2019年12月16日

『ソフトバンクで占う2025年の世界』田中道昭・著 vol.5418

【ソフトバンクで未来のビジネスがわかる?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569843948

本日ご紹介する一冊は、『アマゾンが描く2022年の世界』『GAFA×BATH』などのベストセラーを持つ立教大学ビジネススクール教授、田中道昭さんによる注目の一冊。

※参考:『アマゾンが描く2022年の世界』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569837336/

※参考:『GAFA×BATH』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532322650/

ちょうど、ヤフーとLINEの統合話が話題になったタイミングで、まさにドンピシャリの内容。

金融に詳しい著者ならではの、ソフトバンクのシビアな分析が光る一冊です。

財務面、人事面、投資先のビジネスモデルなど、複雑なソフトバンクグループの全貌がよく見える内容です。

ソフトバンクは今後も成長し続けられるのか、どこにビジネス・投資の機会があるのか。ソフトバンクを知ることは、今後のITビジネスを知ることであり、世界の成長の方向性を知ることでもあります。

明るいだけではないソフトバンクの現状を冷静に分析しており、ライターが公式取材しただけでは決してできない鋭い視点が盛り込まれています。

さっそく、内容のポイントをチェックしてみましょう。

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ソフトバンク・ビジョン・ファンドの主要な投資先企業は、「ある程度すでに成長して成功が見えてきているユニコーン企業」──米ウーバー・テクノロジーズや中国ディディ(滴滴出行)などであるため、後発者利益を狙っていると言える

「AI=推論」だとして、AIが需要を予測し、供給を最適化する、つまりAIは需要と供給をマッチングしてマネタイズするものだと明確に定義しました

決算説明会では、孫社長は中国で2016年に創業したオンラインの中古車販売会社グアヅゥの事例を挙げて、「AI=推論→収益化」について話しました。グアヅゥは、AIを活用することでクルマを自動査定し、客をオンライン・オフラインで行動分析することで、そのクルマがいくらで、いつまでに売れるかを予測します。クルマの売り手と買い手を直接つなげるため仲介業者がいらず、非常に効率的かつ安価なため、2018年度の取引台数は約70万台、売上は倍速で伸びています。AIの活用によって、収益率も成長率も急激に伸びたいい例です

実際にはソフトバンクグループの連結有利子負債は合計16兆円以上ある(中略)ソフトバンク、スプリント、ヤフーなどの子会社が抱える負債は、それぞれの会社が責任をもって返済する負債なので、親会社であるソフトバンクグループに返済義務はなく、だからソフトバンクグループの負債ではないと捉えているのです。しかし、何らかの理由で市況が崩れたとき、契約上は直接の返済義務がなくとも親会社に対して「ローンを返済しろ」と銀行が言うケースを、筆者自身がバブル崩壊の局面で何度も目の当たりにしてきました

LINEは中国のテンセントをベンチマークしています。テンセントの決済アプリ「ウィーチャットペイ」が中国市場を席巻した経緯を見れば、LINEのポテンシャルも実感できることでしょう

300年間という長期にわたって成長し続けるためには、単独ではなく集団として闘うこと、すなわち群で闘うことが重要

◆群戦略のポイント
1.自己増殖と自己進化
2.ナンバーワン主義

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先であるオヨは、2013年にインドで創業・設立されたホテル運営プラットフォームです。運営するホテルの客室数で見れば、世界80ヶ国で約110万室を有するまでに急成長し、マリオットの約131万室に次ぐ世界第2位の規模

孫社長によれば、この4社で世界のライドシェアマーケットの8~9割になり、1日当たり約7000万人がライドシェアサービスを活用しています。そして、この4社すべての筆頭株主がソフトバンクグループなのです

投機によってつくられるバブルが崩壊する前に起きること、投機の3要因すべてが、現在のソフトバンクグループにそのまま当てはまる

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あの複雑なソフトバンクグループの全貌をまとめ、経営の脆弱性や今後のチャンスを指摘した、専門家による貴重な分析です。

投資に興味がある方は、孫正義氏がどんな目で投資先を見ているのか、その視点がよくわかると思います。

ソフトバンクグループに投資している方は必読。また今後同社を中心に起こるであろう業界再編の動きが知りたい方にも、必読の一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『ソフトバンクで占う2025年の世界』田中道昭・著 PHP研究所

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◆目次◆

序 章 全産業に大再編を巻き起こす「孫正義の大戦略」
第1章 孫正義とソフトバンクの研究
第2章 「米中に次ぐ第三極」を目指す戦いの始まり
第3章 10兆円ファンドと「AI群戦略」
第4章 最大の強み「金融財務戦略」を詳解する
第5章 ソフトバンクグループの「産業戦略」
第6章 GAFA×BATHと比較分析する
最終章 シナリオ分析で探るソフトバンクグループの近未来

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