【事故をロジカルに考える】
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以前、土井がゲーム会社に勤務していた頃、同じ営業所内で、子どもがシーソーの機械に頭をはさまれ、植物人間になるという、痛ま
しい事故が起こりました。
このシーソーには、スイッチがついていて、シーソーが完全に下まで降りるとスイッチが入って上がる、という仕組みだったのですが、子どもの頭がはさまってもシーソーはスイッチが入るまで下がり続け、結局頭が押しつぶされることになったのでした。
もしこの機械を設計する段階で「安全」のロジックが盛り込まれていたら、この子どもは救われていたかもしれません。
この機械は、随分と古いものだったようですが、われわれの社会には、依然としてこうした古い設計思想で出来ているものがあるのです。
安全に配慮した設計になっているはず、と思い込むのは大間違い。
大事なことは、事故が起こらないようにすること、そして万が一事故が起きても、被害が最小限に食い止められるように工夫することです。
本日ご紹介する一冊は、まさにこういった痛ましい事故をなくすためにどうすればいいか、「失敗学」の権威、畑村洋太郎さんが述べた一冊。
トヨタのリコール問題から、エレベーター・エスカレーターの事故、公園から消えていく遊具の問題まで、さまざまなトピックに触れながら、事故をなくすためのポイントを述べています。
派手な本でもトピックでもありませんが、内容は抜群。
ビジネスや商品・サービスのリスクを最小限にするためにも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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機械やシステムへの依存が進むことで注意力の著しい低下が起こっています
実際は存在しているのに、「ないもの」として扱われる「危険」。
存在していても気がつかない、見えないことになってしまった「危険」。
そしてある日、その危険が顕在化して事故や災害が起こったとき、人々は「想定外」としてびっくりしておろおろすることになる
◆機械やシステムが事故やトラブルを起こしたときの対処法
1.機械やシステムそのものの強度を上げたり能力を強化することで、事故やトラブルが起こったときに最悪の結果を「起こさせないようにする」という方法
2.機械やシステムの動きを抑制することで、事故やトラブルが起こったときの被害を「できるだけ小さくする」という方法
現代の制御技術は大まかにいうと「検知」「判断」「動作」の三段階から成り立っています
機械に求められている安全確保のための機能は、人間とぶつかったときに機械のほうが壊れるか、さもなければ人間を潰さない程度の力に抑えながら素早く動きを止めることです
いまの設計者に求められているのは、あらかじめ、使用者がどんな使い方をするのかきちんと観察することです
「つくる側」にとっても「使う側」にとっても意外と盲点になっているのが、メンテナンスの問題です
“なぜなぜ5回”は、現場で発生するさまざまな問題に対して「なぜ?」という問いかけを繰り返しながら掘り下げていくことで、表層的ではなく根本的な原因を探るというものです。考察の方法としてはたいへん優れていますが、一方で最初の着目点を間違えると正しい答えには永遠にたどり着けないという落とし穴もあります
箱型ブランコの危険を高めているのは、カゴと地面の間に「生存空間」がないことです
学生たちが遊具について考えるとみんな「危なくない遊具はおもしろくない」という同じ結論に達した
安全思想を社会全体として同じにすることが、より安全な状態につながる
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『危険不可視社会』講談社 畑村洋太郎・著
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◆目次◆
序──危険を可視化するということ
第1章 制御安全の落とし穴
第2章 制御システムの暴走
第3章 「つくる側」と「使う側」の間
第4章 人も凶器
第5章 原発が信用されない理由
第6章 子どもから危険を奪う社会
第7章 規制・基準で安全は担保されるのか
第8章 安全社会の危険
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