2018年8月27日

『転職の思考法』北野唯我・著 vol.5102

【知っておいて損はない】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478105553

終身雇用がとっくに崩壊しているのに、相変わらず大企業や公務員を志向する人が多い日本。

しかし、時価総額上位企業の将来性を見ても、AI導入による雇用減少の可能性を考えても、お先は真っ暗。

どんなに大きい船でも、どんなにたくさん人が乗っていても、タイタニック号のように、沈む時は沈むのです。

いやむしろ、かつての戦艦大和のように、大きいことが優位性でない場合、むしろ大きいことによって沈むこともある。

唯一確かなことは、救命ボートが全員分ないということです。

であれば、船に見切りをつけ、さっさとボートに乗って、伸びる業界・企業を探せばいい。

本日ご紹介する一冊『転職の思考法』は、そんな時に役立つ、まさに「キャリアの救命ボート」です。

著者の北野唯我(きたの・ゆいが)さんは、博報堂の経営企画局・経理財務局、ボストンコンサルティンググループを経て、ハイクラス層対象の人材ポータルサイト「ワンキャリア」に参画した人物。

本書では、転職経験の浅い読者をターゲットに、どうやって自分のマーケットバリューを上げていくか、どうやって転職先を選別するか、どうすれば「一見良さそうだけれど転職先に向かない企業」を見極められるか、具体的なヒントが書かれています。

ストーリー形式で書かれており、転職・キャリアのリアリティに溢れた内容です。

さっそく、ポイントを見て行きましょう。

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上司を見て働くか、マーケットを見て働くかの違い

マーケットバリューは(1)技術資産、(2)人的資産、(3)業界の生産性の三つで決まる

技術資産は「専門性」と「経験」でできている

もし他の会社では展開できないなら、それは技術資産ではない

キャリアは20代は専門性、30代は経験、40代は人脈が重要

仮にいちばん低い産業の、一人当たりの粗利が1000万円だとしたら、いちばん高い産業では2億円。これだけ違う。粗利はそのまま、給料の原資だ。つまり、そもそもマーケットバリューというのは、どの業界を選ぶか? で圧倒的に上下する

すべての仕事には、明確に賞味期限がある。(1)が新しく、(4)が古い。具体的にはまず、(1)ニッチといわれる「イスの数は少ないが、替えがきかない仕事」から始まり、順番に(2)(3)と移行し、最後は(4)「イスの数も少なく、誰でもできる仕事」として消滅していく。これが仕事の「賞味期限」が切れる構造だ

「伸びている業界で働いたことがある」だけでバリューは高まる

強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする

伸びるマーケットを見つける方法論
(1)複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
(2)既存業界の非効率を突くロジックに着目する

本当のダイヤモンドは、周りは馬鹿にするが、理屈から考えると正しいことにこそ眠っているわけだ

◆会社を選ぶ時の3つのポイント
1.マーケットバリュー 2.働きやすさ 3.活躍の可能性

転職の軸が定まり、具体的な会社を選ぶ段階になったら見ないといけない点が2つある。ひとつは「中途を重宝できるカルチャーがあるか」。もうひとつは「自分の職種が会社の強みと一致しているかどうか」だ

迷ったら、未来のマーケットバリューをとれ

人には、自分に合った「緊張と緩和のバランス」が存在する

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本書の冒頭に、<日本の会社の悪いところは、「転職できない人間」に、その事実を40代後半まで伝えずに隠しておくこと>と書かれていますが、終身雇用が崩壊した今、これって本当にひどいやり方ですよね。

自分の身は自分で守る。会社は自分を守ってくれないと心得る。

心構えに加え、考え方と戦略を授けてくれる、じつに有用な内容です。

転職する人はマストバイ。そうでない人も、自らのマーケットバリューを高めるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『転職の思考法』北野唯我・著 ダイヤモンド社

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◆目次◆

プロローグ このままでいいわけがない。だけど……
1章 仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ
2章 「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
3章 あなたがいなくなっても、確実に会社は回る
4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?

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