2017年8月30日

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』 シバタナオキ・著 vol.4788

【ビジネスが「読める」!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822255271

本日ご紹介する一冊は、最年少で楽天の執行役員(当時)となり、2009年よりスタンフォード大学客員研究員、2011年にシリコンバレーで起業した著者による、決算書の読み方。

といっても、既にアマゾンのカスタマーレビューで書かれているように、すべてがすべて決算書の読み方というわけではなく、特にITやファイナンスの業界を詳しく読み解くための本。

そのビジネスの売り上げの方程式は何か、発表データ形式の異なる複数社の業績をどうやって比べるか、新規事業の潜在的な収益力をどう見るかなど、マーケティングと会計が混在したトピックが多く、決算書というよりは、ビジネスそのものを読むための本でした。

横組みで読みにくいことを除けば、じつに興味深いトピックが満載で、まさに今の最先端のビジネスを会計的に読み解くという、知的好奇心あふれる一冊。

過去ばかり見るタイプの「会計専門家」からは辛い評価のようですが、これこそ今後ビジネスパーソンに求められている視点だと感じました。

数字が「結果」だとしたら、ここに書かれているのは各企業がばらまいている「原因」。

それが将来同数字になるのか、なり得るのかまで踏み込んだ本書は、まさに投資家、ビジネスパーソン必読の一冊だと思います。

さっそく、内容を見て行きましょう。

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大事なのは、決算を読む「量」を増やすこと。そして、時系列で同じ会社の決算書を読み続けることです。ある会社の四半期決算を1時間かけて分析するより、同じ時間で1年分の決算を流し読みする方が、発見が多いのです

ビジネスモデルごとに異なる「方程式」を把握したら、次はその数式を埋めるのに必要な数字がどれなのかを理解しましょう。例えばサービスの「アクティブユーザー数」が重要な指標になるビジネスならば、時系列でどう変化しているのかを四半期ごとにチェックして覚えてみてください

テイクレートとは「取扱高が100あった場合の売上」をパーセンテージで示した指標

マーケットプレイスのテイクレート
・アメリカ:10%弱 ・日本:7%~8.5程度 ・中国:3%程度

中国で圧倒的な市場シェアを持つアリババですが、今後、取扱高の成長スピードは緩やかになっていくでしょう。その前に、市場シェアを減らさない形でテイクレートを上げる施策を打ち出してくるはずです。単純に、テイクレートが日本並みになるだけで、ネット売上が2倍以上になります

日用品ECは「利用頻度」と「継続率」が非常に高いので、日用品ECを利用するユーザーが増えれば、それらのユーザーの購買頻度が圧倒的に上がります

◆アマゾンの決算書(2016年4-6月期決算)
【北米EC】
・売上:$18 Billion(約1兆8000億円)で、YoY+28%
・営業利益:$702 Million(約702億円)で、YoY+102%
・営業利益率:4.0%
【クラウド事業】
・売上:$2.9 Billion(約2900億円)で、YoY+58%
・営業利益:$718 Million(約718億円)で、YoY+135%
・営業利益率:24.9%

インターネット企業であるヤフーは、金融業に比べると非常にコンパクトなバランスシートを保ってきたわけですが、クレジットカード事業が急拡大するにつれて、先ほどの「営業債権及びその他の債権」の額が大きくなり、貸付けるための現金が足りなくなる事態も想定されるのです。これが「時限爆弾」の正体です

Teslaが次に直接提供する可能性が高いFinTechビジネスは、一体何でしょうか。私はズバリ、自動車ローンだと思います

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「他人の家庭の「家計簿」を覗くつもりで読む」「決算短信ではなく、決算説明会資料から読む」など、会計に苦手意識がある人でもすんなり入れるよう、メンタル面からのアドバイスもなされており、好感が持てました。

著者は、決算書を読むのが趣味になるほど決算書を読むのを習慣化しているそうですが、確かにそこまでやったら投資力もビジネス力も上がりそうですね。

本書を水先案内人にして、これから良い習慣を身に付けたいと思います。

これはオススメの一冊です。

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『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』
シバタナオキ・著 日経BP社

<Amazon.co.jpで購入する>
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B073PSGWDK/

<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2xLvdw0

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◆目次◆

第1章 決算が読めるようになると何が変わるのか?
第2章 ECビジネスの決算
第3章 FinTechビジネスの決算
第4章 広告ビジネスの決算
第5章 個人課金ビジネスの決算
第6章 携帯キャリアの決算
第7章 企業買収(M&A)と決算
終章 決算を読む習慣をつける方法

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