2010年5月27日

『日本人へ リーダー篇』塩野七生・著vol.2136

【塩野七生のリーダー論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166607529

本日の一冊は、『ローマ人の物語』『海の都の物語』などで知られる作家、塩野七生さんが、歴史上の英雄を題材に、リーダー論を語った一冊。

もともとは、月刊「文藝春秋」の看板連載を一冊にまとめたもので、それゆえにトピックが古い場合があるものの、読み応えは抜群です。

日本の政治やマスメディアに対する意見などもありますが、なかでも参考になったのは、偉人たちがとった戦略の話や名言。

どんな時にどんな戦略が効くのか、という話や、政治で守るべき原理原則など、リーダーにはたまらない話が満載です。

・人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない(ユリウス・カエサル)
・味方さえも冷徹に分析する視点が必要
・自らの資質に合わないことを無理してやって成功できた例はない

短い言葉で本質を語るあたりは流石というところで、どの言葉も思わず抜き書きしてとっておきたくなる衝動にかられます。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない(ユリウス・カエサル)

危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない

ローマは敗者への市民権授与に積極的であっただけでなく、その指導層ともなると、自分たちの家門名の分与にも積極的であった

政策の継続性の欠如こそが三世紀のローマ帝国にとって、諸悪の根源であった

勝つ条件の一つは相手の戦略の裏をかくことだが、ハンニバルはそれをすべてやった

この二人(アレクサンダーとユリウス・カエサル)が他の数多の侵略者と同一視されずに歴史上の英雄になったのは、戦争に勝って以降に、主観的な大義を客観的な大義に変えるということをしたからである

重要問題には、それ一事のみを考えているうちにかえって問題の核心から離れてしまうという性質もある

いかなる事業といえどもその成否は、参加する全員が利益を得るシステムを、つくれたか否かにかかっている(マキアヴェッリ)

常に勝ちつづける秘訣とは、中ぐらいの勝者でいつづけることにある

今や「敵」と「味方」の区別が簡単ではない時代になった。この荒海で舵を操っていくには、味方さえも冷徹に分析する視点が必要

敵に勝ちたければ、それも効率良く勝ちたければ、分離し孤立したところをたたく、しかないのだ

アマチュアがその道のプロさえも越えるのは、プロならば考えもしなかったことをやるときなのだ。それには、徹底した現情直視と、それまでの方式、つまり常識、にとらわれない自由な発想しかない

権力とは、拡散すると弱くなるという性質をもつ。ゆえに権力をもつ側にとって、拡散や拡大くらい不利なこともない

歴史に親しむ日常の中で私が学んだ最大のことは、いかなる民族も自らの資質に合わないことを無理してやって成功できた例はない、という事であった

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『日本人へ リーダー篇』文藝春秋 塩野七生・著
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◆目次◆

I イラク戦争を見ながら ほか
II 想像力について ほか
III 歴史認識の共有、について

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