方ばかりで、本当に恵まれていると思います。

ただ、これは単にラッキーなだけではなく、土井が決して田舎暮らしをナメていないことが大きいと思います。

リモートワークがすっかり定着した今、地方で快適に暮らしたいニーズは増えていると思いますが、当然移住は良いことばかりではない。

本日ご紹介する一冊は、そんな移住のリアルを伝え、失敗しない移住のためのアドバイスをくれるありがたい本です。

著者は、親子三代にわたり、日本全国、世界各地を訪ね歩き、生活史の聞き取りを続けているという、柴田剛(しばた・つよし)氏。

数多くの移住者を取材し、移住相談にも乗っているという著者が、不動産の取得から、住まい方、近隣住民との付き合い方、生活費の見積もり方まで、「想定外」を防ぐためのアドバイスをしており、じつに有用な一冊です。

いろんな人の失敗談が出てくるので、不謹慎ながら読み物としても面白い。

実際に移住している人間が読んだ場合、「あるある」話として楽しめるのではないでしょうか。

ここまでひどい話ばかりではないと思いますが、移住を考える人は、転ばぬ先の杖として、必読の一冊です。

さっそく、本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックしてみます。

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周辺が緑に囲まれているほど、それは「開発の余地」があることになり、そこが自身の所有地でない限りは、こうした景観一変、環境一変の事態に見舞われることを覚悟しなければならない

土地を購入して住居を建てる場合は、できるだけ南向きの眼前を広く開けること→土地境界ぎりぎりに建物を建てると、まさしく眼下に太陽光パネルがぎらぎらと反射することになりかねない

南向きにある程度木を残し、林のなかの立地での建物共生をはかること

建築規制のある場所に住まうこと

築年数ではその痛み具合が決して把握できないのが、田舎の家屋である。家屋だけはその土地の気候や風土を一般論から眺めてはいけないのだ

ある40代の移住者に、移住して数ヶ月後、村からの国民健康保険料の徴収告知が届いた。「なんと、それまで暮らしていた東京都内の実に5倍強でした。毎月の健康保険料と介護保険料を合わせると5万円を超えていたのです。保険料だけで単純に60万円近くになったのです」

和室が多いってことは、つまりこの畳の表替えの枚数が多いってことなんです。田舎は畳屋も競争がありませんから、これがバカ高いんですよ。1枚8000円から取りますから。10畳の部屋が2部屋もある古民家ならば退出のときの表替えの費用だけで16万円です

地方行政の最大の難所は、行政の指導が及びえない領域があり、それが地域をとりまとめる、区であり、組でありといった集落にほかならない。行政がその方針を徹底させるにしても、そうした区や組の最有力者である長老組が納得しなければ物事は動かないのだ

都会に自宅がある人間は絶対に手放すな

わずかでも必ず副業を持て

山間部の移住地候補は冬に見る

木を伐るのはひと冬待て

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移住者同士のマウンティング、突如現れる太陽光発電パネル、かさむ光熱費とガソリン代、高額な国民健康保険料…。

あまり言及されない田舎暮らしのリアルが詳細に書かれており、移住地選定のヒント、住まい方のヒントとして、有用な一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『地獄の田舎暮らし』柴田剛・著 ポプラ社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591169790

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◆目次◆

第1章 安易に移住ブームに乗っかると地獄を見る
第2章 地域・物件選びで見る地獄
第3章 生活費で見る地獄
第4章 人間関係に見る地獄
第5章 それでも田舎に住みたい人へ

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