【平等日本が階級社会になった?】
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本日ご紹介する一冊は、日本の格差の現状分析からわかった、『新・日本の階級社会』の実態と、是正方法を提案した、注目の新書。
著者は、早稲田大学人間科学学術院教授で、理論社会学を専門とする橋本健二さんです。
本書では、官公庁の統計の他、さまざまな社会調査データを用いており、なかでもSSM調査データ(正式名称は「社会階層と社会移動全国調査」)の分析を軸に、論を展開しています。
著者が、『新・日本の階級社会』として提示した4つの階級は、以下の通り。
1.資本家階級
2.新中間階級
3.正規労働者
4.アンダークラス
5.旧中間階級
それぞれ、全体の何%を占めるのか、平均個人年収はいくらか、女性比率はどれくらいか、どんな仕事をしているのか、どんな価値観を持っているのかなどが明らかにされており、じつに興味深いデータです。
章を追うごとに、格差固定の実態や、女性格差の現状など、さまざまな事実が明らかになり、現在の日本の病巣がわかる気がしました。
さっそく、気になるポイントをピックアップしてみます。
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豊かな人々は自分たちの豊かさを、また貧しい人々は自分たちの貧しさを、それぞれ明確に意識するようになった
「個人の選択や努力」によって生じる格差を容認する傾向は、たしかに広がっている
この経済の最大の特徴は、生産手段、つまり生産に必要な道具や機械、原料、建物などの物財が、一部の人々によって集中的に所有されているところにある
個人年収と世帯年収のいずれをみても、正規労働者の収入は増加している。個人年収は男性で一九・三万円、女性で一五・三万円の増加
非正規労働者の貧困率は、男性で二八・六%、女性で四八・五%ときわめて高い。世帯年収の大きな減少のわりに、貧困率があまり上昇せず、男性ではむしろ低下しているのは、一人暮らしが増えたからだろう
「階級以下」の存在=「アンダークラス」の登場
新中間階級になるためには、高い学歴が必要
資本家階級は二五四万人で、就業人口の四・一%を占める。女性比率は二三・六%で、五つのなかでもっとも小さい。大部分が小零細企業の経営者で、従業員規模五人から九人が四一・七%、一〇人から二九人が三二・一%、二つを合計すると七三・八%となる
(アンダークラスの)何よりもきわだった特徴は、男性で有配偶者が少なく、女性で離死別者が多いこと
資本家階級は、企業規模によって違いはあるとしても、ほぼ構想に関わる労働のみ、とくに事業のこまごました部分に関する構想ではなく、経営全体を見渡すような高レベルの構想に関わる労働を担っている
予想されたことだが、アンダークラスには最終学歴を中退した人が多い
父親の所属階級によって、大学進学率が大きく異なる
資本家階級になった人の比率を出身階級別にみると、新中間階級出身者ではわずか二・三%、労働者階級出身者では二・四%、やや多い旧中間階級出身者でも八・六%である。ここから、資本家階級出身者は資本家階級になりやすいということがよくわかる
女性は、自分の階級所属とともに、あるいはそれ以上に、夫の階級所属の影響を受ける
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以前より成り上がりが難しくなっている現在の日本で、どんな考え方をすれば成功できるのか、運命を変えることができるのか、ヒントが見えてくる内容です。
政治家・政策担当者は、格差是正の参考に、起業家・ビジネスパーソンは、自らの運命を切り拓くために、参考にすると良いでしょう。
ぜひチェックしていただきたい一冊です。
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『新・日本の階級社会』橋本健二・著 講談社
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◆目次◆
「格差社会」から「新しい階級社会」へ──序にかえて
第一章 分解した「中流」
第二章 現代日本の階級構造
第三章 アンダークラスと新しい階級社会
第四章 階級は固定化しているか
第五章 女たちの階級社会
第六章 格差をめぐる対立の構図
第七章 より平等な社会を
参考文献
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