2020年3月5日

『営業はいらない』三戸政和・著 vol.5468

【セールステックで営業マンが消える?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4815604606

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』の著者でベンチャーキャピタリスト、三戸政和さんが営業職の終焉を予言した一冊。

過激なタイトルではありますが、その意図を著者はこう説明しています。

<本書は『営業はいらない』という釣りのようなタイトルであるが、私は10年後には営業という概念がなくなっていると確信している。大量生産、大量消費を煽
ってきたビジネスモデルから、「本当に必要なモノやサービス」だけが生き残る時代に移行すると考えているからだ>

著者は、これまでに起こったあらゆる不祥事の根底に、「ノルマ」があると論じています。

郵便局による保険押し売り、野村證券のブラック化、スルガ銀行の不正融資問題…。

すべては、<これら企業のビジネスモデルが時代に追いつかず、多くの営業マンを余剰に抱えた結果>起こっているというのです。

反対に本書では、これまでとは逆に「営業不要」で成功している企業の事例を紹介しています。

アップルやテスラ、バルミューダ、CADDi(キャディ)、九州の通販企業、セールスフォース、Sansanなどの事例を読めば読むほど、今後注目は営業を不要にする「セールステック(Sales Tech 営業支援ツール)」であることがわかるでしょう。

勘の良い営業マン、経営者なら、本書のなかから、自分の次の職やビジネスが想像できるはずです。

さっそく、本文のなかから、いくつかポイントをチェックして行きましょう。

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未来はより進化していて、購入履歴のみならず、サイトの閲覧履歴、SNSの投稿履歴、スマホを介した位置情報の履歴など、あなたの生活や嗜好のすべてをAIが分析し、より質の高いレコメンド(推薦)を行ってくる。でもそこには、一切、人が介在していないことを私たちは忘れてはいけない

AmazonによってBtoCにもたらされた大変革は、BtoBの現場でも起きはじめている

フィンテックが銀行業界を脅かしているように、あらゆる営業の分野で、セールステック(Sales Tech 営業支援ツール)の存在感がますます大きくなっている

ではなぜ、大企業の中でも、特に営業マンを多く抱える企業において、「ノルマ」と「不祥事」の問題が併存してしまうのだろうか。考えられる要因としては、これら企業のビジネスモデルが時代に追いつかず、多くの営業マンを余剰に抱えた結果のトラブルであることがうかがえる

世界はもう「営業不要」で成功しはじめている

なぜ営業職全体は減っているのに、営業事務職が増えているのか。それは足で稼ぐ従来型の「外回り型営業マン」の数が減る一方、セールステックと総称される営業支援ツールを駆使する「内勤型営業マン」が増えているためである

・機種の数を増やす
・機能を積み増す
日本の大規模メーカーの中には、この「足し算型の戦略」を採ってきた企業が多い。日本は自動車業界のみならず、家電業界もこれが顕著だ。一方、米国のApple社の商品は、iPhone、Mac、Apple Watch、iPad、Apple TVくらいしかない。それにひきかえSONYの製品は、テレビだけで何種類もあり、オーディオ、デジカメ、パソコン、タブレット、それらの周辺機器まで合わせれば、知らない製品のほうがはるかに多い。これが「機種の数を増やす」という戦略の結果だ

エクスペリエンス、すなわちユーザーが得られる「体験」や「感動」を想像しながら製品やサービスの開発に当たるのが「エクスペリエンス優先型の発想法」だジョブズ氏は、「顧客がどんな商品をほしがっているか?」を考えるのではなく、「どんな製品だったら顧客は圧倒的に感動するだろうか?」といった視点に立って、製品の開発を進めていたのである

最高の「エクスペリエンス」を提供できる会社が行き着く先は、「営業をする必要すらない世界」である

製造業における直接材である特注の板金加工品についても、インターネットで見積もりを出し、オーダーまでできるプラットフォーム「CADDi(キャディ)」の成長が著しい

現在、エムスリーが展開するサイト「m3.com」を利用する医師は28万人で、国内の医師の約9割にのぼる

遠隔で戦うことができるインターネット時代においては、固定費が安く、人不足に陥っている地方こそ、営業マンに頼らないインサイドセールスが発展していく
可能性が高い

Sansanは、社内への顧客引き継ぎや顧客紹介といった営業マンの仕事をツール化した上に、膨大な情報を一度に共有することができるべく進化している

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ベンチャーキャピタリストが「セールス・テック」に注目しているということは、株式投資に関しても、同カテゴリーの企業が有望になるということでしょう。

おそらく本書の執筆段階では想定されていなかったと思いますが、新型コロナウイルスの猛威が世界を席巻する今、「人に会わずに仕事をする」ビジネスは、これからますます有望になるはずです。

本書で著者が説いているように、ビジネスはどんどん営業不要になり、元来経営者向きの営業マンには未来型のビジネスの可能性が拓けてきます。

今後のビジネス、投資のヒントをつかむためにも、ぜひ、読んでみてください。

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『営業はいらない』三戸政和・著 SBクリエイティブ

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4815604606/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B083PTCYZY/

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◆目次◆

第1章 サラリーマンの不幸の根底には「営業」がある
第2章 世界はもう「営業不要」で成功しはじめている
第3章 テクノロジーが営業を殺す
第4章 営業マンはどこに向かうのか
第5章 営業マンを自由にする「小商い」のすすめ

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