2020年12月18日

『ビジネスの未来』山口周・著 vol.5662

【これからビジネスはどうなるのか。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833423936

水野和夫さんが『資本主義の終焉と歴史の危機』を出版したのは2014年のことでした。

2020年、コロナ禍にあってわれわれは、より一層、「資本主義の終焉」を予感しているのではないでしょうか。

※参考:『資本主義の終焉と歴史の危機』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087207323/

この本には、なぜ資本主義が終わりを迎えるのか、その理由が見事に述べられていたのですが、社会を再構築する必要性に迫られたわれわれには、新しい時代を構築するための思想が求められます。

本日ご紹介する『ビジネスの未来』は、おそらくそのヒントとなる一冊です。

本書は、ベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著者であり、独立研究家、著作家、パブリックスピーカーである山口周さんが、『ビジネスの未来』を論じた一冊。

※参考:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334039960/

本書の冒頭で著者は、「ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのでないか?」と問いを投げかけ、その根拠と、これからわれわれがどう生きればいいのか、ヒントを示しています。

・文化的豊かさを生み出すビジネス
・経済性から人間性
・生きるに値する世界
・贈与のシステム
・高い精神的報酬
・小さく、近く、美しく

キーワードを一見して、理想主義的過ぎると思われる向きもあるかもしれませんが、これからのビジネス、生き方のヒントが明確に示された必読書です。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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この世界を「安全で便利で快適な(だけの)世界」から「真に豊かで生きるに値する社会」へと変成させていく

最大の問題は、そもそも「どのような社会を作りたいのか?」という構想が描かれないままに、単なる「変化率」を表す概念でしかない「成長」という指標だけが、独善的に一人歩きしていること

現在の社会は「物質的不満の解消」についてはゲームを終了した状態にありますが、「生きがい」や「やりがい」といった「意味的価値の喪失」といった問題をはじめとして、貧困や格差や環境といった、これまでのビジネスでは解決の難しい社会的課題がたくさん残っています

本来、私たちがやらなければならないのは、そのような「GDPの延命措置」ではなく、「人間が人間らしく生きるとはどういうことか」「より良い社会とはどのようなものか」という議論の上に、では「何を測れば、その達成の度合いが測れるのか」を考えることでしょう

真に問題なのは、「経済成長しない」ということではなく「経済以外の何を成長させれば良いのかわからない」という社会構想力の貧しさであり、さらに言えば「経済成長しない状態を豊かに生きることができない」という私たちの心の貧しさなのです

ここ一〇〇年のあいだ、私たちの社会を苛み続けてきた三つの強迫、すなわち「文明のために自然を犠牲にしても仕方がない」という文明主義 「未来のためにいまを犠牲にしても仕方がない」という未来主義 「成長のために人間性を犠牲にしても仕方がない」という成長主義からの脱却が必要

過去のイノベーションを調べてみれば、核となるアイデアの発芽したポイントに、経済合理性を超えた「衝動」が必ずといってよいほどに観察される

シエナの大聖堂の鐘塔が建立されたのは七〇〇年前、油滴天目茶碗が焼かれたのは四〇〇年前ですが、これらの文物はそのあいだに一切の二酸化炭素を出すわけでもなく、それを目にする人、手にする人に人間性に根ざした強い愉悦を与え続けている

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本書で示された考え方や理想を、これからどうやって社会に実装していくか、議論と調整が必要でしょうが、長期的には、こうあるべきだと強く思います。

資本主義の終焉が、歴史の必然だとするならば、われわれはこれからどうやって社会を創っていけばいいのか。

富めるものをより肥え太らせながら、貧しさの改善にはつながっていない現在の悪しきシステムを断ち切るため、みんなで読んで議論すべき内容だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『ビジネスの未来』山口周・著 プレジデント社

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<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08PZ9HRJM

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◆目次◆

はじめに
第一章 私たちはどこにいるのか?
第二章 私たちはどこに向かうのか?
第三章 私たちは何をするのか?
補論
おわりに
参考文献

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