2019年1月24日

『天才を殺す凡人』北野唯我・著 vol.5201

【天才・秀才・凡人の力学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532322537

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『転職の思考法』の著者、北野唯我さんが書く、ストーリー形式の自己啓発書。

※参考:『転職の思考法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478105553/

急に業績が悪化して窮地に追い込まれたカリスマ女社長にしてテクノロジー系アーティストの上納アンナ。そして彼女に憧れて入社した「凡人」の広報担当・青野。

何とかアンナを救おうと、もがく青野の前に、「関西弁に微妙に東北弁が混じった」秋田犬・ケンが現れる、というどこかで聞いたような設定ですが(笑)、内容は秀逸です。

「天才」「秀才」「凡人」の違いと、その違いが生み出す組織の力学…。今まで誰もが漠然と感じていた組織の非条理を、極めて明快に説明し、解決策を示した、興味深い論考です。

なぜ、天才が凡人に殺されるのか、なぜ組織はイノベーションを起こせなくなるのか、どうすれば「秀才」や「凡人」が自分の才能を活かし、成功できるのか。

小説ながら、現実の組織やキャリアの問題解決に効く、有用な一冊です。

読者が天才であれ、秀才であれ、凡人であれ、本書はこれからのキャリア開発に大いに役立つでしょう。

現在、3万部を突破したようですが、まだまだ売れていい内容です。

さっそく、ポイントを見て行きましょう。

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「ええか、組織には天才が率いる時代がある。だども、その時代が終われば、次は秀才が率いる時代が来る。そのとき、組織は凡人が天才を管理する時代に突入する。そして、天才は死んで『イノベーション』を起こせなくなる。こういう構造なんや(略)」

多数決は「天才を殺すナイフ」

「んだ。たとえるならそれはアートのようなものや。すべての偉大なビジネスは『作って→拡大させ→金にする』というプロセスに乗るんやけど、それぞれに適したKPIは異なる。そのうち、『拡大』と『金にする』のフェーズのKPIは、わかりやすい」

「んだ。本来、企業は破壊的なイノベーションを起こすには『反発の量(と強さ)』をKPIに置くべきやが、これは普通できへん。なぜなら、大企業は『多くの凡人(=普通の人)によって支えられているビジネス』やから(略)」

「天才は二度殺される。一度は成果を出す前に。もう一度は成果を出した後に」

「だからな、アートとサイエンスは『同じ土俵で戦わせてはいけない』んや。具体的には、どちらがいいか? という軸でぶつけたらあかん。サイエンスが100%勝ってしまうからな」
「じゃあどうすればいいんですか?」
「もっと重要な問いである、『その目的を達成するために、アートが果たすべき領域と、サイエンスが果たすべき領域はどこなのか?』の仕訳なんや(略)」

「これこそがまさに『共感性』の危うさなんや。つまり、共感性とは往々にして『物語のどこを切り取るか』によって決まる。だから共感性だけを軸にして経営の意思決定をすると『間違う』。だって『浅い』からな」

「あのな、大人はな、『飽きる』ことに対して、たくさんの対抗策を持っている。遊び、趣味、金、恋愛とかな。でもな、ちゃうんや、天才が求めているのはそんなんちゃう。これまでの世界に飽きているし、そこに『改善できる余白』しか見えない。だから、指摘するし、作るんや。彼らが求めるのは、常に飽きを満たしてくれるよう
な、心が燃えたぎるような『余白』なんや」

「なぜ犬かだって? 仕方ないだろ。人生は配られたカードで勝負するしかないのさ」

「ええ質問やな。凡人が『最強の実行者』を巻き込む方法がある。それはな、キラークエスチョン、『あなたならどうしますか?』と聞くことや」

「んだ。秀才がコンプレックスを乗り越えているかどうか。これにつきる。つまり、コンプレックスを乗り越えた秀才は、天才の右腕として偉大な何かを成し遂げる参謀になる(略)」

「(略)超一流の人は必ずと言っていいほど、自分にとっての『ベストな武器』を持っている」

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もっとストーリー形式を伺わせるタイトルだと売りやすかったと思いますが、内容は素晴らしい。

組織の中の処世術など、テクニック論的なものもあるので、有用性も抜群です。

公開まもなく30万PVを超えた人気ブログ「凡人が、天才を殺すことがある理由。」が元になった小説だそうですが、人気の理由がよくわかる面白さです。

これはぜひ、読んでみてください。

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『天才を殺す凡人』北野唯我・著 日本経済新聞出版社

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

ステージ1 才能ってなんだろう
ステージ2 相反する才能
ステージ3 武器を選び、戦え

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