【プロもうなる文章術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478112746
本日ご紹介する一冊は、世界的ベストセラー『嫌われる勇気』のライター、古賀史健さんが、その文章術をまとめた決定版。
※参考:『嫌われる勇気』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478025819/
編集は、『嫌われる勇気』『漫画 君たちはどう生きるか』『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』などで累計1550万部を達成した、柿内芳文さんが担当しています。
本書は、業界のベテランの間でも説明が難しく、暗黙知化されていた編集・執筆の考え方を、こともなげに書いてしまったすごい本。
さらに、類書にはおそらくなかったであろう、「課題の鏡面性」「構造の頑強性」というコンセプトが登場し、書籍を書く上で、とても重要なポイントが語られています。
どうすれば内容が読者にとって「自分ごと」になるのか、どうすれば文章量が多くなっても読みやすい文章が書けるのか、プロの技術が惜しげもなく紹介されています。
約150ページを費やして語られる取材の秘訣、「桃太郎」を10枚の絵で説明することで磨かれる構成力、本を「コンテンツの百貨店」に例えることで見えてくる、各フロア(章)の設計…。
これまでにない視点がたくさん盛り込まれた斬新な中身ながら、本質を突いた、読み応えある文章術だと思います。
初心者向けの本ではないですが、既に書いている方にとっては、きわめて読み応えがあり、実践的な一冊です。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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次の3つが揃ったとき、価値あるコンテンツが生まれる
1.情報の希少性
2.課題の鏡面性
3.構造の頑強性
自分を更新するつもりのない取材者は、どれほどおもしろい情報に触れても「へぇー、なるほど」で終わってしまう
「気がついたら、こんなところにまできてしまった」「おかげで、はじめてことばにすることができた」お互いがそう思える取材が、最高の取材
取材の現場そのものが保存可能だと思ったら大間違い
話がわかりにくい人たち、また話がつまらない人たちは、話の主題がつまらないわけではない。「課題共有」の欠如が、相手を困惑させ、退屈させてしまうのである
高級百貨店の1階は、ハイブランドの装飾品や化粧品だけを売っているのではない。商品よりもむしろ、「日常から隔絶された異世界」という体験それ自体を売っているのだ
対談者それぞれの文体を見極めよう。語彙や語尾だけでなく、その人の「声」に意識を振り向けよう。文字の上から「ふたつの声」が聞こえてきてこそ、対談原稿なのだ
とくに「あたらしい概念」や「まだ誰も知らないこと」を説明するときには、親切心を伴った比喩が必要だ。たとえば、経営コンサルタントという職業が一般的でなかった時代、大前研一はそれを「企業参謀」と呼んだ。ウェブメディアの存在が一般的でなかった時──むしろ「ホームページ」の語が一般的だった時代──に糸井重里は、みずからのウェブメディア(ほぼ日刊イトイ新聞)に、「新聞
の二文字を入れた
普遍的、また一般的なことばを選ぼうとするとき、ともすると「天使の優しさ」みたいな平凡な表現に落ち着きがちだ。この比喩がおもしろくないのは、「天使」のせいでも「優しさ」のせいでもない。両者の距離が近すぎるところに、原因がある。これが「天使の狡猾さ」だったなら、比喩としておもしろく読める
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ライター業をやっている人、現役の著者にとっては、宝物のような一冊。
著者が、ノウハウとして語っていることを、自分自身で実践しているのがわかる文章で、本文をノウハウと照らし合わせて分析すると、いろいろ発見があります。
オビに、<100年後にも残る「文章本の決定版」を作りました。>と書かれていますが、決して大げさではないと思います。
3000円+税は、決してお値段としては安くないと思いますが、中身を読んでからだと格安に思えてきます。
SNSで、一流編集者たちが絶賛していましたが、その理由がよくわかりました。
ぜひ読んでみてください。
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『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』
古賀史健・著 ダイヤモンド社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478112746
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◆目次◆
ガイダンス ライターとはなにか
取材
第1章 すべては「読む」からはじまる
第2章 なにを訊き、どう聴くのか
第3章 調べること、考えること
執筆
第4章 文章の基本構造
第5章 構成をどう考えるか
第6章 原稿のスタイルを知る
第7章 原稿をつくる
推敲
第8章 推敲という名の取材
第9章 原稿を「書き上げる」ために
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