【アートと並ぶ、最強のビジネス教養】
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ゼロから人脈を掴める人と掴めない人の差、それは教養に基づいた「隠れシグナル」であると考えています。
人間は、自分と似た人間が好きなので、同じシグナルを共有する人間同士、結びつく傾向があるのです。
上流のシグナルを受発信すれば、上流と結びつく。下流のシグナルを受発信すれば、下流と結びつく。
政治家というのはこの両方を使い分ける人で、金持ち向けビジネスの人は上流のシグナルを使いこなす人です。
まったく同じパーティ、セミナーに参加していてもチャンスを掴める人とそうでない人がいる。その違いは要するに「隠れシグナル」をわかっているかどうかだと思います。
シグナルは、会話のなかで登場するボキャブラリー、固有名詞で受信されることが多い。だから語彙と教養が重要なのです。
ということで前置きが長くなりましたが、本日ご紹介する一冊は、最近話題の一冊、『教養としてのワイン』。
著者は、フランスワイン留学を経て、NYクリスティーズでアジア人初のワインスペシャリストとして活躍した、渡辺順子さんです。
本書では、フランスワイン、イタリアワイン、新興国ワインの歴史とそれぞれの違いについてまとめてあり、ビジネスパーソンが知らないと恥をかく、絶妙なポイントを丁寧に解説しています。
ボルドーワインとブルゴーニュワインの違いは何か、テーブルに並べられたワイングラスの形はなぜ違うのか、どのワインにどのグラスを用いるのか、ぶどうの品種の違い、ボトルのラベルの読み方など、じつに細かなところにまで踏み込んでおり、まさに決定版と呼べる一冊です。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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基本的には地域が狭くなればなるほど規定も細かくなるため、そのワインの格は高くなります。また、必ずしもAOCに入るのは地域名だけではありません。村名の場合もありますし、畑名が入ることもあります。この場合、地域がより限定されているので、さらに格は上がります
ワインによっては「VIEILLE VIGNE」と書かれたものがあります。これは、「樹齢の高い樹から取れたぶどうを使っている」ことを指します。ワインの評価は、若い樹よりも古い樹から取れたぶどうのほうが高くなる
メドック格付けとは、メドック地区にあるシャトーの優劣を定めたもので、ここでは赤ワインをつくるシャトーに1~5級の5等級で格付けがなされました。(中略)700から1000のシャトーがエントリーされたと言われるなか、見事、最もランクの高い1級に選ばれたのは「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド(ロートシルト)」「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトュール」「シャトー・オー・ブリオン」の4大シャトーです。(中略)ムートン・ロスチャイルドを含む、これら5つのシャトーは「ボルドー5大シャトー」と呼ばれています
テロワール(ぶどうが育つ自然環境)が最も優れているのはロマネ・コンティの畑だと言われ、ここではピノノワールが育つための最高の条件が整い、土壌の質、畑の向き、方位、標高など、どれを取ってもパーフェクトとされています
ワインの味は、甘味、アルコール度数、酸味、タンニン、ボディという5つの要素から成り立っています。これらの個性や特徴を見分けるのがテイスティングです。ワインではぶどうの果汁が発酵してアルコールになりますが、発酵しきれずに残った部分がワインの「甘味」です。そのため、糖分をほとんどアルコールに変えたワインが「辛口」であり、糖分が残れば残るほど「甘口」に近づきます。それゆえ、基本的に甘いワインほどアルコール度数は低くなります
ワインのテイスティングは、見る→香りを楽しむ→味わうの手順で進めます。英語では「The “S” Step」と言い、「See(見る)」「Swirl(グラスを回す)」「Sniff and Smell(香りをかぐ)」「Sip and Swish(ひとくち口に含む、口内をワインで覆う)」「Swallow or Spit(飲む、もしくは口から出す)」という手順
「See(見る)」では、ワインの色合いや輝き、清澄度を確認します(中略)また「See(見る)」ではワインに濁りがないかも確認しましょう。濁っている場合は、劣化・酸化している可能性があります。続いて「Swirl(グラスを回す)」でグラスを回し、粘着度を確かめます。グラスの内面にワインの滴跡がしっかり残るほど粘着性は高く、アルコール度数が高いとされています
ピノノワール用のグラスは、丸みを帯びたシェープで、飲み口の部分が狭まっています。ピノノワールは繊細で複雑な香りのニュアンスが特徴なので、ワインが空気に当たる面積を広げつつ、その香りを封じ込めるように飲み口が狭まっているのです
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シャトーの名前からワインの名前、キーパーソンの名前まで、じつに多くの固有名詞が登場し、覚えるには時間がかかりそうですが、本書を片手に、思いっきりワインを飲みたい衝動に駆られました。
あまりの奥深さに、これまで踏み込めなかった領域ですが、オークションに関わっていた人が書いているため、お金・投資の視点から理解できるのがポイント。
これなら、ビジネス頭の人間でも、頑張れば理解できそうです。
伝統ある作品もいいけれど、新興のイノベーティブなものから選ぶ喜びもある。
何だか、ワインの世界もアートと似ていますね。
間違いなく言えるのは、理解することで人脈構築に有効な「隠れシグナル」を手に入れられるということ。
読むのに骨が折れますが、エピソード豊富で、最後まで飽きさせることがありません。
ぜひ読んでみてください。
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『教養としてのワイン』渡辺順子・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
第1部 ワイン伝統国「フランス」を知る
世界を魅了する華麗なるボルドーワインの世界
神に愛された土地ブルゴーニュの魅力 フランスワインの個性的な名脇役たち
第2部 食とワインとイタリア
食が先か? ワインが先か?
ヨーロッパが誇る古豪たちの実力
第3部 知られざる新興国ワインの世界
アメリカが生んだ「ビジネスワイン」の実力
進むワインのビジネス化
未来を担う期待のワイン生産地
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