【2018年最後の一冊。】
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本日ご紹介する一冊は、米「アトランティック」誌の編集主任を務めるジャーナリストのデレク・トンプソン氏が、音楽、映画、小説から、絵画、SNS、アプリ、大統領演説のヒットフレーズ、人の名前にいたるまで、さまざまな「ヒット」の要因を分析した一冊。
ワン・ダイレクションのプロデューサーや『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の作家などヒットメーカーたちへの取材も盛り込み、じつに読み応えある内容に仕上がっています。
著者初の書籍ということですが、なんとあのダニエル・ピンク、アダム・グラント、そして「X-MEN」のプロデューサー、サイモン・キンバーグ氏が大絶賛。
「インク」誌と「ライブラリージャーナル」誌の年間ベストブックにも選ばれた一冊ですが、確かにそれだけの魅力はあります。
著者が幼い頃、聞かされたというブラームスの「子守歌」をはじめ、インスタグラム、印象派の7人、モナ・リザ、スター・ウォーズといった歴史に残る「人気」がどうやって生まれたか、その背後にあるストーリーを明らかにしています。
大衆が好むストーリーのフォーマットから、先進的でありながら受け入れ可能という「MAYAルール」、カテゴリーごとに異なる商品開発の原則は、じつに勉強になります。
とくに、歴史的ヒットを生み出した当事者たちの頭の中がのぞける取材・エピソードが秀逸で、これほどの労作が1900円(税別)で変えるのは、明らかに安すぎです。
さっそくポイントをチェックして行きましょう。
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美しいメロディの泉を枯らさないためにブラームスが行なっていた秘策の1つが、ジャンルのブレンドである。各地の音楽を学び、そこから心に残るリフレインなどを巧みに拝借した
最も基本的な人間のニーズ、つまり「何かに属していたい」、「嫌なものから逃れたい」、「何かを手に入れたい」、「ものごとを理解したい」、「人から理解されたい」などのニーズは、永遠に不変
消費者のほとんどは、「ネオフィリア(好奇心が強く、新しいものを発見したいと思う)」であると同時に、重度の「ネオフォビア(あまりに新しいものを怖がる)」でもある。優れたヒットメーカーとは、新しいものと既存のもの、あるいは不安と理解を組み合わせて、「意味がわかる瞬間」を作り出す天才たちである
全体的に見れば、世界の注目は「頻度が低く、規模が大きく、広範囲に放映されるもの(たとえば何百万もの人が1週間に1度映画を見に行く)」から、「頻度が高く、小規模で、社会的なもの(たとえば何十億という人が、個人用の画面上のソーシャルメディアを数分おきに見る)」に移行してきている
実は、これら最も有名になった画家たちの共通点はたった1つだ。彼らは、カイユボットの遺書に名前が記されていた7人なのである
美しさに関する説明で、もっと科学的に正確なのは、「人はありふれた顔に惹かれる」というものだ(中略)多くの顔が合成されたような顔というのは、遺伝的多様性を持つことを示す。いずれにせよ、魅力というのは普遍的なもので、おそらくは本能的である
一定レベル以上の曲であれば、本質的な魅力よりも、人々がその曲を何回耳にするかの方が人気に関係する
車は、停まっている時も「前に進む動き」が内蔵されていなければならないと、ローウィは言っていた
人は「解決できそうな難問」を好む。ミュースは、「非流暢性」が「流暢性」に変化するこの瞬間を、「美的アハ」と呼んだ
話し言葉を一定の間隔で繰り返すと、音楽のようになって聞こえてくる
これは心理学の言葉で「脱馴化」という。たった1回Cの音を鳴らしただけで、Bの刺激の効力が回復する
スポティファイの2015年の調査データには、新しいアーティストの曲を聴くのをやめてしまう年齢が正確に表れていた。それは33歳である
モナ・リザの名声を高めるのに一役買ったのは、あるマヌケな泥棒だった
大流行を起こすには、やはり「ブロードキャスター」の存在がどうしても必要
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読者が出版関係者であれ、映画関係者であれ、デザイナーであれ、政治家であれ、経営者であれ、2019年に一発当てたいと思っているなら、本書は「買い」の一冊です。
インターネット全盛の時代に、大ヒットを生む方法、コンテンツビジネスで高収益を上げる方法を書いた、金銭バリュー半端じゃない内容。
これはぜひ、読んでみてください。
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『ヒットの設計図』デレク・トンプソン・著
高橋由紀子・訳 早川書房
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◆目次◆
第1部 人気と心理
第1章 人はなじみのあるものを好む
第2章 MAYAルール
第3章 ミュージック・オブ・サウンド
第4章 物語の力
第5章 ヒットの暗い一面
第6章 ファッションの誕生
第2部 人気と市場
第7章 ロックンロールと
第8章 バイラル神話
第9章 「シェア」の心理学
第10章 予言の経済学
第11章 メディアの100年史
第12章 ヒットの未来
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