【挑戦者必読の一冊。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447810347X
本日ご紹介する一冊は、史上最年少・36歳から始め、8年で福岡を地方最強都市にした、高島宗一郎市長による話題の一冊。
福岡市は現在、人口増加率1位、地価の上昇率が東京や大阪の倍、国際会議の開催件数が全国の政令指定都市の中で1位、クルーズ船の寄港回数も横浜を抜いて1位、全国唯一の開業率7%台と、破竹の勢いですが、それがどのようになされたのか、その影でどのような苦しみがあったのか、当事者が自ら語る、じつに興味深い内容です。
経営は意思決定と実行が大事ですが、そういう意味で本書は、格好のケーススタディ。
抵抗勢力も多いなか、高島市長がどのようにして意思決定し、コンセンサスを作っていったのか、じつに勉強になります。
ビジネス書を光らせる3要素は、「結果」と「ロジック」と「事例」だと思っていますが、本書はその3点すべてが満点に近い。
おまけに言葉まで光っているのだから、言うことがありません。
なかでも勉強になったのは、<「全員」を意識すると動けなくなる>だから、<「全体がよくなる」ための決断をすることが必要>という考え方。
日本や日本の組織が機能不全に陥っているのは、おそらくこの「全体」という視点がないからだと思います。
また、<何も残せなかった自分を悔いたくはない><災害はなくならない。だが、災害後の痛みは減らすことができる>など、著者の人間的な部分も本書を読ませる理由でしょう。
ヘタな経営者の本より、よっぽどリアリティがあって面白い。
さっそく、いくつかポイントを見て行きましょう。
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日本社会にもっとも足りないダイバーシティは「意思決定層に『若者』がほとんどいない」こと
若いリーダーはどんなに口先で夢を語っても、実現したいビジョンを語っても、実績がないから説得力がないのです。だから「結果」を出す必要がある
数字は嘘をつかない。だから数字で流れを変えよう
短期的に数字上の成果を期待できるものは、交流人口の増加です。福岡市は第三次産業(サービス業など)に9割の人が従事している特徴的な産業構造を持っています。多くの消費者に福岡に来てもらい、お金を使っていただくことで街が潤います。そこで全国に先駆けて「Fukuoka City Wi-Fi」という無料のWi-Fiを繁華街やすべての地下鉄の駅、主要な観光施設、商業施設などに整備しました
一等地にもかかわらず毎日鳩が日向ぼっこをしているだけだった市役所前の広場は、年間1000万円で民間に貸し出すことにしました。今では、毎週末に多種多様なイベントが開催され、多くの人で賑わうとともに、市には毎年収入が入るようになりました
「全員」を意識すると動けなくなる
リスクをとってチャレンジする人のために時間を使う
屋台の適正化を受けて、2016年には初の「屋台公募」を行なうことになりました。これによって福岡市では、現在と同程度の100軒を超える屋台を将来も維持できることになった
何も残せなかった自分を悔いたくはない
かつてエジプトのカイロ博物館で見たように、私は(古代)エジプトの為政者が自分の体をミイラにしてまで復活を望んだようにはなりたくありません。今回の「命のバトン」をつなぐ役割を全うした最後の瞬間に、自分で自分をほめてあげて目を閉じることがもっとも幸せな人生の終わり方ではないかと思うのです
「世界がこの陥没のニュースを見ている。今こそ日本の底力を世界に見せましょう」
ネットでは「原因を隠すために埋めているのだ」との批判もありました。しかし私が埋め戻しを選択したのは、もちろんそういった理由ではありません。二次被害を防ぐことを最優先にしたからです
リーダーは絶対に「先が見えている」必要があります
勝てない指標では戦わない
新しいビジネスを生み出すのは起業家ですが、社会がそれを受け入れるかどうかを規定するのは政治なのです
「税金を使って問題解決」は古い
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アイデアもビジョンも詰まっていますが、単なる理想論ではなく、現実の社会に実装するところまでを考慮して書かれているところが素晴らしい。
21世紀は「都市の時代」と言われますが、まさにそれぞれの都市がどのようにして発展し、輝けばいいか、未来を指し示してくれる、貴重な内容です。
本書は単なる地方創生の本ではなく、日本復活ののろしとなり得る本です。
これからの日本を創る挑戦者に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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『福岡市を経営する』高島宗一郎・著 ダイヤモンド社
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
はじめに 36歳で市長になったら、まわりは敵だらけだった
1章 挑戦 出馬と裏切り、選挙のリアル
2章 逆襲 数字と結果で流れを変える、弱者の逆転戦略
3章 決断 スピードと伝え方が鍵。有事で学んだリーダーシップ
4章 情報 テクノロジー、SNSの活かし方
5章 戦略 攻めの戦略と市民一人ひとりの意識改革
6章 覚悟 キャリアと死生観、自分の命の使い方
おわりに 成功の反対は挑戦しないこと
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