2017年7月21日

『人生の勝算』前田裕二・著 vol.4748

【注目の20代起業家、SNSの次を予測】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344031369

最近、尊敬される起業家の顔ぶれが変わってきている、と感じます。

なかでもITベンチャー系は、よくウォッチしていないとどこで何がブレイクしているのかわかりにくいため、キャッチアップできていない方も多いのではないでしょうか。

本日ご紹介する一冊は、「SNSの次はライブストリーミングだ」と断言するSHOWROOMの代表、前田裕二氏の処女作。

SHOWROOMは、2013年11月にスタートしたライブ配信サービスで、新人アイドル、アーティストを支援できるファンビジネス。

よくありがちな「成功した起業家の自己啓発書」ではなく、自身のビジネスモデル解説と、その背景にある思想、理論まで踏み込んで解説しているのが特長です。

衰退した繁華街にあっても潰れにくい「スナック」を土台にコミュニティビジネスを考えたり、ファンビジネスを「ファン数」「更新頻度」の2軸でわける「ファンビジネスの4象限」から今ヒットするファンビジネスの領域を明らかにしたり、とにかく発想が面白い。

これは本当にすごい起業家が出てきましたね。

著者のUBS時代のエピソードやニューヨーク奮戦記、DeNAで学んだことなど、キャリアのヒントとしてみても興味深い一冊です。

さっそく、ポイントをチェックして行きましょう!

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僕の経営者としての原点は、ストリートでの弾き語りです。小学生の頃、お金を稼ぎたくて、あらゆる方法を試しましたが、自分にとって最も誇れる、幸福度の高い稼ぎ方が、路上でパフォーマンスを見てくださる観客の方からお金をいただくことでした

SHOWROOMの特長として、「ギフティング」という、課金機能があります。これは、まさにストリートミュージシャンの弾き語りを聴いて感動した際に、ギターケースにお金を入れて盛り上げるように、演者のパフォーマンスに感動した際や応援のために、デジタル上でギフトアイテムを投げ込める機能です

◆コミュニティ形成の5つのエッセンス
1.余白があること
2.クローズドの空間で常連客ができること
3.仮想敵を作ること
4.秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
5.共通目的やベクトルを持つこと

余白があるからこそ、ファンは自分が應援してあげないと、助けてあげないとダメだ、という気持ちになります

ファンの「中の人」化でコミュニティが強くなる

不器用でも“努力を継続する”演者、個性やストーリーが感じられるコンテンツが人気を得る傾向

SHOWROOMの視聴者の中には、もしかしたら、現実世界では女の子と話すことが苦手な人もいるかもしれません。しかし、アバターを通すことで、新しい「別の」自分として、人気アイドルとも堂々と会話ができます

僕は、宇田川さんに何度も言われました。
「前田くん、仕事で大事なのは人に好かれることだ」
「君はきっとUBSで、すごい成果を出すだろう。だけど君一人でできることなんてたかが知れている」
「仲間を増やせば会社全体、そして世の中、地球だって動かせるか
もしれないんだよ」

「ソーシャルネットワークの次は?」と聞かれたら、「ライブストリーミングだ」と、即答します。SNSの次に来るビッグウェーブは、中国をはじめアジア圏に端を発する、ライブストリーミングです

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猛烈なハードワーク、死生観、ビジネスを洞察する視点、人間関係構築力、ちょっとやそっとじゃへこたれない精神力…。

ひさびさに「天才」が現れた、そんな印象です。

UBS証券の超エリート・宇田川氏をはじめ、秋元康氏、南場智子氏をメンターに持つあたりも、バランス感覚がいい。

しばらくウォッチしていたい人物ですね。

『人生の勝算』というタイトルは読むまで意味がわかりませんが、内容はじつに読み応えがありました。

これは「買い」の一冊です。

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『人生の勝算』前田裕二・著 幻冬舎

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◆目次◆

プロローグ──経営はストリートから始まった
第1章 人は絆にお金を払う
第2章 SHOWROOMが作る新しいエンターテインメントのかたち
第3章 外資系銀行でも、求められたのは「思いやり」
第4章 ニューヨーク奮闘記
第5章 SHOWROOM起業
第6章 SHOWROOMの未来
エピローグ──コンパスは持っているかー

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