2018年8月15日

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』スコット・ギャロウェイ・著 渡会圭子・訳 vol.5094

【今、最も学ぶべき4社】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492503021

Google、Apple、Facebook、Amazon…。

4つを総称して「GAFA(ガーファ)」というこの言い方、随分と定着してきた感があります。

本日ご紹介する一冊は、そのGAFAをタイトルに持ってきた本、ということで、いかにも流行りのキーワードと話題の企業を分析した、ベストセラー狙いの本。

大衆に迎合した表紙まわりのせいで、最初はあまり印象が良くなかったのですが、読んでみて印象が一変しました。

というのも、本書はただのGAFA礼賛本ではないからです。

ジャーナリスティックな批判精神を持ちながら、マーケティング、経営視点の鋭い分析を加えたじつに読み応えある内容で、なぜこんな内容が書けるのだろうと思っていたら、著者の経歴にその秘密がありました。

著者のスコット・ギャロウェイ氏は、シリアルアントレプレナーとして、L2、Red Envelope、Prophetなど9つの会社を起業した起業家であり、ニューヨーク・タイムズ、ゲートウェイ・コンピュータなどの役員も歴任した実力派。学者としても、クレイトン・クリステンセン、リンダ・グラットンとともに「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出される実力派なのです。

TED200万回超再生、22カ国で刊行決定の理由がよくわかりました。

本書では、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの順番に、それぞれの企業の特徴と強み・弱みを分析し、今後の展望を示しています。

また、著者独自の1兆ドル企業になるためのフレームワーク「Tアルゴリズム」が紹介されており、これに即して、アリババやテスラ、ウーバーなどのネクストGAFA企業を分析しています。

どんな内容が書かれているのか、さっそく、チェックしてみましょう。

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アマゾンはグーグルにとって最大の顧客だが、検索についてはグーグルにとっての脅威でもある。何かの商品をさがしている人の55パーセントが、まずアマゾンで調べているのだ(グーグルを使う人は28パーセント)

アマゾンのおかげで、ウォール・ストリートはそれまでとは違う基準を受け入れることになった。「利益は小さく、成長は大きく」である

たいていの取締役会は経営陣にこう問いかける。「どうしたら最小の資本(投資)で最大の儲けを得られるだろうか?」。一方、アマゾンはこの逆を行く。「莫大な資金がかかるために他社にはできないことで、我々が他社を出し抜けることは何だろうか」。なぜそれが可能かといえば、アマゾンは他社に比べリターンへの期待が低い資本を集める力を持っているからだ

実際の店舗が消滅するというのは、ひどく誇張された言説だ。実は滅びかかっているのは店舗ではなく中産階級である。かつては重視されていたその階級と、彼らが住む地域のためのビジネスなのだ

野菜や肉は直接買いたいという消費者が多い

電池のような重要なカテゴリーで、アレクサは自社のプライベート・ブランドであるアマゾン・ベーシックのものを勧める

アップルはいつも他者からインスピレーションを得る(アイデアを盗むときの常套句だ)。近年のアップルがインスピレーションを得ているのはぜいたくな高級品業界である

ブランドが経営する店舗は、そのブランドにとっての神殿となる。アップルの店舗の1平方フィート当たりの売上げは約5000ドルで、小売業で最高である

アップルは最高の遺伝子を持ち、22世紀まで存続する可能性が四騎士の中でいちばん高いと私は思う。頭に留めておいてほしい。四騎士の中で、少なくともいまの時点で、創業者と創業当時の経営陣がいなくなったあとでも好調を維持しているのはアップルだけなのだ

フェイスブックはアマゾンより漏斗の上部にある。フェイスブックは“何”を提案し、グーグルは“方法”を提示し、アマゾンは“いつ”それが手に入るかを教えてくれる

◆四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」
1.商品の差別化 2.ビジョンへの投資 3.世界展開 4.好感度
5.垂直統合 6.AI 7.キャリアの箔づけになる 8.地の利

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著者のシニカルな視点と、現場感あふれる記述(著者はニューヨーク・タイムズvsグーグルの当事者でもある)、マーケティング目線の分析に、知的好奇心がガンガン刺激されます。

唯一の弱点は、本書が2017年に書かれた本であり、最初の1兆ドル企業はアマゾンになると予言してしまっている点。(現実にはアップルが最初の1兆ドル企業になっています)

ただ、分析の内容自体は的を射ており、今、起業家が最も読むべき本と言って過言ではないでしょう。

印税目的の著者のつまらない本は今すぐ捨てて、これ一冊じっくり読めば、来るべき明日のビジネスが見えてきます。

ぜひ、読んでみてください。

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『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』スコット・ギャロウェイ・著
渡会圭子・訳 東洋経済新報社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492503021/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07DNCCG5Q/

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◆目次◆

第1章 GAFA──世界を創り変えた四騎士
第2章 アマゾン──1兆ドルに最も近い巨人
第3章 アップル──ジョブズという教祖を崇める宗教
第4章 フェイスブック──人類の1/4をつなげた怪物
第5章 グーグル──全知全能で無慈悲な神
第6章 四騎士は「ペテン師」から成り上がった
第7章 脳・心・性器を標的にする四騎士
第8章 四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」
第9章 NEXT GAFA──第五の騎士は誰なのか
第10章 GAFA「以後」の世界で生きるための武器
第11章 少数の支配者と多数の農奴が生きる世界
四騎士の目的

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