【行動経済学の知識がコンパクトに学べる】
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本日ご紹介する一冊は、ノーベル賞等で話題の学問「行動経済学」を、コンパクトにまとめた、便利な一冊。
一時期、あれだけ話題になりましたから、一冊、二冊は読んだという方が多いかもしれませんが、そんな方には速攻でおさらいできるコンパクトな本として、またこれから学ぶ人には、要点を外さず、さくさく理解できる入門書として、おすすめの内容です。
著者のミシェル・バデリーさんは、ケンブリッジ大学で経済学の修士号と博士号を取得。
現在は、南オーストラリア大学選択研究所教授で、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン構築環境学部の経済学・金融学教授を務めたのち、現職についています。
イギリス政府の有害物質諮問委員会メンバー、ケンブリッジ大学科学政策センター研究員も務める才女のようです。
本書は、そんなミシェルさんが、行動経済学の基礎理論と研究結果を、じつにコンパクトにかつわかりやすい言葉でまとめた一冊。
通常なら300ページ以上の本を数冊読んで得られる知識を、わずか170ページでまとめているので、講演・講義をする方は、手元にリファレンスとして置いておくと便利でしょう。
さっそく、ポイントをチェックしてみます。
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私たちの選択は粘着性を持つことがある。状況が変化したとき、私たちは常に効果的に行動を変えるとは限らない。ライベンシュタインは私たちの行動が粘着性を持つ状況は二つある、と主張する。一つは選択を変えるコストが高すぎると判断したケース。もう一つは怠惰で無気力なために選択を変えないケースだ
質の高い情報が得られないとき、急いでいるとき、認知的制約や社会的影響を受けているとき、私たちは時間や情報が十分にある完璧な世界では下さないようなまずい判断を下すことがある
最も成績が悪かったのは、個人として金銭的報酬を受け取らず、しかも仕事ぶりが公表されなかったグループだ
私たちは他の人々が自分と比べてずっと恵まれている、あるいはずっと不幸であるのを好まない。それは不平等な結果を嫌うからである。経済学者はこの選考を不平等回避と呼ぶ
私たちは優位の不平等回避より、劣位の不平等回避にはるかに大きく影響される
ジョージ・アカロフとレイチェル・クラントンはアイデンティティの分析を通じて、タトゥー(入れ墨)やピアスといった自らの身体を傷つける行為など、一見不可解に思える行動は、実は内集団に対して仲間であることをシグナリングする試みであることを明らかにした
人間の社会的性質の重要な特徴の一つは、他者を模倣し、群れ(ハード)を形成し、行動をともにしようとすることだ。社会学者が説明するところによれば、このハーディング現象は二種類の要因によって引き起こされる。規範的要因と情報的要因だ
日々の生活のなかの私たちの判断は、それによって現状からどれくらい変化するのかを基準としていることが多い。転職するとき、あるいは家を売るとき、正当な収入や売却価格に関する私たちの認識は、現在の収入や家を買ったときの価格、あるいは隣人が最近家を売った価格が基準になる。こうした判断の問題点は、市場の実際の需給とほとんど関係がないことだ
リスクのある結果に対する人々の反応には安定性や一貫性がない
私たちは飛行機のハイジャック事件や墜落事故といった鮮明な恐ろしい場面を見ると、実際には飛行機より電車のほうが事故のリスクは高いのに、飛行機に乗るのを避けようと思ったりする
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地味な見た目の本ですが、行動経済学は学問そのものが面白いので、読んでいて飽きることがありません。
『選択の科学』『ファスト&スロー』『経済は感情で動く』『予想どおりに不合理』あたりを読んだけれど、中身をすっかり忘れてしまっている、という方は、ダイジェスト版として持っておくといいでしょう。
一冊置いておくと、マーケティングのヒントとして、リファレンスとして、また雑談のネタとして使える一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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『エッセンシャル版 行動経済学』ミシェル・バデリー・著
土方奈美・訳 早川書房
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◆目次◆
第1章 経済学と行動
第2章 モチベーションとインセンティブ
第3章 社会生活
第4章 速い思考
第5章 リスク下の選択
第6章 時間のバイアス
第7章 性格、気分、感情
第8章 マクロ経済における行動
第9章 経済行動と公共政策
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