2021年6月25日

『修羅場のケーススタディ』 木村尚敬・著 vol.5784

【「あなたを鍛える30個のケーススタディ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569849636

本日ご紹介する一冊は、話題となった『ダークサイド・スキル』の著者であり、経営共創基盤(IGPI)パートナーの木村尚敬(きむら・なおのり)氏が、修羅場のくぐり抜け方を指南した、興味深い一冊。

※参考:『ダークサイド・スキル』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532321514/

解決するのが困難な、『修羅場のケーススタディ』を計30個用意し、窮地を脱するとっておきの「ダークサイド・スキル」を紹介しています。

いくつか、ご紹介しておきましょう。

<前任者の「負の遺産」で現場が疲弊しきっている(具体的には、無理な押し込み営業)、でも前任者は役員となっており、しかもあなたの上司>

<「二代目」の急激な方針転換に社内が大混乱!さて、自分は二代目社長についていくべきか?それとも現場側につくべきか?>

<社長に対する「クーデター」計画が勃発 あなたならこのクーデターに参加するか?「裏切者」と思われても反対するか?>

企業再生に関わるケースが多いですが、いずれのケーススタディも大変興味深く、ミドルマネジメントにとっては、じつにリアリティあふれる設定です。

スリリングなケーススタディを読んでいるだけでワクワクしますが、解決のための著者からのアドバイスも際どくてしびれます。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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絶対に避けるべきなのは、「一人で、真正面から戦いを挑む」こと。役員に「あなたのやり方はもう古い」などと宣言したところで、自分より立場の強い人に勝てるわけがありません

ビジネスでモノを言うのはあくまで実績。新しいやり方で結果を出せなければ、当初は一丸だった部下の心さえも離れていきます。しかも、結果はすぐに出るものではありません。むしろ、オペレーションやプロセスを変更した場合、短期的には効率が落ちるのが普通です。リーダーに問われるのは、ここで「我慢」ができるかどうか。内心は「本当にうまくいくのか」とビクビクしていても、それをおくびにも出さず、部下に「大丈夫だ」と言い切ることができるか

社長と主要顧客との会食をセットし、その場で新しい方針がいかに素晴らしいかを顧客に語ってもらう。そして帰り際にひと言、「でも、○○役員はいまだに過去の義理人情浪花節スタイルに固執しているのですが……」

「いざとなれば自分が出ていく」と思えるだけのスキルを身につけろ

「どちらにつけば有利か」を判断軸にしてはいけない

会社の中核を担うミドルリーダーであれば、判断軸はあくまで「事業の継続性や長期的な成長につながるか」であるべき

誰だって、「自分の仕事が奪われる」と思えば、反発するのは必至です。それに対してどんな「オファー」ができるか

「事業として成立するかどうか」はもちろんのこと、自分が残りの人生を投資するに値する事業なのかを、大事にしている価値観や志向性と照らし合わせてみる

ワーストシナリオを家族に説明し、理解を得る

上から圧力がかかっても、顧客のために戦えるか

注意すべきなのは、「成績の良いエース社員から順に選ぶ」のが必ずしも合理的な判断とは限らない、ということです。むしろ、相手企業の人員の傾向も考慮した上で、互いに保管しあうような人員構成にしなくてはなりません

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大きな組織で仕事をするミドルマネジメントなら、人生で何度かこういった局面に遭遇すると思いますが、本書はそんなタフな場面でも正しく意思決定するための心構えと技術を示した一冊。

最悪の事態が起こっても動じないビジネスパーソンになるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『修羅場のケーススタディ』
木村尚敬・著 PHP研究所

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◆目次◆

序 章 誰もが「修羅場」を避けられない時代がやってきた
第1章 対上司・対経営者……人間関係の「修羅場」を切り抜ける
第2章 ミドルリーダーが陥る「チームの修羅場」
第3章 あなたの人生を左右する「キャリアの修羅場」
第4章 リストラ、不正、顧客トラブル……ある日突然起こる様々な「修羅場」

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