【不動産テックの最前線】
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本日ご紹介する一冊は、プロップテック(Property×Technology=不動産のテック化)の最新動向を、デジタルベースキャピタル代表パートナーの桜井駿氏がまとめた一冊。
著者は、みずほ証券、NTTデータ経営研究所を経て、2019年にデジタルベースキャピタルを設立。規制産業領域であるプロップテック、フィンテックのスタートアップ投資・育成に携わるほか、不動産・建設領域のスタートアップコミュニティ「PropTechJAPAN」の設立にも関わった人物です。
本書では、フィンテックに遅れて発達しつつある100兆円の巨大市場、プロップテックの最新動向とメインプレーヤーの動きを、著者がまとめた一冊。
一般的な不動産業界の解説も含まれているため、特に前半は冗長な部分がありますが、第4章「PropTechを取り巻くプレーヤー/エコシステム」の部分には、プロップテックのメインプレイヤー、各種サービスの紹介があり、情報として押さえておくといいでしょう。
日米のプロップテックベンチャーが現在、どれぐらいの規模になってきているか、どんなサービスを提供しているかは、知っておいて損はないと思います。
これからの不動産の価格決定に大きな影響を与えそうな情報も入っているので、不動産オーナーはチェックしておくといいでしょう。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きます。
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ゴーストキッチンをはじめとするサービス事業者の最大の特徴は「データ」だ。データが集まることでPropertyや地域(コミュニティ)の価値を高めたり効率化したりする余力は、まだ大いに残っている
iBuyer(アイバイヤー)と呼ばれるサービスもリアルなトランザクションモデルの代表例だ。不動産の買い取り再販をオンラインで行うこのモデルは、2014年に設立されたOpendoor(オープンドア)と呼ばれる米国の企業が代表格
PropTechは「アンバンドリング」と「ワンストップ化」
Divvyは、主に低所得者、クレジットスコアが低く住宅ローンを組むことが難しい人々を対象にして、住宅価格の最大2%を前払いすれば住宅を入手できるサービスを提供している
Cadreは、富裕層や機関投資家向けに特化した、商業不動産を中心としたクラウドファンディングを展開している。通常、最低投資金額は少額だが、Cadreではそれが5万米ドル以上と高額であることが特徴である。従来、機関投資家しかアクセスできなかった市場を、一般向けに開放することで、投資市場そのものの変革を目指している
The Salons Japanは、独立したい美容師向けに、完全個室美容室モールを定額で提供するサービスを展開(中略)アプリの開発・提供も行っており、予約管理機能なども提供する
「ITANDI BB(イタンジ ビービー)」は、物件検索から内見、入居申込、契約、更新、退去手続きまでを一気通貫でサポートする、不動産リーシング業務のワンストップサービスだ。約1900店舗の管理拠点で導入、約3万5000店舗の仲介拠点で利用されている
これまでマンションやオフィスビルの価値は最寄り駅からの近さに大きく左右されていたが、これからはライドシェアのポートの配置場所など、他の移動手段との連携が不動産の価値に影響を与えるようになるだろう
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正直、最新トレンドを概観した内容で、もっと突っ込んで欲しい印象ですが、まずはPropTechの情報をアップデートするという目的であれば、十分役立つと思います。
紹介されているサービス企業について、もっと収益性やリスクに基づいた分析が欲しかったところですが、そこは次回作に期待しましょう。
投資家、不動産オーナーが最新トレンド、メインプレーヤーを押さえるには有用な本だと思います。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『プロップテックの衝撃』桜井駿・著 日経BP
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◆目次◆
第1章 PropTechとは何か
第2章 PropTechのサービス
第3章 PropTechを支えるテクノロジー
第4章 PropTechを取り巻くプレーヤー/エコシステム
第5章 PropTechで何が変わるのか
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