【年商7000億円のスーパーを創った男】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833423057
本日ご紹介する一冊は、「ゆめタウン」を展開する広島発祥の巨大小売「イズミ」の創業者、山西義政名誉会長による一冊。
普段、東京にいる方はあまりご存じないかもしれませんが、「ゆめタウン」は、中国・四国地方では超有名な小売で、現在は九州地方にも積極展開しています。
16歳で父を亡くし、原爆で母を亡くし、たった一人、焼け野原となった広島でヤミ市から身を起こした山西氏が、何を考え、商売をしてきたのか、その思想とこれまでの軌跡がわかる一冊です。
調達した干し柿が飛ぶように売れた話、食べ物の次は衣料品が来る、と察してすぐに動いた話、金払いの良さで取引相手から信頼された話。
いずれも商売人なら、勉強になる話ばかりです。
長く商売をやっていれば、失敗もありますが、本書ではその点も包み隠さず書かれています。
経営者として、何に気をつければいいか、ポイントがよくわかると思います。
セブン&アイ・ホールディングス創業者の伊藤雅俊氏が「戦友」と呼ぶ山西氏が、どんな人物なのか。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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私は、かろうじて命拾いをしました。もしも、工機学校に合格していなければ、間違いなく飛鷹に乗り込み、マリアナ沖に出撃していたはずです。そして、空母とともに海の藻屑となっていたことでしょう
広島に到着すると、私はすぐに家族を探しましたが、母は原爆のためすでに亡くなっていました(中略)私の手元にあるのは800円の現金だけ。勤め人の給料だと2カ月分に過ぎません。これを元手にして生きていかなくてはならない
その光景を見ていると、私はかつてアサリやシジミを売り歩いたことを思い出しました。あのころと同じように、また人々の欲しがる物、必要な物を売ればいいのではないか
食べ物の次に売れる物は? それは衣料品ではないか、と考えました
「山西には、いつも新しい品物があるなあ」そんな声が聞こえてきました。それこそ、私が期待していた反応でした。丁稚たちにはいつも「商売は素早くないとダメだぞ」と話していました
「いくら?」とその場で小切手を切る。50万円、100万円という額でも、ためらわずすぐに決済しました。そんなことをする人はいなかったので、大阪ですっかり評判になりました。これがその後の信用づくりに大きく貢献することになったのです
決断の速さ、そして金払いのよさ、これが取引相手を信頼させ、そして安心させる秘訣
可能性を感じたらチャレンジし、「これは違う」と感じたら、さっさと見切りをつけて撤退する
マーケットがある程度大きなエリアで最大規模の店を展開するというスケールメリットは、計り知れないものがあります
96歳を迎えた今でも、週6日出勤していますし、週末の店舗巡回も欠かしていません。ここ最近は大きな病気もせず、足腰もおかげさまでしっかりしています。ゴルフもしませんし、ほかに道楽もなく、何より仕事が好きなのです
カーネギーは「人生の前半はしっかり稼いで、後半はそのお金で世のため人のために尽くしなさい」と言っています
地域や社会への貢献は形だけあればいい、ということではありません。大切なのは何よりも人を喜ばせること。そして、その喜びを共有すること。それが商いの基本、生き方の基本でもあります。「人を喜ばせたら、その喜びは自分に返る」、これが私の人生観です
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興味深かったのは、著者が潜水艦に乗っていた時のエピソード。
<潜水艦は攻撃され沈没したら全員が助からないという“運命共同体”でしたから、上官が下の者を制裁するといったこともなく、艦内の雰囲気はとても家族的で、温かいものでした>
ひょっとしたら、この体験があったから、著者は運命共同体の組織を作り上げ、成功できたのかもしれません。
これからの経営において、大いに参考になる話でした。
年配経営者の「昔話」的な側面はありますが、しっかり教訓も入っているため、有益な一冊です。
広島にゆかりのある方、「ゆめタウン」ファンの方は、ぜひ読んでみてください。
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『ゆめタウンの男』山西義政・著 プレジデント社
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◆目次◆
序章 イズミとセブン&アイ、50年目の業務提携
第1章 原点──焼け跡からの出発
第2章 小売の時代が来る!
第3章 「革新」の作法──変化を捉え、機を逃さず
第4章 人を生かせば「喜び」が循環する
第5章 挑戦と創造は続く
第6章 小売業の未来をどう描くか
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