【「論理的発想」で思考力が身につく本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4898317723
本日ご紹介する一冊は、政治学者・経済学者の小室直樹さんによるベストセラーを改訂した、新書サイズの本。
「存在問題」や「集合論」「必要条件と十分条件」「非ユークリッド幾何学」「数量化」などの概念をもとに、どうすれば論理的に考えられるか説いた内容で、問題発見・問題解決のヒントになります。
<存在問題の解決は、人間の“やる気”を恐ろしいほどに増進させる>(=「ある」と信じているものを解決するのは、やる気が出る)などという言葉一つとっても、今の日本がなぜダメなのか、よくわかります。
松下幸之助なんかも、要はリバース・エンジニアリングすることで商品開発したわけで、「ある」と信じるものに論理的に取り組むのって、建設的な行為なんでしょうね。
この点、さまざまな成功例を間近に見ることができるシリコンバレー、シアトルと比べ、Uberを締め出して若手起業家の発想を奪うわが国は、遅れをとって当然なんだと思います。
また以前、『著作権法がソーシャルメディアを殺す』の著者、城所岩生さんに教えていただきましたが、Googleを始めとするシリコンバレー系企業が「とりあえずやってみる」姿勢なのは、「禁止されていなければ何をしてもいいユダヤ教」の精神がどこかにあるのかもしれませんね。(日本はやる前から、「やめておいた方がいい」と考える)
※参考:『著作権法がソーシャルメディアを殺す』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569812902/
他にも、なぜ日本人が海外に行って嫌われるか、なぜ欧米、中国とわかり合えないか、論理的思考がない日本人の欠点をズバリ指摘しており、勉強になります。
いくつかポイントを見て行きましょう。
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ある問題が起きたとすれば、その問題の対象になっているものが本当に存在するのかどうかを、まず確認しなくてはいけない
結局、解けないけれども解があるかどうかはわかる、というのが現代数学の素晴らしさ、恐ろしさなわけで、もっといえば、現代数学の存在問題の考え方があったからこそ、人間が月へ行くことができたともいえるのである
存在問題の解決は、人間の“やる気”を恐ろしいほどに増進させる。だからこそ、人に何かを教えたり、仕事をさせたりする場合には、「まずやってみせることが重要だ」とされるのである
社会学における存在問題の例をもう少し挙げてみよう。それは、平重盛が「忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、重盛の進退ここに谷(きわ)まれり」と言って嘆息したという有名な話である。つまり、重盛は親である平清盛と主である後白河法皇との対立の板挟みに悩んだ。そして親への孝行と国家の主への忠誠を両立する道が閉ざされた状況へと追いやられたわけだ。それにもかかわらず、忠臣であると同時に孝子でありたいと望んだ重盛は、ついにどうにもしようがなくなり、ノイローゼになって若くして死んでしまったのである
中国の場合には食物規定がまったくない。極端な話、人間だって食べていい。それが証拠に、古代中国から清朝に至るまでの王朝の正史の中にも、人間の料理法の記述がきちんと載せられている(中略)ユダヤ教では食物規定が、ビシッと決められており、逆に中国では食物規定が一切ないわけだが、ともにきわめて論理的な社会といえる(中略)日本の食物規定というのは状況により、環境によりコロコロ変わる
禁止されていなければ何をしてもいいユダヤ教
いろいろなことを取り決めた最後に“以上、取り決めたことについて異議が生じた場合には、双方が誠意を以て交渉に入ることを誓約する”と必ず書いてある。だが、これでは、なんとも「契約」とは言い得ない
日本人がひじょうに嫌われるのは、日本人が規範を持たない民族で、彼らにしてみれば、「何をやるかわからない」という薄気味悪さがあるためなのである
欧米デモクラシーの考え方においては、「これは私の意見です」と言った場合、当然、「科学とは仮説である」という立場を踏まえており、「私の意見は一つの仮説にすぎません」という意味を持っている。そしてまた、当然、「あなたの意見も仮説にすぎません」ということになる
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カスタマーレビューなどでも批判されているように、ちょっと時代にそぐわない女性蔑視の表現があったり、品性に欠ける表現があるのは残念。
せっかく改訂版を出しているのに、ノーチェックだったのは、出版社の落ち度だと思います。
ただ、日本人のビジネスパーソンに欠けている考え方や視点が入っているのは確かで、読む価値はあると思います。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『数学を使わない数学の講義』小室直樹・著 ワック
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◆目次◆
Part1 「マイナス思考」を止める法
Part2 「物怖じしない人」がやっていること
Part3 ナメられない話し方
Part4 簡単に「図太くなる」心理テクニック
Part5 “ビビリ”のあなたが心がける12のルール
Part6 “ビビリ”を利用せよ!
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