【短時間で生産性を上げる合理的な考え方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534056680
「働き方改革」が叫ばれてからも、一向に生産性が上がらない日本のホワイトワーカー。
一体どこに無駄があるのか。何が生産性向上を妨げているのか、元ライフネット生命社長で、現在、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんが書いたのが、本書『知的生産術』です。
著者は「はじめに」で、生産性を上げることの本質を以下のように明確に記しています。
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生産性を上げるとは、
・「同じ仕事をより短い時間でこなすこと」
・「同じ時間でたくさんの量をこなすこと」
・「同じ時間で仕事の質を高めること」
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そして、知的生産とは、「自分の頭で考えて、成長すること」と書かれているのですが、ここにはちょっと説明が必要でしょう。
著者は同じく「はじめに」でこんなことを書いています。
<自分の想像や自分の力量を超える仕事を任されたとき、今までと同じやり方、今までと同じ考え方では、今までと同じ結果しか得ることはできません>
だから、考えること、成長が必要なのです。
『知的生産術』と言われると、つい文章の書き方やアウトプット方法に意識が行ってしまいますが、本書がターゲットにしているのは、すべてのホワイトワーカーの生産性を上げる方法。
つまり、みなさんに関係のある内容なのです。
日々の仕事に忙殺されるのではなく、仕事から何かを省けないか考える。
そんな発想と、具体的ヒントが示された、興味深い一冊です。
さっそく、ポイントを見て行きましょう。
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「工場モデル」から脱却しなければ、働いても貧しくなるだけ
現在、日本のGDPの4分の3以上は、サービス産業を主力とする第3次産業が占めています。つまり、サービス産業の生産性を上げることが、国全体の生産性を上げることに貢献するのです
サービス産業を中心とする社会においては、労働時間ではなく、「成果」と、それをもたらす「アイデア」こそが、生命線
「メシ・風呂・寝る」から、「人・本・旅」に切り替える
脳をフル回転させる労働は、人間の脳のメカニズム上、「1回2時間」、休憩を挟んで「1日3回(せいぜい4回)」が限度
同じような人に会わず、いろいろな本を読み、似通った場所には行かない
サービス産業における購買の主体は、女性です。全世界でどのような統計をとっても、女性がサービス産業の需要全体の6~7割を占めています。ということは、供給サイドにも女性がいなければ、顧客の真のニーズをつかむことはできません
クオータ制とは、議員や会社役員などの女性の割合を、あらかじめ一定数に定めて積極的に女性を登用する制度のことです(中略)世界一高齢化が進み、女性の登用が遅れている日本は、本来どこよりも厳しいクオータ制を導入すべき
知的生産性を高めるには、社会常識を疑い根底から考える以外に道はない
◆知的生産性を上げる5つの視点
視点(1)無限大ではなく、「無減代」を考える
視点(2)「なぜ」を3回繰り返す
視点(3)「枠」や「制約」の中で考える
視点(4)「数字、ファクト、ロジック」で考える
視点(5)考えてもしかたがないことは考えない
「この仕事は何のためにやるのか」を突き詰めて考えたら、省略できる作業はいくらでもあるはず
「上限枠」や「規制」を設けたほうが、まちがいなく時間当たりの知的生産性は高まります
ルール化すれば、僕だけではなく、周囲のスタッフの省力化にもつながります
意思決定のスピードを上げると、単位時間内にできることが増えていくため、生産性が上がります
仕事の順番は、緊急度ではなく、「先着順」を原則にする
電話応対は、全員の仕事
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京都大学を出て、日本生命に入り、当時のエリートコースだったMOF担(旧大蔵省担当)、ロンドン現地法人社長、そしてライフネット生命社長と順調にキャリアを重ねた著者が、若い頃、どんな働き方をしていたのか、具体的なエピソードが記述されており、じつに興味深く読ませていただきました。
今は温厚そうな著者の尖った20代を垣間見れて、本当に面白い。
これはぜひ、読んでみてください。
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『知的生産術』出口治明・著 日本実業出版社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534056680/
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◆目次◆
第1章 日本の生産性が低い理由
第2章 新しいアイデアを生み出す「考える技術」
第3章 最小の労力で最大の成果を上げる「インプットとアウトプットの技術」
第4章 チームの力を引き出す「マネジメントの技術」
第5章 明るく楽しい職場をつくる「コミュニケーションの技術」
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