【いまだから読みたい】
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以前ご紹介した、『貞観政要 上に立つ者の心得』(渡部昇一、谷沢永一・著 致知出版社)に、こんなことが書かれていました。
※参考:『貞観政要 上に立つ者の心得』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800912164/
<二十四年間の在位中、太宗は兄を殺したという決定的な負い目を背負い続けた。それを帳消しにするために、太宗は名君たらざるを得なかったとも言えるでしょう(谷沢氏)>
人は枷を負い、それゆえに名君になることがある。これは目からウロコでした。
本日ご紹介する一冊は、経営者として過去に取り返しのつかない事故を起こし、真の経営に目覚めたという、株式会社宮田運輸代表取締役社長、宮田博文さんによる一冊。
本書によると、宮田運輸は2013年8月30日に人身事故を起こし、社員が運転するトラックがスクーターと接触。スクーターに乗っていた男性は死亡したそうです。男性には、小学校4年生の女の子がいました。
かつて厳しい目標管理で社員を縛りつけていた著者は、この事故を機に経営の刷新に取り組みました。
その経営は、NHK「おはよう日本」、読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」などで紹介されたそうです。
『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』
タイトルからして気になりますが、オビに書かれた言葉もいい。
「管理をやめたら社員も会社も成長した!」
どうしたらそんな経営ができるのか。気になって読みましたが、本当に感動しました。
本書の中から、いくつか印象に残った部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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数字と目標で社員を縛れば縛るほど、主体性は消えていった
「本当にトラックが好きなら、そのトラックを使って人の命を生かすべきなんじゃないか。それが亡くなった男性と遺族の方々に対して自分ができることなのではないか」
社員は評価し、管理する対象ではなく、「1つひとつの命」として見えるようになりました。もちろん、それはお客様に対しても同じです
自分の子どもの絵とメッセージを背負って走れば、うれしいですし、何よりドライバーはそのトラックを大切にし、「恥ずかしくない運転をしよう」という気持ちになります。また、ラッピングされたトラックのうしろを走るクルマも、絵が目に入るだけでやさしい気持ちになるはずです。事実、効果はてきめんで事故率は4割減。ドライバーが急発進、急停車することも減り、ていねいな運転になったことで燃費も向上しました
人を信じる。やさしさ、良心、美しい心に目を向ける
「困ったときは大騒ぎ」(中略)さらに、「今月はこんな事例がありました」と「困ったときは大騒ぎ」の対応事例を共有していく
指示するのではなく、「助けてほしい」の姿勢が大切
「助け合う」社風こそ、会社にとって最も重要な資産
仲間を助ける際のコストは考えない
「待遇」ではなく「助け合う」社風が社員の自主性を育む
従業員が困っていたら、会社がお金を貸し出す
誰かのためなら人は自ら動く
現場にいて、自分のやっていることにどんな意味があり、全体の流れのなかに自分がどう参画しているのか。その仕事の結果が誰かを助けるものなのかどうか。どう助け、どう役立っているのか。そんなことがわかったとき、人は「やろう」と思います
「仕事の内容は変わらないのに、前は嫌々やっていたのが、宮田運輸にきたら毎日倉庫に行くのが楽しくて、何が違うんやろ? と考えたら、見てくれている人がいるからやとわかった」
人事の担当者に言っているのは、「選ぶな」と。先着順くらいの気持ちで決めていくよう伝えています
人を信じるから人が集まる
なぜ、社長が率先して何かを学び、自分を高めなければいけないのか? それは、従業員の幸せのためです
お客様の足元を見る商売は絶対にしない
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経営者は本来、お客様にも従業員にも幸せになってもらいたいと思っているものだと思いますが、そこに邪念が入ったり、数字へのプレッシャーがあったり、疑心暗鬼が生まれたり、過去の傷が邪魔したりして、ついつい過剰な管理をしてしまう。
本書は、経営者なら誰もが陥るそんな罠からどうやったら抜け出せるか、重要なヒントを与えてくれます。
「こんな経営ができたらいいな」
「経営って本来楽しいものなんだよな」
と、原点に戻るきっかけを与えてくれる、経営者のための心のサプリメント本です。
エピローグには、本気で泣かされました。
ぜひ読んでみてください。
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『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』
宮田博文・著 かんき出版
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761274514/
<Kindleで購入する>
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◆目次◆
プロローグ
第1章 モチベーションの源泉は「人の役に立てること」
「助け合う社風」はどのように生まれたのか?
第2章 1人ひとりを信じて任せる
従業員の主体性を生みだす仕組み
第3章 リーダーに最も必要なのは「愛」
人をとことん信じ切る「心の経営」
第4章 目先の数字は絶対に追わない
目の前の困っている人を助け続ければ、会社と従業員は成長する
第5章 人は「管理」ではなく「幸せ」になってこそ成長する
従業員と社会を幸せにするプロジェクト
エピローグ
おわりに
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