【これは名著だ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415209933X
本日ご紹介する一冊は、カリスマCEOマイケル・アイズナーの後を継ぎ、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックスの奇跡の買収を成し遂げたディズニー中興の祖、ロバート・アイガーによる、注目の一冊。
結論から言うと、あまりに素晴らしい本で、思わず配信が遅れてしまいました(苦笑)。
本書を読んだファーストリテイリングの柳井正さんが、こんな推薦文を寄せています。
「生きる伝説。奇跡の大成功の数々を追体験し、次はあなたが成功する」
決して家柄に恵まれていたわけでもない、地味な存在だった著者が、エンターテインメント業界の底辺から、ディズニーCEOにまで上り詰め、誰もが不可能だと思ったピクサーの買収、マーベルの買収、ルーカスフィルム、21世紀フォックスの買収を成功させることができたのはなぜなのか。
他者とのコラボレーションが成功の鍵を握る今、必要なのはカリスマ性よりもむしろ他者尊重の姿勢かもしれない。
経営者として今、求められる資質と原則が表現された、新鮮な一冊です。
さっそく、本書の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう!
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ワニが子供を襲ったことは広く報道されていたが、私は自ら会社としてのコメントを出したかった。ほかの企業で危機が起きると「広報担当者」が公式声明を発表するのを見てきたが、そんなやり方が、私にはどこか卑怯で冷たく感じられた。それが過失から経営者を守るための企業の仕組みであることはわかっていたが、私はいやだった
ずっとあとになって、ディズニーのCEOに就任した私は、ニューヨークで父を昼食に連れ出した。そこで、私は父の精神の病について話し、父が人生をどう思っているかについて語り合うことができた。父と母が私たち兄妹のためにしてくれたことすべてに、両親が私たちに植え付けてくれた倫理観に、そして二人が注いでくれた愛情に、心から感謝していることを私は伝えた(中略)私の成功を助けた資質の多くは、父から受け継いだものだということを、父にわかってほしかった。父にそれが伝わったことを願っている
ルーンはまず、テレビはただスポーツイベントを放送するのではなく、物語を伝える役割があることを知っていた。そして、感動的な物語を伝えるには、秀でた才能が必要だった
ルーンはまた、私が一緒に働いた人の中ではじめて、テクノロジーを利用してテレビ放送の中身とその手法を革命的に変えた人物だった。カメラの切り返し、スローモーション再生、衛星生放送といった手法はすべて、ルーンが導入したものだ
ルーンの口癖は単純だった。「もっといいものを作るために必要なことをしろ」。ルーンから学んだ数多くの教訓の中でも、何より今の私を作ってくれたのはこの言葉だ
仕事でも、私生活でも、自分の失敗を正直に認めれば、周囲の人から信頼され、尊敬されるようになる
「人生は冒険よ」と妻は言った。「冒険しなくちゃ、生きてることにならないわ」
エンターテイメント部門を立て直すことが私の仕事だ。経験がないことは何の言い訳にもならない。そう心に刻んだ。そんな状況に立たされたら、どうしたらいい? まずは、自分を偽らないことだ。謙虚に、誰かのふりをせず、自分が何を知らないかを知ることからはじめなければならない
自分の失敗は自分で責任を取らなければならない。失敗したら誰かをかばい、成功したら誰かを褒めることで、周囲から尊敬され慕われる人間になれるのだ
苦境にある時は特に、部下がリーダーを信頼し、自己防衛と生き残りのために動くのではなく、本当に大切なことに集中しなければならない
最善の判断をするためにはプライドは脇に置け
人は時として大きな賭けをはなから諦めてしまうことがある。勝率を計算し、最初の一歩を踏み出す前に、うまくいきっこないと自分に言い聞かせるからだ。私が昔から直感的に感じてきたことであり、ルーンやマイケルのような人たちと働いた経験からも確信を強めたことは、到底できっこないと思えることが、意外に現実になるということだ
ピクサーの買収は一時五分に発表された。記者会見を終えたあと、スティーブと私はドームのようなピクサーのアトリウムに設けられた演台に立った。ジョンとエドが横に立ち、目の前には一〇〇〇人近いピクサーの社員がいた。私が話しはじめる前に、誰かがこの瞬間の記念に、ピクサーの象徴であるルクソーランプをプレゼントしてくれた。とっさのことだったが、私はみんなに感謝し、このランプでディズニー城を照らしますと言った。それ以来ずっと、ピクサーのランプはディズニーを照らし続けてくれている
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おそらく、一定の売上を確保するために「ディズニー」や「実用性」をタイトルに入れたのでしょうが、数々の名タイトルを生んできた早川書房らしからぬ邦訳タイトルがちょっと残念でした。
ロバート・アイガーがピクサーを買収した時ぐらいの大胆さで、タイトル付けして欲しかったですね。
その分、書評家としては、全力でアピールしたいと思いますが、内容は本当に素晴らしい。
なかでも、合併発表の直前、スティーブ・ジョブズからがんの再発を告白された著者の英断のシーンは、感動的です。
他者をリスペクトすること、誠実であること、大事なことにフォーカスし続けることが、これほど偉大な成果を生む。
ビジネス戦略の視点から学ぶことも多く、特に著者がこの巨大エンターテインメント企業をどう整理して考えていたかをまとめた311ページは圧巻です。
結論から言うと、名著。経営者なら全員「買い」の一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『ディズニーCEOが実践する10の原則』ロバート・アイガー・著
関美和・訳 早川書房
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◆目次◆
第1部 学ぶ
第1章 下っ端時代
第2章 大抜擢
第3章 首位奪還
第4章 ディズニー入社
第5章 ナンバーツー
第6章 内紛
第7章 後継者選び
第2章 導く
第8章 最初の一〇〇日
第9章 ピクサー買収
第10章 マーベル買収
第11章 スター・ウォーズ継承
第12章 イノベーションか、死か
第13章 正義の代償
第14章 未来への布石
付 録 リーダーの原則
謝 辞
訳者あとがき
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