【全米ベストセラー待望の邦訳】
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本日ご紹介する一冊は、名著『繁栄』で知られ、あのビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグも賞賛する、科学・経済啓蒙家、マット・リドレー氏による待望の最新刊『How Innovation Works』の邦訳。
マット・リドレー氏は、あの『利己的な遺伝子』のリチャード・ドーキンス博士と並び称される人物で、オックスフォード大学で動物学の博士号を取得後、「エコノミスト」誌の科学記者を経て、英国国際生命センター所長、コールド・スプリング・ハーバー研究所客員教授を歴任。オックスフォード大学モードリン・カレッジ名誉フェローも務める人物です。
本書では、人類とイノベーションの歴史を概観し、これまで光の当たらなかった影の貢献者たちの役割にフォーカス。
英雄を中心に語られることの多かったイノベーション史を書き換え、その実際を詳述することに挑んでいます。
丹念にイノベーションの歴史を振り返ることで見えてくるのは、変革が一人の天才ではなく、多くの頭脳によってなされるという事実。
また、イノベーションが起こりやすい環境や、イノベーターがどんな人物で、どんな資質を持ち合わせていたかなど、興味深い事実がいくつか見えてきます。
トイレのS字パイプや屋根に用いられるブリキ波板、キャリーバッグ、コンテナなど、取り上げられる事例も興味深く、分厚さが気にならない面白さです。
イノベーションを起こしたい企業、個人はもちろん、それを支援する国や地方自治体の関係者も読んでおくといいでしょう。
どんな場所や人物、偶然がイノベーションを実現するのか。
さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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生命もテクノロジーも詰まるところ、ありえない万物の配列であり、エネルギー生成の結晶
蒸気機関を発明したトーマス・ニューコメンや、織物革命を起こしたリチャード・アークライト、鉄道の父ジョージ・スティーヴンソンのように、多くのイノベーターは出自が低く、ろくな教育を受けていなかった
多くのイノベーションは、それを支える科学より先に生まれている。したがってフェルプスが論じているように、産業革命はじつのところ、内部で進行するイノベーションを製品そのものとして生みだす、新手の経済システムの出現だった
原子力発電はイノベーションが不可能
ライト兄弟の際立った特徴は、大変な仕事へのひたむきさだ。兄弟は結婚せず、軽薄なことや少しでも歓楽めいたことにはいっさい興味をもたず、日曜日を除いて神から授かる時間すべてを働くことにささげた
抵抗を乗り越えた要因のひとつは戦争だ。コムギとオオムギに依存していた地域では、侵攻軍が貯蔵穀物の倉庫や家畜小屋を襲い、農作物を踏み荒らしたり食べつくしたりして、住民は飢えることになった。しかしジャガイモは、こうした略奪をまぬがれることが多かった。軍事行動の季節には地中にあって、兵士が掘り出すには手間がかかりすぎる。そのため、ジャガイモを栽培している農民のほうが戦争をうまく生き延びる傾向があり、その習慣が広まった
トイレの「S字パイプ」の発明者は数学者だった
1970年代に空の旅が急速に拡大し、乗客が歩かなくてはならない距離が増えたことで、キャスター付きスーツケースが真価を発揮する転機が訪れたのだ
人口密度が高いほどイノベーションが起こりやすい
イノベーションは脳のなかではなく、脳と脳のあいだで起こる集団的現象である
イノベーションは「帝国」では生まれにくい
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読めば読むほど、今の日本でなぜイノベーションが起こらないのかがわかってきて、残念な気持ちになります。
一方で、個人がどんな心構えで戦えばイノベーションを実現できるのか、光も見えてきます。
Clubhouseのような臨場感あるSNSは、ひょっとしたら都市以外でイノベーションが起こる、初めてのきっかけとなるかもしれませんね。
名著です。ぜひ、読んでみてください。
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『人類とイノベーション』
マット・リドレー・著 大田直子・訳
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◆目次◆
第1章 エネルギーのイノベーション
第2章 公衆衛生のイノベーション
第3章 輸送のイノベーション
第4章 食料のイノベーション
第5章 ローテクのイノベーション
第6章 通信とコンピュータのイノベーション
第7章 先史時代のイノベーション
第8章 イノベーションの本質
第9章 イノベーションの経済学
第10章 偽物のイノベーション
第11章 イノベーションへの抵抗
第12章 現代のイノベーション欠乏を突破する
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